アニミズムとは?意味・例・日本との関係について解説します

animism(アニミズム)とは、自然信仰のこと。

生物や無機物など問わず、地球や宇宙に存在する全てのものに霊魂あるいは精霊が宿っているという考え方です。

19世紀後半にイギリスの人類学者であるエドワード・B・タイラーが宗教の起源をアニミズムであると唱えたことがキッカケでこの言葉が広く知れ渡るようになりました。

実は「アニミズム」というのは、私たちが住む日本と非常に深く関わっているんです。

また、自然や環境保護、生物多様性、自然と一緒に暮らすうえで私達に重要なことを教えてくれる思想です。

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日本との関係

生物や自然などに霊魂が宿っているアニミズム的思想は、縄文時代から信じられてきたと考えられています。

神道

また、日本は古来から自然を崇拝する「神道」という宗教が普及していました。

神道は具体的な教えがある訳でもありませんし、教祖も開祖もいません。

一人の絶対的存在を崇拝するような一神教とは異なり、自然や自然現象など様々なものに神様が宿っているという多神教になります。

日本最古の歴史書である「古事記」にも、太陽の神様である「天照大神(アマテラスオオカミ)」や暴風の神様である「須佐之男命(スサノオ)」が登場するなど、

古来から日本では自然に神様が宿っていると信じられてきました。

「八百万の神(やおよろずのかみ)」と呼ばれるように、日本には800万以上の神様がいるとも言われています。

日本の自然や生物など全てに「神様」が宿っているという神道と、自然や生物など全てに「霊魂」が宿っているアニミズム的思想は非常に似ていて、私達には馴染み深い考え方だったんです。

子どもが、花、石、動物、乗り物などに対して人間と同じ意思を持っているかのように接したり、話しかけたりする姿は、まさにアニミズムと言えます。

子どもは、アニミズムを通して生物や物を大切にすることを学びます。

また、「一粒のお米には7人の神様がいる」と考えられ、ご飯粒をお茶碗に残してはいけないと教える家庭がその昔には当たり前にありました。よく考えると、食品ロスの削減に繋がる考え方ですよね。

このように私たちの身近なところにも、「自然や生物、無機物にも人間と同じ心がある」という思想が反映されています。

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アニメ

日本の代表的カルチャーであるアニメですが、アニメの由来はラテン語で霊魂を意味する「anima(アニマ)」です。

命の宿っていない二次元の絵に対して、まるで生命が宿ったかのように絵が動き出すという意味があります。

アニメもまさにアニミズムと言えますね。

さらにもっと言うと、日本のアニメは自然や生物に霊魂が宿るような「アニミズムな作品」が数多くあります。

代表的なのは、「スタジオ・ジブリ」です。

例えば、1997年に公開された自然と人間の関係をテーマにした「もののけ姫」には、人間に恨みを持ったイノシシの神様「タタリ神」、命を与えたり奪ったりする森の神様「シシ神」などが出てきます。

また、古い樹木に宿る精霊の「こだま」もアニミズムの象徴と言えます。

1984年に公開された地球全体に汚染物質がばら撒かれた世界を舞台にした「風の谷のナウシカ」。

主人公であるナウシカは、腐海に生息する王蟲と心を通わせ、自然とともに生きようと奮闘します。

人間、生物、自然に思いやりを持って接するナウシカには、アニミズムな思想があったと考えられます。

その他にもスタジオ・ジブリには、自然に宿る神様や霊魂を上手く表現している作品がたくさんあります。

最後に

人間は大量生産・大量消費をし、自然や生物を過剰に利用してきました。

その結果、森林が減少し、水害や森林火災の被害などが起き、野生生物が数多く絶滅しています。

でも、豊かな自然がなければ、生物がいなければ、私たち人間も地球に住むことは出来ません。

このままだと「風の谷のナウシカ」と同じように産業文明がどんどん繁栄し、環境汚染が進み、そして、地球が崩壊してしまうかもしれません。

しかし、日本では縄文時代から「アニミズム的思想」があったと考えられているし、さらに「神道」が信仰されていた歴史があります。

日本の歴史と宗教から自然を回復させるための解決策や自然と人間が共存するためのヒントが見つかるかもしれません。

地球が崩壊する前に、自然に対する考え方をあらためて学び直し、より「自然を敬う心」を大切にしていきたいところです。

「自然を敬う心」を大切にすることが、地球を守ること、ひいてはサステナブルな社会の実現に繋がります。

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