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SDGs12「つくる責任、つかう責任」とは?世界の現状や私たちにできることを紹介

産業革命以降、「生産」と「消費」は、私たち人間の生活を豊かにしてきました。

しかし同時に、自然環境と資源の利用に大きく依存しており、地球に破壊的な影響を与え続けています。

今のような生産・消費を続けていたら地球が1個では到底足りません。

そんな世界の現状に鑑み、SDGsでは「つくる責任、つかう責任」という目標が掲げられているのです。

しかし、生産と消費には一体どんな課題があり、どうやって問題を解決をしていくのでしょうか?

【関連記事】SDGs(エスディージーズ)とは?17の持続可能な開発目標について解説

目次

11個のターゲット

「つくる責任、つかう責任」

といっても、具体的な指針がなければ皆で同じ目標に向かって突き進むことができません。

というわけでSDGsはそれらの具体的な指針のことを「ターゲット」と呼んでいます。

SDGsは全部で17個のグローバル目標と169個のターゲットで構成されています。

そのうち、目標12についてはターゲットが11個あるということです。

12 持続可能な生産消費形態を確保する。
12.1 持続的な消費と生産に関する10年枠組みプログラム (10YFP)を実施し、先進国主導の下、開発途上国の開発状況や能力を勘案し、すべての国々が対策を講じる。
12.2 2030年までに天然資源の持続可能な管理および効率的な利用を達成する。
12.3 2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食品廃棄物を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食品の損失を減少させる。
12.4 2020年までに、合意された国際的な枠組みに従い、製品ライフサイクルを通じて化学物質やすべての廃棄物の環境に配慮した管理を達成し、大気、水、土壌への排出を大幅に削減することにより、ヒトの健康や環境への悪影響を最小限に留める。
12.5 2030年までに、予防、削減、リサイクル、および再利用(リユース)により廃棄物の排出量を大幅に削減する。
12.6 大企業や多国籍企業をはじめとする企業に対し、持続可能な慣行を導入し、定期報告に持続可能性に関する情報を盛り込むよう奨励する。
12.7 国内の政策や優先事項に従って持続可能な公共調達の慣行を促進する。
12.8 2030年までに、あらゆる場所の人々が持続可能な開発および自然と調和したライフスタイルに関する情報と意識を持つようにする。
12.a 開発途上国に対し、より持続可能な生産消費形態を促進する科学的・技術的能力の強化を支援する。
12.b 持続可能な開発が雇用創出、地元の文化・産品の販促につながる持続可能な観光業にもたらす影響のモニタリングツールを開発・導入する。
12.c 破壊的な消費を奨励する非効率的な化石燃料の補助金を合理化する。これは、課税の再編や該当する場合はこうした有害な補助金の段階的廃止による環境影響の明確化などを通じ、各国の状況に応じて市場の歪みを是正することにより行うことができる。また、その際は開発途上国の特別なニーズや状況を考慮し、開発への悪影響を最小限に留め、貧困層や対象コミュニティを保護するようにする。

【関連記事】SDGs「169」のターゲットとは?達成基準を一覧で紹介します

世界の現状

人口増加

未来は正確には予測することが非常に難しいです。

そんな中でも、正確に予測が出来る数少ない数値があります。

それが「人口増加」です。

最新の予測によると、世界の人口は2030年には約85億人、2050年には約97億人になると言われています。

現在の生活を維持するために必要な天然資源を供給するには、ほぼ3つの惑星に相当する資源が必要になると考えられます。

この人口増加を前提として、つくる責任、つかう責任というのを考えていく必要があります。

【参照】
World Population Prospects 2019
The Sustainable Development Goals Report 2018

人間が利用可能な水は限られています。

淡水のうち、約70%は南極大陸などの氷で、残りのほとんどは地下水です。

人間が使える再生可能な水資源(河川、湖、沼の水)は、地球上の水のうちごくわずかです。

人口が増加することを想定すれば、水はしっかり「つくる責任」「つかう責任」を意識する必要があります。

飲用可能な水

世界の水のうち、飲用可能な水は3%未満で、そのうち2.5%は南極、北極、氷河で凍結しています。

そのため、人類の生態系と淡水の需要のすべてをたった0.5パーセントに頼らなければなりません。

水の過剰な使用

いまだに10億人以上の人々が新鮮な水を手に入れることができません。

水の過剰な使用は、世界的な水ストレスの原因となっています。

水の使用量の増加

水は自然界から無料で手に入りますが、それを提供するためのインフラには費用がかかります。

水の使用量は、1980年代以降、世界中で年間約1%ずつ増加しています。

農業用水

農業(灌漑、畜産、水産養殖を含む)は圧倒的に水の消費量が多く、世界の年間取水量の69%を占めています。

工業(発電を含む)が19%、家庭が12%となっています。

水ストレス

20億人以上の人々が、水ストレスの高い国に住んでいます。

1995年から2015年の間に記録された自然災害のうち、洪水は43%を占め、23億人が被災し、15万7,000人以上が死亡、6,620億米ドルの損害を被りました。

