ヘンプとは?特徴やサステナビリティを解説します

環境
この記事を書いた人
RYU

生まれも育ちも神奈川県。サステナブル生活2年目。自宅の電気を再エネに切り替えました。フォロワー3万人のInstagramを中心にSDGs、地球温暖化、エシカル消費などの情報を発信するメディア「サステラ」を運営中。

RYUをフォローする

ヘンプとはアサ科の植物の一つで、数ある麻の種類の一つです。

麻は大きく分けて

  • リネン(亜麻)
  • ラミー(苧麻)
  • ヘンプ(大麻)
  • ジュート(黄麻)

の4種類に分類することが出来ます。

大麻と言われるとマリファナをイメージする方が多いですが、ヘンプを指す場合の大麻は「たいま」ではなく「おおあさ」と読む場合が多いです。

そしてヘンプは近年、サステナブルな植物であるとして注目を集めています。

スポンサーリンク

ヘンプの定義

マリファナではなくヘンプと認められるかどうかを分ける基準は「THC」です。

THC(テトラ・ヒドロ・カンナビノール)は大麻の葉や花に含まれる成分で、いわゆるハイになったりする向精神性をもたらすのがTHCです。

国によってヘンプとして認められるTHC含有量の基準が異なり、ヨーロッパはTHC0.2%以下、アメリカ・カナダではTHC0.3%以下、スイス・タイではTHC1%未満をヘンプとして定義しています。

残念ながら日本の場合は今のところヘンプに関する法律上の定義はありません。

そして基準値を超えるものはマリファナ(カンナビス)と定義され、違法と見なされます。

ちなみに日本で昔から栽培されてきた大麻は、まさにヘンプに該当する大麻であり、THCが非常に低いものでした。

ですから、日本では長い歴史において大麻が栽培されてきたのにも関わらず、大麻を吸引するような習慣が生まれなかったのです。

(ただし戦後GHQによってマリファナとヘンプが同列に扱われ、一律で栽培が禁止されてしまいました。)

流通している理由

日本ではTHCの定義がないのに、なぜヘンプの洋服が流通しているのか。

それは、大麻取締法で規制をしているのはあくまで草や花の部分であり、成熟した茎や種は規制の対象外だからです。

茎や種には向精神性をもたらすTHCが含まれていないため規制されていないものと思われます。

そしてヘンプの洋服は主に「茎」の部分から作られるため、日本でも流通しているというわけです。

大麻取締法
第一章 第一条
この法律で「大麻」とは、大麻草(カンナビス・サティバ・エル)及びその製品をいう。
ただし、大麻草の成熟した茎及びその製品(樹脂を除く。)並びに大麻草の種子及びその製品を除く。

CBD

ヘンプにはTHCのほかにCBD(カンナビジオール)という化学物質も含まれています。

CBDオイルを見かけたことがあるという人も多いのではないでしょうか?

日本で売られているCBDオイルも、やはり規制の対象外である茎や種から採取されるCBDであることから問題ナシというわけです。

またCBDには、THCのような向精神性がなく、むしろ美容や健康に役立つと期待されています。

CBDの安全性や有効性については世界保健機関(WHO)も認めています。

ちなみに日本の厚生労働省は2020年4月にCBDについて見解を発表しています。

  • 大麻草の成熟した茎又は種子以外の部位(葉、花穂、枝、根等)から抽出・製造された CBD 製品は、「大麻」に該当します。
  • なお、大麻草から抽出・製造されたかを問わず、大麻草由来の成分であるテトラヒドロカンナビノール(THC)を含有する CBD 製品は、「大麻」に該当しないことが確認できないので、原則として輸入できません。
    また、化学合成された THC は麻薬及び向精神薬取締法で「麻薬」として規制されていますので、原則として輸入できません。

