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SDGs目標15「陸の豊かさも守ろう」とは?世界の現状や取り組みを紹介!

自然は、私たちが生きていくために不可欠なものです。

自然は酸素を供給し、天候を調整し、作物の受粉を促し、食料、飼料、繊維を生み出してくれます。

しかし今、そんな自然が大きな脅威にさらされています。

人間によって地球の表面のほぼ75%が改変され、野生生物や自然を地球上のより狭い場所に追いやっています。

2019年版「生物多様性と生態系サービスに関するグローバルアセスメント報告書」によると、約100万種の動植物が絶滅の危機に瀕しており、その多くが数十年以内に絶滅すると言われています。

森林破壊や砂漠化は、持続可能な社会を実現するうえで大きな課題であり、何百万人もの人々の生活や人生に影響を与えています。

森林は、地球上の生命を維持するために極めて重要であり、気候変動との戦いにおいても大きな役割を果たしています。

また、土地を回復することは、生活を改善し、脆弱性を減らし、経済リスクを軽減するために不可欠です。

そんなわけで、SDGsでは「陸の豊かさも守ろう」という目標が掲げられているのです。

【関連記事】SDGs(エスディージーズ)とは?17の持続可能な開発目標について解説

目次

12個のターゲット

「陸の豊かさも守ろう」

といっても、具体的な指針がなければ皆で同じ目標に向かって突き進むことができません。

というわけでSDGsはそれらの具体的な指針のことを「ターゲット」と呼んでいます。

SDGsは全部で17個のグローバル目標と169個のターゲットで構成されています。

そのうち、目標15についてはターゲットが12個あるということです。

15 陸域生態系の保護、回復、持続可能な利用の推進、持続可能な森林の経営、砂漠化への対処、ならびに土地の劣化の阻止・回復及び生物多様性の損失を阻止する。
15.1 2020年までに、国際協定の下での義務に則って、森林、湿地、山地、および乾燥地をはじめとする陸域生態系と内陸淡水生態系およびそれらのサービスの保全、回復、および持続可能な利用を確保する。
15.2 2020年までに、あらゆる種類の森林の持続可能な管理の実施を促進し、森林破壊を阻止し、劣化した森林を回復し、世界全体で植林と森林再生を大幅に増加させる。
15.3 2030年までに、砂漠化に対処し、砂漠化、干ばつ、および洪水の影響を受けた土地などの劣化した土地と土壌を再生し、土地劣化に対してニュートラル(正味ゼロ)な世界の達成に尽力する。
15.4 2030年までに生物多様性を含む山地生態系の保全を確保し、持続可能な開発にとって不可欠な便益をもたらす能力を強化する。
15.5 自然生息地の劣化を抑制し、生物多様性の損失を阻止し、2020年までに絶滅危惧種を保護および絶滅防止するための緊急かつ重要な対策を講じる。
15.6 国際合意に従って、遺伝資源の活用による便宜を公正かつ公平に共有できるよう推進するとともに、遺伝資源への適切なアクセスを推進する。
15.7 保護の対象となっている動植物種の密漁および違法な取引を撲滅するための緊急対策を講じ、違法な野生生物製品の需要・供給に対処する。
15.8 2020年までに、侵略的外来種の移入を防止し、これによる陸・海洋生態系への影響を大幅に減少させる。対策優先種の駆除または排除を行うための対策を導入する。
15.9 2020年までに、生態系と生物多様性の価値を、国家・地域の計画策定、開発プロセスおよび貧困軽減戦略、ならびに会計に組み込む。
15.a 生物多様性と生態系の保全と持続的な利用のために、あらゆる供給源からの資金の動員および大幅な増加を行う。
15.b あらゆるレベルにおいてあらゆる供給源から多大な資源を動員して持続可能な森林管理の資金を調達する。また、開発途上国に対して適切なインセンティブ(刺激策)を提供し、保全や森林再生などの持続的な森林管理の向上を図る。
15.c 地域コミュニティの能力向上を通じた持続的な生計機会の追及などにより、保護種の密猟および違法な取引を撲滅するための取り組みに対する世界的支援を強化する。

【関連記事】SDGs「169」のターゲットとは?達成基準を一覧で紹介します

世界の現状

森林

約16億人が森林に依存して生活しており、そのうち7000万人が先住民族です。

森林には、動物、植物、昆虫の全陸生種の80%以上が生息しています。

しかし2010年から2015年の間に、世界では330万ヘクタールの森林地帯が失われました。

土地の劣化により、世界の陸地の23%で生産性が低下しており、受粉を媒介する生物の減少により、世界の農作物の年間生産量が2,350億ドルから5,770億ドルのリスクにさらされています。

