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マイクロプラスチック問題とは?人体への影響や原因・対策について

5ミリメートル以下の微小なプラスチック片のことをマイクロプラスチックと呼びます。

近年、このマイクロプラスチックが海洋汚染に繋がっているとして、問題になっています。

海へと放出されたマイクロプラスチックを海鳥や魚、カメ、クジラなどが食べてしまい、窒息してしまうケースが多数報告されています。

さらに、めぐり巡って私たち人間が放出したマイクロプラスチックを食べた魚を、さらに私たち人間が食べているという皮肉。

プラスチックは分解されず、自然界に半永久的に残ってしまうのに、通常のプラスチックに比べてマイクロプラスチックは目に見えない分さらに厄介なんです。

本記事ではさらにマイクロプラスチックについて深く掘り下げてみます。

プロセス

マイクロプラスチックには「一次マイクロプラスチック」と「二次マイクロプラスチック」があります。

一次マイクロプラスチックとは、洗顔料や歯磨き粉といったスクラブ剤などに含まれる小さなプラスチックのことで、家の排水溝などから下水を通って海へと流出してしまいます。

こちらは、元から微小なサイズのプラスチックであるため、一度流出してしまうと回収することができず、個人レベルで対策することが困難です。

二次マイクロプラスチックとは、ポイ捨てされたビニール袋やペットボトルといったプラスチック製品が側溝などから川を伝って海へ流出し、紫外線による劣化や波の作用などにより破砕されて、マイクロサイズになったもののことを指します。

こちらは、元が目に見えるサイズのプラスチックであるため、そもそもゴミの発生自体を抑えることで、対策することが可能です。

参照:https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2020/44897

洋服

洋服には以下のような繊維があります。

天然繊維 植物繊維 綿、麻
動物繊維 シルク、ウール
指定外繊維 テンセル・リヨセル
化学繊維 再生繊維 レーヨン、キュプラ、ポリノジック
半合成繊維 アセテート、トリアセテート、プロミックス
合成繊維 アクリル、ポリエステル、ナイロン、ポリウレタン

このうち、化学繊維の洋服にはマイクロプラスチックが含まれています。

世界の洋服の71%が化学繊維だということを考えると、なかなか厳しい現実です。

合成繊維の洋服を洗濯すると、何十万というマイクロプラスチック繊維が洋服からはがれ、洗濯機の排水管に流されるのです。

また、イタリア国立研究評議会と英プリマス大学の科学者による最近の研究発表によると、洗うだけでなく、もはや着るだけでもマイクロファイバーが大気中に放出されることが確認されたそうです。

【参照】
https://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/acs.est.9b06892
https://www.plymouth.ac.uk/news/wearing-clothes-could-release-more-microfibres-to-the-environment-than-washing-them

大気

合成繊維の見出しでも触れた通り、マイクロプラスチックは海だけではなく、大気中にも放出されているのです。

AMPs

早稲田大学の大河内博教授は、大気中に漂うマイクロプラスチックをAMPsと呼び、環境汚染や健康被害の警鐘を鳴らしています。

プラスチックが分解される過程で温室効果ガスの一種であるメタンが発生するそうですが、プラスチックの分解は水中よりも大気中の方が数十倍早いそうです。

大気中に放出されたマイクロプラスチックは、呼吸により人が吸い込んでしまうこともあります。

【参照】https://gyoppy.yahoo.co.jp/featured/177.html

プラスチック汚染予報

2023年5月、オーストラリアの慈善団体ミンデルー財団が「プラスチック汚染予報」を発表。

フランス・パリにはプラスチック粒子が24時間で40~48kgも降り注ぐと警告しました。

また、天気が大雨の場合「プラスチック降下量」は、最大で10倍に達すると推定されています。

The Plastic Forecast | No Plastic Waste | The Minderoo Foundation
1st Plastics Pollution Weather Forecast Predicts 88 Pounds of Microplastic Over Paris : ScienceAlert

フライパン

2022年12月、Science of the Total Environment誌に掲載された新しい研究によると、テフロン加工のフライパンの表面に小さな亀裂が1つ入るだけで、調理中に数千から数百万のプラスチック粒子が放出されることが分かりました。

オーストラリアのフリンダース大学の研究者は、焦げ付き防止のフライパンや鍋を調理および洗浄する際に、何百万もの小さなプラスチック粒子がどのように剥がれ落ちる可能性があるかを評価。

その結果、小さな傷がついただけで30秒間に9100個の微細なプラスチック粒子が、壊れたコーティングからは230万個のマイクロプラスチックとナノプラスチックが放出されていることが確認され、調理中にこれらの化学物質にさらされるリスクが高まることが示されました。

詳しくは以下の記事をご覧ください。

【関連記事】テフロンは有害?フライパンのフッ素加工をめぐる危険性や規制について

まな板

2023年5月「Environment Science & Technology」に掲載された研究論文によると、プラスチック製のまな板もマイクロプラスチックの発生源であることが分かりました。

ノースダコタ州立大学の研究チームは、食材の切り方やまな板の材質が、まな板切りの際に放出されるマイクロプラスチックに与える影響を調査しました。

その結果、毎年1400万~7100万個のポリエチレン製マイクロプラスチックが食品調理から放出されていることが判明したのです。

*Cutting Boards: An Overlooked Source of Microplastics in Human Food?

私たちにできること

マイクロプラスチックという問題に関して、私たち個人にもできることがあります。

問題意識を持った方はぜひ実践してみてください。

エシカル消費をする

何も考えずに商品を買うのではなく、環境や健康などにしっかり配慮している商品を選ぶことをエシカル消費と呼びます。

一次マイクロプラスチックは、もはやマイクロ化されたプラスチックが製品化されているわけです。

ですから、一次マイクロプラスチックの対策としては「買わない」が唯一の選択肢です。

洗顔料、歯磨き粉、ハンドソープなど、スクラブ剤が含まれている歯磨き粉を購入しない。

ポリエステル、アクリル、ナイロンなどの化学繊維の洋服は買わず、コットンや麻など植物繊維の洋服を選ぶ。

エシカル消費はマイクロプラスチック対策において非常に強力な武器となります。

ゴミを拾う

海岸や街中に落ちている目に見えるプラスチックが、やがて海へと流れ出して劣化したり砕かれたりしてマイクロ化していきます。

ですから、マイクロ化する前に拾ってしまえば、少なくとも二次マイクロプラスチックは防ぐことが可能です。

日常生活でゴミが落ちていたら拾う、意欲がある人はビーチクリーンに参加してみたりしましょう。

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