参照:CBD(カンナビジオール)を含有する製品について

美容

ヘンプは化粧品としても活用されています。

有名なところでいえば、THE BODY SHOPで20年以上愛され続けているロングセラーのヘンプシリーズ。

ヘンプシードオイルは保湿力とエモリエント効果が非常に高いと言われています。

洋服

麻の洋服と言われればリネンを思い浮かべる人が多いと思います。

実際、洋服の品質表示のタグに「麻」と記載されるのはリネンとラミーだけです。

そして近年ではCBDオイルの流行なども相まってヘンプ自体の注目が集まり、洋服の繊維としてのヘンプも注目されています。

ただし、ヘンプの場合は「麻」ではなく「指定外繊維」として記載されます。

生地の特徴

通気性が良い

リネンと同じくヘンプに関しても通気性が高く、肌に張り付きにくいため、夏服にピッタリの生地です。

シャリ感が強い

リネンやラミーよりもシャリ感があり、肌触りがより涼しく感じられます。

耐久性が高い

ヘンプをはじめとする麻の繊維は自然素材の中で最も強度の高い素材と言われています。

どれくらい強度が高いかというと、エジプトのミイラにまかれた麻の包帯が今でも原型をとどめているくらいです。

耐水性が高い

ヘンプは水にも強く、水に濡れるとむしろ強度を増すくらいです。

防臭効果が高い

ヘンプは繊維自体に天然の制菌性が備わっており、カビや雑菌の繁殖を抑えてくれるため、洋服の防臭効果が非常に高いのです。

乾きやすい

ヘンプ繊維には無数の微細な空洞があり、その空洞が汗と熱を空気中に発散してくれる役割を持ちます。

そのため、汗をかいても乾きが早いのです。

熱伝導率が低い

麻は夏の服というイメージが強いです。

しかしながら、熱伝導率が低いため、夏涼しいだけでなく、冬は暖かいのです。

バイオマスプラスチック

出典:https://hempplastic.com/

ヘンププラスチックは、石油を消費することなく生産可能なバイオプラスチックです。

もちろん生物由来なので生分解して自然に還ります。

また、プラスチックは生産過程で多くのCO2を排出しますが、麻は育つときに大量のCO2を吸収するため、生産過程ではCO2排出量より吸収量の方が多い(カーボンネガティブ)と言われています。

ヘンプミルク

牛乳は排出するCO2、森林伐採、水の量など、あらゆる観点で環境負荷が高いです。

そんな背景もあり、最近はヘンプの実から作られるヘンプミルクが世界中から高い人気を得ています。

サステナビリティ

ヘンプはとてもサステナブルな洋服の繊維として注目されています。

なぜヘンプがサステナブルだと言われているのかをご紹介させていただきます。

水の使用量が少ない

コットンはTシャツ1枚製造するのに2,500リットルもの水が必要になります。

しかしヘンプは人が水を与える必要がありません。

自然に降る雨と太陽の光だけで育ちます。

無駄なく活用

ヘンプは収穫した素材のほぼ100%を活用することができます。

茎は洋服の繊維や紙に、種子は食品や化粧品として活用されます。

大量のCO2を吸収

植物は成長する際に光合成をして大気中の二酸化炭素を吸収します。

産業用ヘンプは、1ヘクタールあたり22トンのCO2を吸収することができます。

さらにヘンプは年に2回の栽培が可能なので吸収量は2倍です。

世界中の多くの国々は、ヘンプが脅威ではないことを認識し、CO2を吸収する手段としてヘンプの栽培を広く奨励し、栽培農家に炭素クレジットを発行しています。

ケンブリッジ大学の上級研究員であるDarshil Shah氏によると、ヘンプは森林に比べて2倍効率的に大気中の炭素を回収することができるといいます。

Darshil Shah氏は

「多くの研究で、麻はCO2をバイオマスに変換する最も優れた素材のひとつであると推定されています。樹木よりもさらに効果的です。工業用ヘンプは、栽培面積1ヘクタールあたり8~15トンのCO2を吸収します。それに比べて森林は、生育年数、気候地域、樹木の種類などにもよりますが、一般的に1ヘクタールあたり年間2~6トンのCO2を吸収します。」

