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SDGs目標6「安全な水とトイレを世界中に」とは?世界の現状や取り組みを紹介します

日本では水道の蛇口をひねって水が飲むことができます。

しかし、この当たり前が通用するのは世界でも珍しいのです。

水道水を飲むことができる国は、世界でも日本を含めて15か国しかありません。

世界の大半の地域では飲料水を利用できないだけでなく、下水設備も整っておらず、いまだに野外で排泄をしている人たちもいます。

水というのは人間が生きる上では欠かすことのできない貴重な循環資源です。

しかし、世界はこの「水」という貴重な資源に対して、早急に解決すべき多くの課題を抱えています。

ですから、国連はSDGsで「安全な水とトイレを世界中に」という目標を掲げているのです。

世界は今どんな水に関する問題を抱えているのかについて、本記事で解説させていただきます。

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8個のターゲット

6 すべての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する
6.1 2030年までに、すべての人々の、安全で安価な飲料水の普遍的かつ平等なアクセスを達成する。
6.2 2030年までに、すべての人々の、適切かつ平等な下水施設・衛生施設へのアクセスを達成し、野外での排泄をなくす。女性および女子、ならびに脆弱な立場にある人々のニーズに特に注意を向ける。
6.3 2030年までに、汚染の減少、有害な化学物質や物質の投棄削減と最小限の排出、未処理の下水の割合半減、およびリサイクルと安全な再利用を世界全体で大幅に増加させることにより、水質を改善する。
6.4 2030年までに、全セクターにおいて水の利用効率を大幅に改善し、淡水の持続可能な採取および供給を確保し水不足に対処するとともに、水不足に悩む人々の数を大幅に減少させる。
6.5 2030年までに、国境を越えた適切な協力を含む、あらゆるレベルでの統合的な水資源管理を実施する。
6.6 2020年までに、山地、森林、湿地、河川、帯水層、湖沼などの水に関連する生態系の保護・回復を行う。
6.a 2030年までに、集水、海水淡水化、水の効率的利用、廃水処理、リサイクル・再利用技術など、開発途上国における水と衛生分野での活動や計画を対象とした国際協力とキャパシティ・ビルディング支援を拡大する。
6.b 水と衛生に関わる分野の管理向上への地域コミュニティの参加を支援・強化する。

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世界の現状

出典:https://www.jica.go.jp/aboutoda/ikegami/01/index.html

管理された水を利用できない人

管理された水を飲めない人は、2015年時点で約21億4千万人です。

人類の3人に1人が安全な飲料水を利用できないのです。

また、水は「飲む」ためだけではなく、排泄のための下水としての役割もあります。

下水設備が利用できない人は飲み水よりもさらに多く、45億人です。

5人中3人は下水が利用できません。

どうしても「水」というと飲むことばかりが優先されがちで、下水は後回しになってしまうのです。

6億7,300万人以上の人々はトイレを利用できず、いまだに野外排泄を行っています。

また、5人に2人が石鹸と水を使った基本的な手洗い施設を持っていません。

出典:ユニセフ、WHO「Progress on household drinking water , sanitation and hygiene , 2000-2017」

