カーボンオフセットとは、ある場所で二酸化炭素を排出する代わりに、植林活動などの「二酸化炭素の削減努力」をすることで相殺する、という考え方です。
二酸化炭素を出してしまったとしても、代わりに二酸化炭素を削減する行動をとるなら、それでプラマイゼロになりますからね。
ざっくりいうと、環境に悪いことをする代わりに、環境に良い行動もして「埋め合わせをする」ことがカーボンオフセットです。
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環境省
カーボンオフセットについては、環境省の明確な定義があります。
カーボン・オフセットとは、市民、企業、NPO/NGO、自治体、政府等の社会の構成員が、自らの温室効果ガスの排出量を認識し、主体的にこれを削減する努力を行うとともに、削減が困難な部分の排出量について、他の場所で実現した温室効果ガスの排出削減・吸収量等(以下「クレジット」という)を購入すること又は他の場所で排出削減・吸収を実現するプロジェクトや活動を実施すること等により、その排出量の全部又は一部を埋め合わせることをいう。
カーボン・オフセットのあり方に関する指針を検討する背景
メリット
出典:https://www.maff.go.jp/j/kanbo/kankyo/seisaku/climate/jcredit/offset/carbonoffset.html
たとえば、海外のECサイトなどで買い物をすると、決済時に「カーボンオフセットオプション」なるものを見かけることがあります。
ブラウザの拡張機能でカーボンオフセットを選ぶことができる「EcoCart」が有名です。
これは、購入した商品を発送する際、飛行機やトラックから排出されるであろうCO2の量を計算し、金額換算して商品の金額の1~2%分くらい上乗せして支払うことができるオプションです。
上乗せして支払ったオプション料金は、例えば植林活動や再生可能エネルギーの設置に充てられます。
植物は光合成によって二酸化炭素を吸収しますから、商品発送の際に発生するCO2を実質的にプラスマイナスゼロにすることができます。
インターネットで簡単に海外の商品が買えるようになった一方で、輸送などによるCO2の排出量も増えることになります。
だからこそ、カーボンオフセットオプションにより利便性とサステナビリティを両立できるのは大きなメリットです。
デメリット
カーボンオフセットはとても画期的ですが、環境に良い行動をとらないことを正当化するための、免罪符のごとく使用する企業が現れる可能性があるのはデメリットです。
つまり、カーボンオフセットは本来二酸化炭素を排出することが避けられない、致し方ない場面で活用する「最後の手段」であるべきであり、そもそも二酸化炭素を排出しないに越したことはないのです。
例えば、アメリカのとある格安航空会社は、飛行機が排出する温室効果ガスをオフセットし、代わりにサンフランシスコ国際空港の発着便でよりクリーンな燃料を使用することを発表しました。
しかし、専門家からは「カーボンオフセットを導入する前に、そもそも旅客機の効率向上に予算を投じたのか?石油燃料の代わりとなりうるバイオ燃料などへの投資はしていたのか?」といった指摘がありました。
確かに、カーボンオフセットがあることによって、企業がサステナビリティのための研究や投資を怠り、思考停止してしまうのは考えものかもしれません。
参照:https://wired.jp/2020/02/10/do-carbon-offsets-really-work-it-depends-on-the-details/
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