再生可能エネルギーとは?種類とメリット・デメリットを解説

二酸化炭素を排出しないエネルギーを再生可能エネルギー、またはクリーンエネルギーといいます。

太陽光、風力、地熱、水力、バイオマスなどが再生可能エネルギーです。

石炭や石油などをエネルギーとする火力発電は温室効果ガスを排出するだけでなく、地球上に存在する量に限りがあるため、使い続ければいつかは枯渇します。

しかし、太陽や風であれば温室効果ガスを排出せず、安全性が高く、半永久的に生産することが可能です。

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背景

なぜこれだけ再生可能エネルギーへの移行が世界中で声高に叫ばれているのかと言えば「地球温暖化」があげられます。

世界は2015年に締結をした「パリ協定」において、温室効果ガスの排出を削減する目標を立てました。

こんな目標です。

  • 産業革命前と比較して世界の平均気温上昇を2℃より十分に低く保ち(2℃目標)、さらに1.5℃に抑えるための努力を追求(1.5℃目標)
  • 今世紀後半に、世界全体の人為的温室効果ガス排出量を、人為的な吸収量の範囲に収める

これは世界共通の目標であり、国ごとに何%減らす、という目標も各国ごとに設定されています。

そして温室効果ガスの排出を抑え、パリ協定で掲げる目標を達成するためには、再生可能エネルギーの導入が不可欠なのです。

こんな背景から、世間では再生可能エネルギーという言葉をよく耳にするようになったのです。

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種類

代表的な再生可能エネルギーとして

  • 水力発電
  • 太陽光発電
  • 風力発電
  • 地熱発電
  • バイオマス発電

などがあげられます。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

水力発電

高いところから低いところへ流れる水のエネルギーを利用して発電を行うのが「水力発電」です。

2019年時点で、日本の再生可能エネルギーの中で太陽光と並んで最も普及しております。

河川などに発電用水車を設置する流れ込み式や、ダムに貯めた水を放流することで発電する貯水池方式があります。

再生可能エネルギーの中で最もエネルギーの変換効率が高いのが水力発電です。

太陽光の変換効率は約20%、地熱発電は約10~20%、風力発電は約20~40%、水力発電は約80%です。

水力発電は太陽光や風力と異なり、自然条件に依存することなく、安定的に電力を供給することが可能です。

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太陽光発電

太陽の光をエネルギーに変換する発電方法が「太陽光発電」です。

屋根や壁などのスペースを利用して設置が可能なので、場所を取らず、導入がしやすいのが特徴。

日本では、再生可能エネルギーの中で、水力発電と並んで普及しているが太陽光発電です。

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風力発電

風のエネルギーを電気に変えるのが「風力発電」です。

太陽光とは異なり、導入できる場所が限定的ですが、発電効率はとても高いです。

また、太陽光とは異なり、風さえ吹いていれば夜間でも発電することができるのも特徴。

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地熱発電

主に火山活動などによって地中から発生する蒸気を利用して発電を行うのが「地熱発電」です。

太陽や風力発電のように、気候条件に左右されず安定した発電ができる点が大きなメリットです。

日本のような世界有数の火山国では大きなポテンシャルのある発電です。

しかし、発電設備を作るための調査に時間とコストがかかったり、地熱発電に適した土地が温泉地であったりして、地元住民からの反対にあったりと、なかなか普及が進んでいないのが現実です。

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バイオマス発電

動植物などから産まれる生物資源を用いて発電を行うのが「バイオマス発電」です。

例えば、余った建材、家畜の排せつ物、食品廃棄物といった資源を燃やしたりガス化することで電気を生み出します。

バイオマス発電は、温室効果ガスを排出しないだけでなく、資源を無駄なく活用できるという点で非常にサステナブルな発電です。

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メリット

再生可能エネルギーを導入すると

  • 枯渇しない
  • 温室効果ガスを排出しない
  • 安全性が高い
  • エネルギー自給できる

といったメリットがあります。

枯渇しない

石炭や石油といった化石燃料は、地球上に存在する数に限りがあります。

エネルギーとして人間が使い続ければ、いつか枯渇することになるでしょう。

しかし太陽光は太陽がある限り、風力なら風が吹く限り、枯渇することなく発電することが可能です。

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温室効果ガスを排出しない

火力発電は石炭や石油を燃やす際に温室効果ガスを排出します。

しかし再生可能エネルギーは温室効果ガスを排出しません。

世界的に再生可能エネルギーの導入が叫ばれている理由がここにあります。

安全性が高い

温室効果ガスを排出しない、という点では原子力発電も同様のメリットがあります。

しかし、発電効率も非常に高い原子力発電が支持されづらい点が、安全性という問題です。

事故が起こった際には人体に悪影響を及ぼす放射能が漏れる危険性があります。

チェルノブイリ原発や福島第一原発の事故により、原発の安全神話は崩れたと言っていいでしょう。

一方、太陽光や風力といった再生可能エネルギーは、仮に事故を起こしても、人体に害が及ぶことはありません。

デメリット

再生可能エネルギーもメリットばかりではありません。

  • 環境に左右される
  • 発電効率が悪い
  • 発電コストが高い

といったデメリットがあります。

環境に左右される

例えば太陽光エネルギーは、文字通り太陽の光をエネルギーに変換するため、発電量は日照時間に左右されます。

風力発電も同じで、毎日同じ強さの風が吹くわけではありませんから、発電量は日によってムラがでてきます。

天候に左右されず、安定的に発電ができる火力や原子力に比べるとデメリットです。

発電効率が悪い

再生可能エネルギーは、水力発電を除き、火力発電や原子力に比べると発電効率が悪いです。

発電効率とは、光や熱などのエネルギーを電気に変換する効率のことを指します。

太陽光発電 約14~21%
風力発電 約30%~40%
水力発電 約80%
地熱発電 約10~20%
バイオマス発電 約20%
火力発電 約42~61%
原子力発電 33%

発電コストが高い

再生可能エネルギーのデメリットとしてよく挙げられてきたのが「発電コストが高い」という点です。

しかし、世界的に見てみると、再生可能エネルギーの発電コストは年々下がってきています。

2020年時点では、世界の人口の3分の2にあたる国々で、新規設備容量として最も安価な発電方法になっています。

日本でも太陽光発電や風力発電の発電コストは低下しつつあるものの、火力発電のランニングコストよりも高いのが現状です。

最後に

日本は2050年カーボンニュートラル宣言をしており、さらに2021年4月には温室効果ガスの削減目標を26%から46%に引き上げました。

これが意味するところは、望むと望まざるとにかかわらず、日本は再生可能エネルギーへの移行はもはや避けて通れない喫緊の課題だということです。

そしてなにより、地球温暖化は着実に進行していること、化石燃料には限りがあることなどを考えれば、世界は今後さらに再生可能エネルギーの導入を推し進めるはずです。

人類が火力発電や原子力と決別する未来も、そう遠くないかもしれません。

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