環境汚染

下水設備が整っていないと、排泄物などが含まれた水がそのまま河川や海に流れ出すことになります。

このように、排泄や工業排水など人間活動に起因する廃水の80%以上が、汚染除去されることなく河川や海に排出されています。

汚染された水が河川に流れることで、環境を汚染するのはもちろんのこと、健康への被害も及ぼします。

汚染されている水は利用ができませんから、もはや資源として存在しないのと同じことです。

水が原因で命を落とす人

上下水道が設備されていない地域の人たちは、汚染された水を飲むことになります。

毎日1,000人近くの子どもたちが、予防可能な水や衛生関連の下痢性疾患で命を落としています。

人や家畜の糞便、工場排水などが流れ込んだ川や湖の水、土壌が汚染された地下水を飲んで下痢やコレラになり、命を落とす子供が年間150万人、乳幼児は30万人います。

安全な飲料水にアクセスできない人

安全な飲料水にアクセスできない人は世界で9億人います。

WHOによると、「水へのアクセス」とは「1km以内に一人1日20リットルの水を確保できる場所がある」と定義とされています。

1kmの距離を歩くのに片道約15分かかるとすると、安全な飲み水へのアクセスがない人たちは、水を得るのに毎日往復30分かかります。

もちろん家族が多ければ、その分往復する回数も増えることになります。

ジェンダーギャップ

家や住まいの地域で水を利用できない世帯のうち80%は、女性と女児が集水の責任者となっています。

女性や女児は、水をくむためだけに1日のうち何時間もつかうことになります。

そして、収入を得るための労働に従事できず、貴重な教育の機会も奪われています。

【関連記事】ジェンダーギャップ指数とは?日本の順位と意味を解説

バーチャルウォーター

バーチャルウォーターとは、食料を輸入している国において、もしその輸入食料を生産するとしたら、どの程度の水が必要かを推定したものです。

ロンドン大学東洋アフリカ学科名誉教授のアンソニー・アラン氏がはじめて紹介した概念です。

例えば、1kgのトウモロコシを生産するには、灌漑用水として1,800リットルの水が必要です。

一方、牛はこうした穀物を大量に消費しながら育つため、牛肉1kgを生産するには、その約20,000倍もの水が必要です。

出典:https://www.env.go.jp/water/virtual_water/
東京大学生産技術研究所
UNESCO Waterfootprint http://www.waterfootprint.org/index.php?page=files/home

水不足

世界の人口が増え続けているのは周知の事実です。

世界の総人口は世界の人口は2019年の77億人から2030年には85億人、2050年には約97億3,000万人になると予測されています。

人口が増えるということは、すなわち水の利用が増えるということです。

また、水不足は気候変動によってさらに拍車がかかると予想されています。

地球温暖化による気候変動は、干ばつなどの異常気象を引き起こし、水の利用可能量に大きな影響を及ぼすからです。

経済協力開発機構(OECD)によると、2050年には、深刻な水不足に見舞われる河川流域の人口は、39億人(世界人口の40%以上)となる可能性もあると予想されています。

水が不足するということは、すなわち水の価値が高くなり、価格上昇に繋がります。

そうなれば、水によって苦しむ人の数はさらに増えることになるでしょう。

出典:https://www.mlit.go.jp/mizukokudo/mizsei/mizukokudo_mizsei_tk2_000021.html

私たちにできること

ウォーターエイド

ウォーターエイドは、1981年にイギリスで設立され、約40年間にわたって、水・衛生分野に特化して活動してきた国際NGO。

2021年現在、世界34か国に拠点を置き、アジア、アフリカ、中南米など計26か国で水・衛生プロジェクトを実施しています。

ウォーターエイドのビジョンは

「すべての人が、すべての場所で、清潔な水と衛生を当たり前に利用できる世界」。

このような活動をするウォーターエイドに、1,000円から寄付をすることができます。

3,000円の寄付で、パキスタンの1クラス40人の生徒たちを対象に衛生教育を実施することができます。

5,000円の寄付でマダガスカルに家庭用トイレ1基を設置することができます。

10,000円の寄付でネパールに手押しポンプを1基設置することができます。

【関連記事】寄付するならどこがいい?選び方とおすすめ寄付先3選を紹介します

肉を食べる量を減らす

バーチャルウォーターの見出しでも説明した通り、お肉を作る過程でたくさんの水を使用します。

人間が食べる牛を育てるには、牛に与えるための穀物が大量に必要となり、その穀物をつくるために大量の水を消費するのです。

完全に肉を食べるなとは言いませんが、肉を食べる量を減らすことはできるはずです。

1週間のうち何日かはノーミトデーを作るなどして、肉を食べる量を減らすことで、水問題の解決に貢献することができます。

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最後に

水は、生命、農業、衛生、物流などあらゆる人間の活動にかかわる問題です。

しかし、言い換えれば、水にかかわる問題を解決すれば、多くの問題も解決への道筋が見えてきます。

例えば、途上国では水をくむためだけに1日の時間を費やしている女性や子供がいます。

もしその人たちが、水をくみにいく必要がなくなったとしたら、労働や教育に時間を回すことができるのです。

そうなれば、教育・貧困・飢餓・ジェンダーギャップなど、SDGsで掲げる多くの問題の解決へもつながります。

日本に住んでいる人はなかなか身近に感じられない問題かもしれません。

しかし、「水」は、住む国にかかわらず、地球に住むすべての人類が関わる問題です。

ぜひ「水」という問題に目を向けてみてください。

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