火力発電のメリット・デメリットについて解説します

産業革命以降、人類は化石燃料とともに発展を遂げてきました。

しかし地球温暖化と、それに伴うカーボンニュートラルが叫ばれる昨今、時代の変革期にあると言えます。

火力発電は多くのCO2を排出し、地球温暖化に影響を与えることから、段階的な廃止が世界で議論されています。

しかし、現時点で全世界が火力発電を廃止していないのは、それなりに恩恵もあるからです。

火力発電には一体どんなデメリットがあり、メリットがあるのか。

本記事で解説させていただきます。

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火力発電の種類

火力発電とは、化石燃料(石油・石炭・天然ガス)の熱エネルギーを電力に変換する発電方法です。

一口に火力発電といっても、化石燃料の種類によって長所と短所があります。

化石燃料 メリット デメリット
石油 ・貯蔵が容易 ・資源の量が少ない
・中東への依存度が高い
・価格が高く不安定
石炭 ・資源の量が豊富
・調達先が分散している
・低価格で安定している
・CO2排出量が多い
天然ガス
(LNG)
・CO2排出量が少ない
・調達先が分散している
・供給が安定している
・貯蔵、輸送が難しい
・価格が高い
・インフラ整備が必要

メリット

安定した電力供給

太陽光発電や風力発電といった再生可能エネルギーとは異なり、時間帯や天候に左右されません。

燃料さえあれば安定した電力供給が可能です。

発電効率が高い

火力発電は発電効率が高く、水力発電に次いで2番目です。

発電効率とは、エネルギーをどれだけ効率よく電力に変換できるか、という数値です。

太陽光発電 約14~21%
風力発電 約30%~40%
水力発電 約80%
地熱発電 約10~20%
バイオマス発電 約20%
火力発電 約42~61%
原子力発電 33%

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敷地面積が狭い

火力発電は原子力発電所や水力発電所ほど広大な土地を必要としません。

事故の影響が比較的少ない

事故が起こった場合に放射能で自然界や人体に影響を与える原子力発電に比べれば、火力発電は事故発生時の影響は軽微です。

出力調整しやすい

火力発電は再生可能エネルギーとは異なり、燃料さえあれば季節や天候に左右されず発電が可能です。

ですから、冷房を使用する夏、暖房を使用する冬など、季節によって変動する電力需要に応じて出力をコントロールすることが出来ます。

デメリット

二酸化炭素を排出する

再生可能エネルギーや原子力発電とは異なり、火力発電は発電時に二酸化炭素を排出します。

火力発電のCO2排出量は地球温暖化に影響を与えていると考えられ、世界は脱炭素社会を実現すべく、石炭火力を廃止する国が増えています。

出典:電力中央研究所「日本における発電技術のライフサイクルCO2排出量総合評価」

資源に限りがある

石炭・石油・天然ガスといった化石燃料は、地球上に埋蔵されている量に限りがあります。

人間が消費し続ければ、いつかは枯渇してしまいます。

エネルギー自給ができない

出典:資源エネルギー庁「日本が抱えているエネルギー問題」

日本は資源に乏しい国です。

そのため、エネルギーの大量消費国でありながら、世界的に見てもエネルギー自給率は非常に低い水準です。

石炭・石油・天然ガスといった化石燃料は、すべて海外からの輸入に頼っています。

出典:資源エネルギー庁「日本が抱えているエネルギー問題」

最後に

2021年11月のCOP26にて40か国以上が「脱石炭」に関する声明に署名をしましたが、日本は署名をしませんでした。

日本は過去に東日本大震災により原発事故を起こしてしまったため、電力を安定供給するため、現状は火力発電に頼らざるを得ない状況にあります。

しかし地球温暖化に国境はないため、各国どんな事情があるにせよ、火力発電の比率は下げていく必要があります。

日本における、さらなる再生可能エネルギーの普及を望みます。

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