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コオロギ食のメリットや危険性は?炎上について思うこと

ここ最近は、良くも悪くもコオロギ食への注目が集まっています。

日本の場合は2023年、悪い意味で注目を集めました。

そもそもなぜ日本でコオロギ食が普及するという話になったのか。

コオロギ食への批判について個人的に思うことなどなど…。

色んな角度からコオロギ食についてお話してみようと思います。

目次

なぜコオロギ食?

お寿司に、和牛に、ラーメン…。

これだけ美味しい食べ物に囲まれている日本で、なぜコオロギを食べようなんて話が浮上したのか。

それは、食糧危機という問題があるからです。

世界の人口は増え続けており、2022年12月には80億人を突破しました。

2050年には90億人を超えると予測されています。

これまで私たち人類は食肉によって多くのタンパク質を賄ってきましたが、需要と供給が10年以内に逆転すると言われています。

食料供給の量を2倍にする必要があると言われていますが、じゃあ地球を2倍の大きさに出来るかというと、残念ながらできません。

この危機的な状況のことを「タンパク質危機」と呼びます。

出来る限り環境負荷を小さく、そして効率的にタンパク質がとれる食品として、コオロギ食という案が浮上したわけです。

メリット

環境負荷が低い

1kg生産するのに、鶏は4.5kg、豚は9.1kg、牛は25kgの飼料を必要とします。

一方、コオロギは2.1kgの飼料で済みます。

また、牛の体重を1キロ増やすのに必要な水は1,500ℓなのに対し、コオロギは1ℓで済みます。

加えて、コオロギは牛や豚に比べて温室効果ガスやアンモニアの排出量も少ないと言われています。

栄養価が高い

コオロギにはタンパク質が豊富に含まれています。

コオロギ100gあたりのタンパク質量は牛とほぼ同じです。

ほかにも、不飽和脂肪酸、ビタミンB群、銅や亜鉛、マグネシウムほか各種のミネラルを含んでいます。

食料自給率

コオロギは必須の炭水化物、タンパク質、脂肪、ミネラル、ビタミンの天然の供給源であり、貧困国と富裕国の間のタンパク質消費量のギャップを埋めることが出来ます。

コオロギには、穀物に大きく依存している多くの人々の食生活で不足しているアミノ酸であるリジンを豊富に蓄えています。

特に日本のように食料自給率が低い国にとって、食料安全保障は大きな課題です。

日本の食料自給率はカロリーベースで37%、つまり63%を海外からの輸入に頼っているのです。

食料安全保障という観点から、昆虫食を真剣に選択肢として検討する必要があるのです。

デメリット

アレルギー反応

一部の人々にとって、昆虫食はアレルギー反応を引き起こす可能性があります。

特に、甲殻類アレルギーのある人は反応する可能性が高いとされています。

とはいってもアレルギーが起こりうる食品はいくらでもあるので、コオロギ特有のデメリットとは言えません。

コオロギを食べる国

昆虫食は世界中の多くの国や地域で行われています。

以下では、主な昆虫食を食べる国と、そこでのコオロギ食の状況について見ていきましょう。

東南アジア

東南アジア諸国では昆虫食が広く行われており、特にタイではコオロギ食が一般的です。

ストリートフードとして提供されるほか、スーパーでパッケージされたコオロギを見つけることも可能です。

アフリカ

アフリカの一部地域でも昆虫食は一般的で、コオロギは主な食材の一つです。

特に、マラウイやザンビアではコオロギを蒸したり焼いたりして食べます。

メキシコ

メキシコでは伝統的に昆虫食が行われており、特にチャパリン(一種のコオロギ)が有名です。

これはタコスの具材として使われることもあります。

炎上について思うこと

給食で無理やり食べさせられた?

本当にそんな事例があるんでしょうか。

少なくとも、私が観測した範囲ではそのようなニュースは知りません。

2022年11月、徳島県にある高校の食物科の授業の中で、試食を希望した生徒や職員がコオロギパウダーが入った食品を食べた、というニュースなら存じ上げておりますが。

しかも、この授業内容自体は、生徒たちの間ではおおむね好評で、保護者からも問題視する問い合わせは一切なかったそうです。

ただ、このニュースをみて「選択の自由がない給食で生徒たちがコオロギを無理やり食べさせられた」という勘違いをした部外者たちが学校に大量のクレームを入れたそうですが。

そしてまさに、この徳島県の高校のニュースあたりからコオロギ食への批判的な論調は強まり始めた気がしています。

いずれにしても、給食でコオロギを無理やり食べさせられた事例は知りません。

選択の自由がない学校給食において、当たり前のごとく出てくる牛乳を、苦手だからと残そうとした生徒が先生から怒られた話、ならたびたび聞いたことはありますが。

コオロギ食より牛乳廃棄?

これはTwitterでバズっていた論調でした。

「昆虫食より牛乳の廃棄問題を先に解決すべき」

という主張です。

この主張に関しては2点お伝えしたいことがあります。

まず一つ目は「なぜ一つの課題にしか取り組んじゃいけないの?」っていうシンプルな疑問です。

国とか自治体とか企業っていうのは、何かの課題に取り組むとき、1個の課題だけに集中し、ほかの取り組みは停止しなきゃいけないんでしょうか?

