沖縄のうんてん洋菓子店が食品ロスの問題と向き合う理由

食べられるのに捨てられてしまう食品のことを「食品ロス」と言います。

日本でも食品ロスは問題となっており、日本の食品廃棄物は年間2531万トンに及びます。

食品ロスは、単に「もったいない」だけではありません。

廃棄するための処理にコストがかかったり、廃棄場への輸送時や焼却時にCO2が排出されるなど様々な課題があります。

そんな食品ロスに向き合う洋菓子店が、沖縄県にある「うんてん洋菓子店」です。

廃棄されるはずの食材や規格外とされる市場に出ない食材を商品に使用し、ロス削減に貢献しています。

うんてん洋菓子店は、なぜ食品ロスの問題と向き合うこととなったのでしょうか?

今回は、うんてん洋菓子店の運天さんにお話しを伺いました!

うんてん洋菓子店とは?

——事業内容について教えてください。

運天さん:私たち「うんてん洋菓子店」は、洋菓⼦の製造・販売を⾏っています。

お客様はもちろんのこと、⽣産者さんにとっても「うれしいお菓⼦づくり」を⽬指しています。

——洋菓⼦店を運営するに⾄った経緯を教えてください。

運天さん:もともと沖縄県内のケーキ屋さんで、現うんてん洋菓子店のメンバー全員が働いていました。

その中で形の悪いフルーツや売れ残った生菓子など、廃棄される⾷材がある度に「もったいない、どうにかできないだろうか」という気持ちになっていました。

「規格外でも全て同じように⼤切に育てたもの」という農家さんの⾔葉に背中を押され、今まで勤めていた洋菓⼦店を辞めて、規格外のフルーツや廃棄される⾷材を積極的に活⽤した洋菓⼦店を同じ思いで集まったメンバーでチャレンジすることになりました。

SDGsの取り組み

——貴社がどのようにSDGsに取り組んでいるのかを教えてください。

運天さん:「持続可能なお菓⼦」をコンセプトに商品を開発しています。

⾷べ続けられるお菓⼦を目指し、原料にこだわり、無添加で素材の味を活かしたお菓⼦にしています。

また、材料を調達する時は、⾝近なところから余っている材料に着⽬して作っています。

廃棄される予定だったもの、規格外の市場に出ないもの、農家さんが大切に育てた食材を積極的に使用しています。

現在は沖縄県産の⿊糖や紅芋がたくさんあるので、そういった食材を中⼼に商品開発を⾏っています。

また、通常は産業廃棄物として焼却処分されるサトウキビの搾りかす(バガス)をお菓⼦の原料に使っています。

持続可能なお菓子にするために、農家さんをはじめとする⽣産者さんにも、価値が⽣まれる仕組みにしていきたいと思っています。

——事業にSDGsを取り⼊れるようになった経緯を教えてください。

運天さん:洋菓⼦店としてやりたかったことがSDGsに近かったこともあり、取り入れるようになりました。

SDGsについて知らないことも多かったので、まずは調べて学び、実践できそうなことから始めました。

SDGsの課題

——事業とSDGsを両⽴するうえで課題に感じていることはありますか?

運天さん:私たちは⾷品ロスを無くすために、事前に生菓子を作って並べておくのではなく、注⽂が⼊ってからケーキの仕上げを⾏っています。

洋菓⼦店は一般的に、ショーケースにたくさんのケーキが並んでいます。

そのため、当店のショーケースを⾒てがっかりされるお客様や通常よりもお待たせしてしまうこともあります。

なので、お客様にきちんとご説明をしてご理解いただく情報提供の⽅法に課題を感じています。

食品ロスの問題を知っていただくことで、理解してくれるお客様は多いと思います。

なぜこのようなスタイルなのか、注文が入ってから生菓子を作るとどのくらい⾷品ロス削減につながるのかなど、⾃分たちでも理解を深めながらお客様へきちんとお伝えしていきたいです。

おすすめ商品

——おすすめの商品を教えてください。

運天さん:おすすめは「めぐるクッキー」です。

沖縄県産のきび砂糖と国産の⼩⻨粉・全粒粉・グラハム粉を使い、ザクザクした⾷感と優しい⽢さが特徴のクッキーです。

プレーン、⿊糖、紅芋の3種類があり、素材そのものの味わいを感じていただけるように⼀枚⼀枚職⼈の⼿で作っています。

めぐるクッキーにはサトウキビの搾りかすであるバガスを使っています。

バガスは、焼却処分されていたのですが、⾷物繊維やミネラルなどの栄養価も⾼いので、これから多くのお菓⼦屋さんでも使ってもらえるといいなと思っています。

お菓⼦を贈るとき、贈る⼈、贈られた⼈、そして⽣産者さんにとっても、うれしい気持ちがめぐりますようにと願いを込めて「めぐるクッキー」にしました。

今後のSDGsについて

——今後、新たにやっていきたいSDGsの取り組みを教えてください。

運天さん:好みに合わせてお菓⼦を選ぶように、それぞれの寄付先でお菓⼦を選んでもらう仕組みを今後やっていきたいと考えています。

例えば、めぐるクッキーはSDGs1「貧困をなくそう」の関連先へ寄付ができる。

レモンケーキは、SDGs2「飢餓をゼロに」の関連先へ寄付ができるなど、お菓⼦を通して⽀援が⾏える取り組みをしていきたいです。

また寄付だけではなく、実際に現地へ⾏ってお菓⼦作りの教室を開催したり、現地の規格外フルーツで作れるお菓⼦を開発したいとも考えています。

現在、弊社で取引しているミャンマーのコーヒー農園があるので、1年後にミャンマーのコーヒー農園の方々と⼀緒にお菓⼦づくりをすることが⽬標です。

SDGsは理解することから始まる気がしていて、なるべく直接コミュニケーションをとることを⼼がけたいと思っています。

これからについて

——貴社の今後の展望について教えてください。

運天さん:お店に関わる⽅々にとってSDGsが、より⾝近なものになってほしいと思っています。

そのことで⼈⽣がより豊かなものになり、⾃然とSDGsが広がるといいです。

また私たちは、⽣産者さんがいてくれるからお菓⼦をつくることができます。

⽣産者さんがつくるをやめてしまうと、私たちもお菓⼦を作り続けることが難しくなります。

ですので、⽣産者さんにとっての新しい価値を⽣み出せるよう、傷のあるフルーツや変形したものを積極的に取り扱い、お菓⼦に変えて少しでも貢献できるようになりたいです。

そして規格外という⾔葉がなくなり、それぞれの素材がそこに合う場所で活躍できるよう今後取り組んで⾏きたいです。

たくさんの課題もありますが、今できること、正しいと思う選択を⼀つ⼀つ向き合いながら、ご縁を⼤切に店舗運営を⾏っていきます

最後に

以上がうんてん洋菓子店の運天さんのインタビューでした!

うんてん洋菓子店は、食品ロスに貢献するだけでなく、沖縄産素材を使用するなど地産地消にも取り組んでいます。

あらゆる面から持続可能なお菓子作りを目指すうんてん洋菓子店。

食べる人も生産者さんにも「うれしいお菓子」を食べて、食品ロス削減に貢献してみませんか?

関連記事一覧

  1. この記事へのコメントはありません。