と述べています。

【参照】
The Role of Industrial Hemp in Carbon Farming
Hemp “more effective than trees” at sequestering carbon says Cambridge researcher

カーボンネガティブ

世界は今、カーボンニュートラルの世界を実現しようとしています。

つまり、生産から消費までのサイクルにおいて、排出CO2と吸収CO2の量がプラマイゼロに収まるようにしよう、というのがカーボンニュートラルです。

しかしヘンプの場合、CO2吸収力の高さゆえ、ヘンプ製品をつくると、最終的にプラマイゼロどころかマイナス、つまりCO2吸収量の方が多い「カーボンネガティブ」になりえるのです。

欧州産業麻協会(EIHA)によると

「ヘンプの生産はカーボンネガティブです。つまり、ヘンプの収穫、処理、輸送に使用される機器から排出されるよりも、成長中に大気からより多くの炭素を吸収します。」

と述べています。

【参照】European Industrial Hemp Association (EIHA)

成長が早い

ヘンプの成長は非常に速く、雑草よりも早く成長すると言われています。

100日で4mm程にまで成長します。

農薬必要なし

コットンは栽培する際に多くの農薬が使用されます。

世界の農薬の6.8%、殺虫剤の15.7%がコットン生産で使用されています。

しかしヘンプはとても成長が早く、害虫に強いという特性があります。

そのため、栽培時には農薬や肥料を全く必要としません。

どこでも栽培可能

ヘンプは冷帯、熱帯、どんな気候でも栽培が可能です。

輪作が可能

ヘンプは他の作物との輪作が可能なので単一栽培による環境負荷を減らすことが可能です。

害虫を駆除

ヘンプは線虫などの土壌病害虫を駆除し、後続の作物の収量を向上させます。

その結果、後続の作物の収穫量が向上します。

土壌改良

出典:北見農業試験場の研究

ヘンプは土壌に根を深く、くまなく張り巡らせるため、収穫をすると土壌がフカフカになります。

その昔、日本では痩せた土地でもソバや野菜を栽培できるよう、土壌改良のために麻を一緒に植えたと言われています。

さらに、最近の研究によると、ヘンプを栽培した土壌では、化学肥料などをまいた際に蓄積される「硝酸性窒素」を除去する効果が認められたそうです。

海外でも、ヘンプに土壌改良の効果があるとの研究結果が報告されています。

ヘンプは、他の植物が届かないほぼ地中深くに根を張るため、土壌中の栄養素を利用して、土壌に栄養分を加えます

ヘンプは、ファイトレメディエーションと呼ばれるプロセスで、地中の有害物質を浄化します。

ロシアではチェルノブイリ原発事故後の放射性物質の除去にヘンプが使用されました。

【参照】
北海道ヘンプ協会
The Role of Industrial Hemp in Carbon Farming

最後に

言うまでもなく、日本でのマリファナの使用は絶対にダメです。

私はそこまでの解禁は求めていません。

ただ、マリファナとヘンプの違いについてはしっかり啓蒙していくべきだと思います。

特に日本は戦前まではお米に次いで栽培が盛んな植物であったはずですから、ポテンシャルは高いはずです。

ぜひともサステナブルな社会の実現に向け、ヘンプの有効性に目を向けてもらいたいものです。

この記事を書いた人
RYU

生まれも育ちも神奈川県。サステナブル生活2年目。自宅の電気を再エネに切り替えました。フォロワー3万人のInstagramを中心にSDGs、地球温暖化、エシカル消費などの情報を発信するメディア「サステラ」を運営中。

RYUをフォローする
環境
スポンサーリンク
RYUをフォローする
サステラ

コメント

タイトルとURLをコピーしました