これから生まれてくる子供を増やそうとする少子化対策と、すでに生まれている子供たちへの教育とか家庭への支援っていうのは、どちらも同時並行で取り組むべき問題だ、というのはご理解いただけると思います。

昆虫食は「未来への備え」の話であり、牛乳の廃棄は「現在抱える問題」です。

食糧危機と食品ロス、どっちの方が問題かなんて考える必要はありません。

どっちも問題だし、どっちも同時に解決していけばいいんです。

二つ目にお伝えしたいのは「昆虫食と牛乳廃棄は比較対象にはなりえない」ということです。

昆虫食と牛乳廃棄、この2つの問題は全くトレードオフじゃないことがお分かりいただけますでしょうか。

昆虫食の研究とか普及活動を減少させたら、国産牛乳の消費量は増えるのでしょうか?

そうじゃないなら、これら2つのテーマは比較対象ではありません。

「牛乳の輸入量を増やすんだったら国産の牛乳をもっと推奨しろ!」

っていう批判なら理解ができます。

輸入品と国産品の消費量はほぼトレードオフの関係にあるからです。

全くベクトルの異なる対象を比較して批判するのは「詭弁」というやつです。

急にゴリ押しされ始めた?

えっとですね、昆虫食が注目されているのは「急に」じゃないんですよ。

昆虫食が世界で最初に注目されたのは2013年です。

国際連合食糧農業機関(FAO)は2013年に、食糧問題の解決策の一つとして「昆虫食」を取りあげました。

そして2015年9月に開催された国連サミットでも「貴重なたんぱく源」として推奨されています。

ただまぁ、確かに日本で急激に注目されたのは「ここ最近」かもしれませんね。

Googleの検索トレンドを調べてみましょう。

これは2013年~2023年にかけて世界中で「edible insects」と検索された回数をグラフにしたものです。

波はあるものの、全体としては安定しているのが分かります。

続いては日本での検索トレンドです。

これは2013年~2023年にかけての「食用 コオロギ」に関する検索トレンドです。

それまで全く話題になってこなかったのに、2022年の2~3月にかけて突如として検索回数が増えているのが分かります。

皆さん、この異常性が分かりますでしょうか。

コオロギ食は日本でもそれまで全く問題視されてこなかったのに「いきなり批判的な声が高まった」んです。

疑問を持つのなら「なぜ急にゴリ押しされ始めた?」ではなく「なぜ急に批判され始めた?」ではないかと私は思います。

「コオロギ食の利権」を疑うのもいいですが「コオロギ食を批判することで利益を得ている人」たちの存在も同時に疑ってみた方がいいかもしれませんね。

コオロギ食は危険?

「コオロギは食品として危険だ」
「発がん性がある」
「細菌が沢山いる」

なんていう主張もよく見かけました。

ただ、そもそも論として、日本で流通している食品って完璧に安全性が保証されているものばかりでしたっけ?

お肉は食中毒という形で多くの人類の命を奪ってきたはずです。

ソーセージやベーコンには発がんがあるけど当たり前にホテルのビュッフェに並んでるはずです。

フグは毒という危険性と隣り合わせでありながら人類は器用に食べています。

生で食べればサケにもサンマにも沢山の細菌や寄生虫がいます。

多くのコンビニ食が糖尿病へといざないます。

なぜコオロギ食だけは「完璧に安全で無害な食品」であることが求められるのかよく分かりません。

コオロギ食のデメリットを挙げつらっている人がいたら

「それは本当にコオロギ食だけの問題なのか?」

というのは考えた方がいいでしょう。

まとめ

コオロギ食が普及したとしても、食べたくないなら食べなきゃいいだけだと思うんですよ。

今だって皆さんそうしてますよね。

人によって好き嫌いはあるし、アレルギーもある。

「食べたくないモノは食べない」

という選択をして生活しているはずです。

お肉を食べたくない人は、お肉を食べずに生活することができるんです。

私だって小さい頃から梅干しが苦手です。

でも、梅干しを食べざるを得ない状況に遭遇したことはありません。

梅干しのおにぎりがコンビニで売っていても、そのコンビニを批判しようなどと全く思いません。

自分に不利益がありませんからね。

最近はアレルギー成分だって多くの商品・飲食店で表示されるようになりました。

コオロギ食だって、たとえ普及したとしても、食べたくないなら食べずに生活できると思うんです。

これだけ食の多様性が認められている社会で、誰かに無理やり食べさせられるなんてことにはならないでしょう。

選択肢はいくらでもあって、自分は選択しない自由があるのに、なぜ選択肢ごと消し去ろうとするのかが分かりません。

まぁ正直、私もそのままの姿をしたコオロギを食べろと言われたら避けるかもしれません。

ただ少なくとも、私は食糧危機を回避するための代替案を持ち合わせていないので、コオロギ食によって食糧危機を回避できる可能性があるのなら、ぜひ研究は進んで欲しいです。

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この記事を書いた人

持続可能な社会の実現を目指す300人以上の生活者や企業が集まる「サステラコミュニティ」運営。生まれも育ちも神奈川県横浜市。現在は鎌倉市在住。2018年にWEBメディアの会社を起業。フォロワー9万人のInstagramを中心にSDGs、地球温暖化、エシカル消費などの情報を発信しています。

【プロフィール詳細】
https://susterra.net/ryu/

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