地球温暖化とは?原因・対策・影響について解説します!

地球温暖化とは、地球上の平均気温が長期的に上昇する現象のことを意味します。

また、一般的に「地球温暖化」という場合には、自然に気温が上昇することではなく、人間の活動によって上昇する場合を指します。

ちなみに、温暖化しているかどうかの判断は「去年の夏と比べて」とかそういうレベルではありません。

パリ協定の定義によると「産業革命の前と後」でどれくらい平均気温が上昇したかが基準となります。

温暖化の原因となりうる人間の活動が活発化したのが、まさに産業革命が起こった時期だからです。

そんな地球温暖化について、本記事では

  • 地球温暖化の「原因」
  • 地球温暖化の「影響」
  • 地球温暖化の「対策」

という3つの切り口で解説をさせていただきます。

原因

地球温暖化の原因となっているのは、二酸化炭素(CO2)をはじめとする温室効果ガスであると考えられています。

「はじめとする」と言っているわけですから、温室効果ガスは二酸化炭素だけではありません。

二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素、フロンガスなどが温室効果ガスです。

なぜ二酸化炭素ばかりが取り上げられるのかと言えば、温暖化の一番の原因となる温室効果ガスだからです。

それではなぜ温室効果ガスは地球温暖化の原因となるのでしょうか。

その答えを知るためには、地球が熱を蓄えるメカニズムを知っておく必要があります。

ザックリ言うと

  1. 太陽の光で地面や海が温められる
  2. 温められた熱は地球の外に向かって放出される
  3. 熱が宇宙に逃げないよう温室効果ガスが熱をキャッチする

こんなメカニズムになっています。

温室効果ガスは、まさに地球という室内を温めておく効果があるガスってわけですね。

逆に、温室効果ガスがないと、太陽の熱が地球に留まることが出来ないため、気温は-19℃になってしまいます。

ですから、二酸化炭素は本来、地球を適温に保つために不可欠な存在です。

しかし、何事も「行き過ぎ」はマズいんです。

大気中の温室効果ガスが増えすぎると、過剰に熱を蓄積することとなります。

その結果、地球温暖化に繋がるというわけです。

影響

IPCC第5次評価報告書によると、このまま何の対策もしなかった場合、今世紀末には地球の平均気温は最大で4.8℃上昇すると予測されています。

じゃあこれくらい気温が上がったとして、一体地球では何が起こるのでしょう?

海面上昇

真っ先に言われるのが海面上昇です。

地球全体の気温が上昇したら、北極や南極の氷が溶けだします。

そうすると、当然海の水の量は増えることになります。

すでに過去100年間で世界の平均海水面は16センチ上昇していて、その上昇率は近年高まってきています。

海面が上昇すると、ホッキョクグマなどの動物が絶滅の危機に晒され、生物多様性が脅かされます。

地球温暖化が原因で絶滅してしまう危機にある動物は1,750種類以上です。

また、海面が上昇すると人類にも当然影響が出てきます。

南太平洋にあるキリバス共和国の海面は2055年までに最大30センチほど海面が上昇し、首都周辺の島の5~8割が2050年までに水没してしまうと言われています。

実際、キリバス政府は国民を海外に移住させることを本気で視野に入れているほど。

また、今世紀末までに何の対策もとらなかったという最悪のシナリオを想定すると、海面は最大1m上昇するという予測もあります。

仮に海面が1m上昇すると、日本の砂浜の90%は水没してしまいます。

どうでしょう、日本も他人事ではないですよね?