【参照】The global assessment report on BIODIVERSITY AND ECOSYSTEM SERVICES

砂漠化

耕作地の減少は、過去の30~35倍と推定されています。

干ばつや砂漠化により、毎年1,200万ヘクタールが失われています(1分間に23ヘクタール)。

本来なら1年以内に2,000万トンの穀物を栽培することができたはずです。

世界では74%の貧困層が土地の劣化の影響を直接受けています。

人間の行動が主な原因である生息地の損失と劣化により、世界の陸地の生息地の完全性は、影響を受けていないベースラインと比較して30%減少しています。

【参照】The global assessment report on BIODIVERSITY AND ECOSYSTEM SERVICES

生物多様性

野生生物の違法な密猟や取引は、保護活動を妨げ続けており、120カ国で約7,000種の動植物が違法に取引されていることが報告されています。

確認されている8,300種の動物のうち、8%が絶滅し、22%が絶滅の危機に瀕しています。

80,000種以上の樹木のうち、利用可能かどうか研究されているのは1%にも満たない。

人間の食生活の80%以上は植物が占めています。

エネルギー摂取量の60%を占めるのは、米、トウモロコシ、小麦の3種類の穀類だけです。

発展途上国の農村部に住む人々の80%が、基本的な健康管理を植物由来の伝統的な医薬品に頼っていると言われています。

微生物や無脊椎動物は、生態系の鍵を握っていますが、その貢献度はまだ十分に知られておらず、ほとんど認められていません。

現在、保護区は陸地と淡水の15%、海洋の7%を占めていますが、生物多様性にとって重要な場所を部分的にしかカバーしておらず、生態学的に完全に代表的で、効果的または公平に管理されているとは言えません。

ソテツ類の63%、両生類の42%、造礁サンゴ類の33%、針葉樹の34%、ほ乳類の26%、鳥類の13%が絶滅の危機に瀕しています。

日本の絶滅危惧種は3772種にも上ります。

【関連記事】生物多様性とは?意味・問題・重要性について解説

【参照】
World Wildlife Crime Report
THE STATE OF WORLD FISHERIES AND AQUACULTURE
The global assessment report on BIODIVERSITY AND ECOSYSTEM SERVICES
環境省レッドリスト2020

私たちに出来ること

FSC認証商品を選ぶ

FSC認証ラベルのある商品は、持続可能性に配慮をした森林から採られた木材を使用しています。

環境影響評価、生物多様性への配慮、土壌保全、先住民族の権利、管理計画、モニタリングなどの基準をクリアして取得できる認証です。

FSC認証のある商品を選ぶことで、無計画な森林伐採を防ぐことに繋がります。

【関連記事】FSC認証とは?マークの種類や購入するメリットを解説

バードフレンドリー認証コーヒーを買う

バードフレンドリー®認証があるコーヒーは、渡り鳥が休息をとる森で生まれたコーヒーであることを示しています。

コーヒーの栽培には「木陰栽培」と「直射日光」という2種類の方法があり、このうち「木陰栽培」が渡り鳥が休息するのに最適な環境なんだそう。

そんなわけで、渡り鳥の個体数を増やすべく、1999年にバードフレンドリー®認証プログラムがスタート。

バードフレンドリー認証農園は、原生林に近い状態で栽培がおこなわれます。

熱帯の森林は、渡り鳥が羽を休めるだけでなく、昆虫やランの花といった生物多様性が保たれ、CO2吸収や水質保全という効果も。

オーガニックを選ぶ

農薬や化学肥料は土壌に生息する微生物を殺します。

そのため、土地はやせ細り、生物多様性を損なってしまいます。

ですから、食品にしろ洋服にしろ、オーガニックな商品を選ぶことをおすすめします。

肥沃な土壌は生物多様性を守るだけでなく、二酸化炭素を吸収する役割を持つため、地球温暖化対策にも繋がります。

【関連記事】オーガニックとは?簡単に分かりやすく意味を説明します

植林活動

植林のボランティア活動に参加することで、自然環境の保護に直接的に貢献することが出来ます。

自分自身で参加できなくても、募金という形で貢献することも可能です。

植林活動は森林を増やすだけでなく、生物多様性を守り、地球温暖化対策にも繋がります。

最後に

経済が発展し、産業が発達するとともに自然が失われつつあります。

私たちの豊かな暮らしも、必ず自然環境の恩恵があってこそ成立するものです。

人間含め、生物がこの地球で暮らしていくためにも、自然環境と生物の多様性を守っていくことが重要です。

私たちに出来ることを、今日から少しずつ実践していきませんか?

【関連記事】SDGsの身近な例10選!個人でできることと私の取り組み

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この記事を書いた人

持続可能な社会の実現を目指す300人以上の生活者や企業が集まる「サステラコミュニティ」運営。生まれも育ちも神奈川県横浜市。現在は鎌倉市在住。2018年にWEBメディアの会社を起業。フォロワー9万人のInstagramを中心にSDGs、地球温暖化、エシカル消費などの情報を発信しています。

【プロフィール詳細】
https://susterra.net/ryu/

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