2015年には、10人のうち3人(21億人、世界人口の29%)が安全に管理された飲料水サービス4を利用しておらず、8億4400万人が基本的な飲料水サービスすら受けられない状況にあります。

生活、農業、工業、エネルギー及び環境に要する水資源量は年間一人当たり1,700 m3 が最低基準とされており、これを下回る場合は「水ストレス下にある」状態、1,000 m3 を下回る場合は「水不足」の状態、500 m3 を下回る場合は「絶対的な水不足」の状態を表すとされています。

【参照】
2.1 billion people lack safe drinking water at home, more than twice as many lack safe sanitation
https://www.worldwildlife.org/threats/water-scarcity
UN World Water Development Report 2019

エネルギー

人口が増加するということは、すなわち電力需要が高くなるということです。

いま世界の多くの国々では脱炭素社会の実現が宣言されており、火力発電から再生可能エネルギーへの移行が加速しています。

しかし再生可能エネルギーは火力発電にくらべるとエネルギー変換効率が落ちるため、やはりこれからの人口増加を考えれば「つくる責任」「つかう責任」を意識することが重要になってきます。

エネルギー節約

世界中の人々がエネルギー効率の高い電球に切り替えた場合、世界は年間1,200億米ドルを節約できると言われています。

エネルギー使用量の増加

技術の進歩によりエネルギー効率が向上しているにもかかわらず、OECD諸国のエネルギー使用量は、2020年までにさらに35%増加し続けると予想されます。

商用・家庭用のエネルギー使用は、世界のエネルギー使用の中で輸送に次いで急速に増加している分野である。

自動車保有台数の増加

2002年、OECD諸国の自動車保有台数は5億5,000万台(そのうち75%が自家用車)でした。

2020年までに自動車保有台数は32%増加すると予想されている。

同時に、自動車の走行距離は40%増加し、世界の航空旅行は同時期に3倍になると予測されている。

家庭のエネルギー使用

家計は世界のエネルギーの29%を消費し、その結果、CO2排出量の21%を占めています。

再生可能エネルギー

最終エネルギー消費に占める再生可能エネルギーの割合は、2015年には17.5%に達しています。

世界の電化率

世界の電化率は、2010年の83%から2017年には89%に達しましたが、それでも約8億4千万人が電化されていません。

2010年から2017年の間に、クリーンな調理法に頼る人口の割合は、年平均0.5ポイント増加しました。

電気を利用できない世界人口は、2010年の12億人から2017年には8億4,000万人に減少しました。

【参照】
Goal 12: Ensure sustainable consumption and production patterns
2019 THE ENERGY PROGRESS REPORT TRACKING SDG7

食料

食料を生産するための耕地面積には限りがあるのにも関わらず、需要ばかりが増え続けることになります。

このままの状態でさらに人口が増加していけば、食料問題はさらに深刻化することになるでしょう。

食料がどれだけ足りないのか、どれくらい供給をすればいいのか、ということは改めて考える必要があるでしょう。

食品ロス

毎年、生産される食料の1/3(13億トン、約1兆ドル相当)が、消費者や小売店のゴミ箱で腐ったり、輸送や収穫の不備で腐敗したりしていると推定されます。

食べすぎ

2019年には5歳以下の子どものうち3800万人が体重過多または肥満である。

食品と環境問題

土地の劣化、土壌の肥沃度の低下、持続不可能な水の使用、乱獲、海洋環境の悪化は、いずれも食料を供給するための天然資源基盤の能力を低下させています。

食品部門は、世界の総エネルギー消費量の約30%を占め、温室効果ガス排出量の約22%を占めています。

【参照】
The State of the World’s Land and Water Resources for Food and Agriculture
“ENERGY-SMART” FOOD FOR PEOPLE AND CLIMATE