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食糧危機

地球の平均気温が上昇すると、陸上から蒸発する水分の量が増えることになります。

そうなると、干ばつが起こる地域が増えることになり、結果として穀物生産量の減少に繋がります。

平均気温が2.5℃上昇するだけで、食料の需要に対する供給が追い付かなくなります。

そうすると当然、穀物の価格は上昇することになります。

2050年には世界の穀物価格が最大で23%上昇するとも言われています。

日本は食料自給率がとても低く、その大部分を海外からの輸入に頼っているので、その影響はとても大きいんです。

また、地球温暖化は地上だけでなく海水の気温上昇にも繋がります。

海に生きる生物たちは絶妙な温度のバランスで生きていますから、海面の平均水温が上昇すると海水の酸性化が進み、魚にとって非常に住みずらい環境になります。

そうなると、魚の漁獲量の低下にも繋がってきます。

魚を食料とする途上国の人も多いですから、飢餓を悪化させることになりかねません。

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異常気象

地球が温暖化すると、異常気象が発生しやすくなると言われています。

異常気象とだけ言うとなんかザックリしてしまうので、気象庁の定義に基づくと

「ある場所(地域)・ある時期(週、月、季節)において30年に1回以下で発生する現象」

が異常気象に該当します。

集中豪雨、熱波、干ばつ、森林火災、ハリケーン、サイクロンなどが異常気象です。

例えば2020年10月頃に発生したカリフォルニアの大規模な山火事は、専門家の間では地球温暖化が原因であると言われています。

ニューヨークタイムズは、カリフォルニア州の歴代10大山火事のうちの9つは過去十年間に発生していて、観測史上最も気温が高かった10年と一致していると報じています。

もちろん地球温暖化との因果関係が完全に立証されているわけではありませんが、地球温暖化の疑いを排除する理由は全くないでしょう。

参照:IPCC第5次評価報告書

対策

地球温暖化の原因となっているのが温室効果ガス、特に二酸化炭素です。

ですから、二酸化炭素の排出量を減らすことが地球温暖化の主な対策となってきます。

二酸化炭素は、製造業、農業、運輸、家庭など、色々な場所から排出されています。

しかし、大きな割合を占めているのはやはり「エネルギー」、つまり発電ですね。

これをどうにかしないといけない、っていうのが地球温暖化の基本的な課題です。

燃料の転換

発電の中でも一番大きな割合を占めているのがやはり火力発電です。

つまり、温室効果ガスの排出量が多い石炭や石油といった燃料から、もっと排出量の少ない燃料に転換しましょう、というお話です。

ざっくり二酸化炭素の排出量を燃料別にすると「石炭>石油>天然ガス」の順番です。

石炭火力発電のCO2排出量は、天然ガス火力発電のおよそ2倍です。

じゃあ二酸化炭素の排出量が少ない化石燃料である天然ガスへの転換を目指すべきなのかと言うと、世の流れ的にはそうはなっていません。

世界はすでに石炭どころか、天然ガスすらもゼロを目指そうという議論になっています。

(日本だけは未だに石炭火力発電を推進していますが…。)

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再生可能エネルギーの普及

太陽光、風力、地熱、バイオマスといったように、自然界の力をエネルギーに変換する発電方法を再生可能エネルギーと呼びます。

石炭、石油、天然ガスなどは地球上に存在する上限数が決まっている資源なので、人間が使い続ければいつか枯渇してしまいます。

しかし、太陽光や風力などは半永久的に枯渇することのないエネルギーです。

そして何より、再生可能エネルギーは発電時にCO2を排出しません。

世界でみた場合、再生可能エネルギーの普及は現状で26%ですが、年々上昇傾向にあります。

一方の日本は、再生可能エネルギーが占める割合は現状全体の18%とまだまだ低いです。

日本をはじめ、多くの国は2050年までにC02排出量の実質ゼロ(カーボン・ニュートラル)を目指すことを宣言しました。

カーボン・ニュートラルを実現するためには、再生可能エネルギーの普及は不可欠です。

原子力発電も再生可能エネルギーと同様、CO2の排出量はゼロです。しかし、事故が起きたときのリスクを考えると手放しで推奨は出来ません。特に原発事故があった日本では、火力発電をやめて原子力発電にしよう、とはならないでしょうね。(むしろ原発をやめて火力発電にしたくらいです。)

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パリ協定

地球温暖化は地球規模の問題ですから、一つの国が頑張ってどうこう出来る話ではありません。

世界中で協力して取り組むべき課題です。

世界の目標

というわけで、世界は協力して地球温暖化の対策をしようという協定を結びました。

それが2015年に採択されたパリ協定です。

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パリ協定では

  • 産業革命前と比較して世界の平均気温上昇を2℃より十分に低く保ち(2℃目標)、さらに1.5℃に抑えるための努力を追求(1.5℃目標
  • 今世紀後半に、世界全体の人為的温室効果ガス排出量を、人為的な吸収量の範囲に収めるという目標を掲げている

という目標を掲げています。

世界は今まさに、これらの目標達成に向けて温暖化対策をしているわけです。

さらに、パリ協定では

「この世界の目標を達成するためにあなたたちの国はどんな目標を掲げますか?」

という各国の目標提出が義務付けられています。

日本の目標

日本はどんな目標を提出したのかというと

「2030年度までに2013年比で温室効果ガス排出量を26%削減」

という数値目標です。

しかし、世界が掲げている目標数値を達成しても、残念ながら世界で掲げている2℃目標や1.5℃目標は達成できません。

特に日本の目標は世界中から批判をされており「もし日本が掲げている目標を世界中が設定したら地球温暖化は21世紀に3~4℃を超える」と言われています。

じゃあどうすれば2℃目標や1.5℃目標を達成できるのかというと、2050年までにCO2排出を実質ゼロ(カーボン・ニュートラル)にすることです。

【追記】
2021年4月22日、2030年に向けた温室効果ガスの削減目標について日本は、2013年度比で46%削減することを表明しました。
恐らく同年1月に、アメリカ第一主義を掲げていたトランプ政権から、多国間主義で地球温暖化対策に積極的なバイデン大統領に政権交代をし、パリ協定に復帰したことが大きな要因だと考えられます。

私たちに出来ること

温暖化を防ぐために、私たち個人にも出来ることがあります。

小まめに電気を消す

火力発電が完全になくならないのは、それだけ多くの電気が使用されているからです。

ですから、各家庭が電気の使用量を抑えることが、火力発電から出るCO2排出量を低下させ、ひいては再生可能エネルギーの導入促進に繋がるのです。

誰もいない部屋の電気は消す、見ていないならテレビは消す、使っていない電化製品のコンセントを抜く、エアコンの設定温度は夏28℃、冬20℃に。

家にいながら、誰でも今すぐ実践できる温暖化対策です。

節水する

「節水と温暖化って何の関係があるの?」

と思われがちですが、実は大有りです。

水が皆さんの家庭で使えるようになるまでに多くのCO2が排出されるのです。

例えば水源から浄水場に水を送るとき、浄水場で水を浄化するときなど、飲めるようになるまでに多くのプロセスで電気を使用します。

また、使い終わった水を下水処理場で処理するときにも電気を使用します。

ですから、家庭で節水することは、地球温暖化の対策に繋がるのです。

なるべく車を使わない

皆さんご存知の通り、ガソリン車は二酸化炭素を排出する乗り物。

自家用車は、日本全体のCO2排出量の中でも7.7%という大きな割合を占めます。

なるべく自家用車は使わないことで二酸化炭素排出の削減に繋がります。

公共交通機関を利用したり、自転車や徒歩で移動することを心掛けましょう。

マイバッグの持参

ゴミを運んだり燃やしたりするときに、大量の温室効果ガスが排出されます。

ですから、ゴミを削減することは二酸化炭素排出の削減に繋がります。

ちなみにレジ袋は1枚の平均使用時間がたった12分しかありません。

でも、そのたった1枚のレジ袋が自然に分解されるのには最長1,000年かかると言われています。

あらゆるゴミの中でも最も無駄で、かつ削減が容易なゴミがレジ袋なんです。

なるべくマイバッグを持参するよう心掛けましょう。

お肉を食べる日を減らす

畜産業というのは非常に多くの二酸化炭素を排出します。

飼料生産、飼料輸送、飼養管理、ふん尿処理などあらゆる場面で温室効果ガスが排出されます。

ちなみに全産業のCO2排出量のうち18%を畜産業が占めています。

18%というと、自動車・飛行機・船舶といった「全ての交通」が排出する温室効果ガスを超える量です。

また、畜産業の中でも特に温室効果ガスを排出しているのが牛肉です。

畜産業が排出する温室効果ガスのうち70%を牛肉が占めています。

牛肉から鶏肉に変えるだけでも、排出ガス量は70パーセント削減できます。

理想はお肉を完全にやめる、難しい人はお肉を食べない日を作る、あるいは鶏肉を選ぶ。

それだけで大きな地球温暖化の対策になります。

オーガニックコットンを選ぶ

ファッション業界は世界で2番目に環境を汚染している業界と言われています。

そんなファッション業界の中でも特に問題なのが「コットン」。

洋服などに使われるコットンは、生産時に大量の殺虫剤や農薬が使用されます。

世界で使用される殺虫剤のうち16%、農薬のうち7%が綿花の畑で使用されているのです。

農薬をまいた農地などから発生する亜酸化窒素ガスは、二酸化炭素の310倍の温室効果があると言われています。

一方、農薬などを使用しないオーガニックコットンの場合、通常のコットンに比べ温室効果ガスの排出量は46%も少ないのです。

それだけでなく、オーガニックコットンは無肥料・無農薬なので、土壌は二酸化炭素を吸収する機能も持ちます。

なるべくオーガニックコットンの製品を選ぶようにすることで、地球温暖化対策に繋がります。

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現状

残念ながら、我が国は世界から名指して批判されるほど、環境後進国になってしまいました。

批判されている最大の理由は、先進国の中で唯一、日本だけが石炭火力発電を推進している国だからです。

ただ、日本が石炭火力発電を推進しているのにも理由がないわけではありません。

それが2011年に発生した東日本大震災です。

原発事故が発生して以降、多くの原子力発電所は稼働を停止しました。

そして、原発の代わりに、二酸化炭素の排出量の多い火力発電の割合を増やしたのです。

原発を停止した分の電力を石炭火力発電以外でまかなおうとすると、今度は電気料金が上がってしまいます。

そんな背景があり、日本は未だに石炭火力発電を推進しているわけです。

最後に

以上が地球温暖化に関する解説です。

これまで世界は「出来れば地球に良いことをしよう」くらいのスタンスで地球温暖化の対策に取り組んできました。

しかし、地球温暖化の上昇スピードは加速し、いよいよヤバいということに気付いた結果がパリ協定です。

もはや地球温暖化対策はまったなしというわけです。

日本も2050年までにCO2の排出を実質ゼロにする宣言をしましたから、悠長なことはやってられません。

とはいえ、地球温暖化対策は国だけの問題ではなく、個人の問題でもあります。

是非今日から、一人ひとりで出来る地球温暖化対策に取り組んでみてください。

そして出来れば、多くの人を巻き込んでみてください。

皆さんの小さな一歩は、やがて人類の大いなる一歩に繋がるはずです。

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