日本の現状

食品ロス

日本を含む先進国には食品ロスと呼ばれる課題があります。

食品ロスとは、まだ食べることが出来るのに廃棄されてしまう食品のことです。

日本は1年間で約612万トンもの食品ロスを生み出しており、およそ東京ドーム5杯分にあたる量です。

国民1人あたり、毎日お茶碗1杯分の食糧を捨てていることになります。

特に日本の場合は食料自給率が低く、62%を輸入の頼っているため、わざわざ海外から輸入したものを食べずに捨てているのが現状です。

食品ロスは、スーパーやコンビニの売れ残り品といったような事業系食品ロスが328万トン、家庭での作りすぎや皮のむき過ぎなどの家庭系食品ロスが284万トンです。

食べないものをわざわざ輸入する時点で余分なCO2を排出し、ごみとして処理する際に運搬や焼却の際にもCO2を排出、焼却後の灰の埋め立ても環境負荷に繋がります。

食品ロスは、単にもったいないというだけでなく、環境にも悪影響を及ぼしているのです。

【参照】農林水産省・環境省調べ、FAO、総務省人口推計(2017年)

【関連記事】食品ロス・フードロスとは?原因・現状・問題点・対策について

私たちにできること

「つくる責任、つかう責任」という目標達成に貢献するため、私たち個人には何ができるのでしょう?

エシカル消費

SDGs12「つくる責任、つかう責任」を解決するには、エシカル消費が非常に有効です。

エシカル消費とは、商品がどこで誰がどのようにして作ったものなのか、ということを知ったうえで買い物をすることです。

農薬を使用している野菜よりもオーガニックの野菜を選ぶ。

殺虫剤を大量に使用するコットンよりもオーガニックコットンの洋服選ぶ。

途上国の生産者から搾取をしていないフェアトレードのコーヒーを買ってみる。

このように、多くの消費者が環境や社会問題に配慮をしている商品を選ぶことで、逆に企業側もそういうエシカルな商品づくりにシフトしていくことになります。

当然、企業は売れる商品を作りたいはずですから。

実は消費者が「つかう責任」を徹底することで、企業側の「つくる責任」を守らせることが出来るのです。

ぜひ皆さんも普段の生活でエシカル消費を実践してみてください。

【関連記事】エシカル消費とは?11の事例と私たちにできること

食品ロス削減

日本ではまだ食べられるのにも関わらず、「賞味期限」というルールによって、大量の食品が廃棄されています。

実際には賞味期限が間近であっても多くの食品は問題なく食べることができます。

こういった問題を解消するのにオススメなのがjunijuniです。

期限が間近な商品や、訳あって処分対象になってしまう商品をメーカー等から買い取り、お手頃価格で販売するという仕組み。

さらに、売上の一部は社会貢献団体に寄付されるのですが、その寄付先を私たちが選ぶことが可能です。

junijuni公式サイト

【関連記事】食品ロス・フードロス通販サイトおすすめ23選

寄付

出典:TABLE FOR TWO

世界の9人に1人が飢餓に苦しむ一方、4人に1人は肥満という現実があります。

このような食の不均衡の解消に大きく寄与するのが「TABLE FOR TWO」です。

TABLE FOR TWO(TFT)とは、先進国でカロリーを抑えた食品を購入することで、1食につき20円の寄付が、開発途上国の子どもの学校給食となる仕組みです。

TFTの公式サイトに掲載されている食材を購入したり、スーパーなどでTFT対象商品を購入することで寄付が可能です。

【関連記事】寄付するならどこがいい?選び方とおすすめ寄付先3選を紹介します

最後に

世界が抱える多くの問題は産業革命以降に生まれたと考えられます。

例えば蒸気機関の登場により、化石燃料が多く使用されるようになったことで、大量の温室効果ガスが排出されるようになり、地球温暖化という問題が生まれました。

【関連記事】化石燃料とは?種類や問題点について解説します

また、海洋プラスチック問題にしても、結局は石油によりプラスチックが生み出されたことが根本的な原因です。

貧困や飢餓が蔓延っているのも、先進国が途上国の生産者を安い労働力として搾取し続けてきたことも大きな要因の一つです。

つまり、買い物には、良くも悪くも世界を変えてしまう力があります。

言い換えると、買い物の仕方を変えれば世界を良くすることもできるのです。

私たち消費者としては、良い世界をつくれるよう、「つかう責任」を意識して買い物をしたいところです。

そうすることで、企業側にも「つくる責任」を果たしてもらうことができるでしょう。

【関連記事】SDGsの身近な例10選!個人でできることと私の取り組み

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この記事を書いた人

持続可能な社会の実現を目指す300人以上の生活者や企業が集まる「サステラコミュニティ」運営。生まれも育ちも神奈川県横浜市。現在は鎌倉市在住。2018年にWEBメディアの会社を起業。フォロワー9万人のInstagramを中心にSDGs、地球温暖化、エシカル消費などの情報を発信しています。

【プロフィール詳細】
https://susterra.net/ryu/

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