MSC認証(海のエコラベル)とは?意味やメリットを解説!

MSC認証とは、持続可能な漁業が行われているかどうかを審査する制度のことです。

そして、MSC認証ラベルが貼られている水産物はその審査をクリアした水産物であるということを意味します。

MSC認証ラベルは海のエコラベルとも呼ばれています。

【関連記事】サステナブルラベル16選!ラベルの意味や購入するメリットを解説

審査基準

MSC認証では

  • 資源の持続可能性
  • 漁業が生態系に与える影響
  • 漁業の管理システム

の3つを審査します。

資源の持続可能性

MSC認証という仕組みが目指すのは「持続可能な漁業」です。

魚の漁獲量をゼロにしましょう、ではありません。

日本では漁業をすることで生計を立てている人もいますし、何より発展途上国にとっては貴重な食糧です。

先進国が勝手に地球の資源を消費し尽くし、地球がヤバくなったからと言っていきなり「漁業禁止!」なんて言われた日には、発展途上国にとってはたまったものではありません。

ですから、大事なのは、しっかりと漁獲量を管理し、過剰な漁業をやめ、「人が魚を獲る量<魚が繁殖する量」を目指せばいいのです。

こうなることで、人の食生活と魚の量のバランスは保たれ、持続可能な漁業となるわけです。

漁業が生態系に与える影響

漁獲量を調整すると言っても、「全種類の魚の漁獲量を減らそう!」というのはとても非効率です。

人が好きな魚の種類は偏っていますし、そうなると海産物によって漁獲量に差が出てきます。

また、魚介類の中には個体数的にまだまだ大丈夫な種もいれば、絶滅の危険度が高い魚介類もいるわけです。

さらに、海の魚たちは、同様に海の中に生きる生物を食糧としています。

人間が食べる魚かどうかだけで判断していたら、全く獲っていなかったはずの魚類が気づいたら絶滅していた、なんてこともあり得ます。

地球上のあらゆる生物は微妙な生態系システムのバランスで成り立っていることを忘れてはいけません。

漁業の管理システム

漁業で度々問題となるのが「混獲」です。

混獲とは、狙っていた魚とは別の種を意図せず漁獲してしまうことを指します。

日本で有名な混獲と言えばサメの混獲です。

日本人が大好きなマグロは「はえ縄」を使用して捕獲されるのですが、狙っていたマグロの他に、誤ってサメを捕獲してしまうことが多いのです。

「誤って」というくらいですから、ちょっとだけ混ざってしまうイメージを持たれがちですが、そんなことはありません。

例えば気仙沼港のマグロはえ縄漁で取れるうちの75%がサメだという結果が出たんだとか。

他にも、世界ではエビやクジラなどの混獲も問題になっています。

こういう無駄な混獲をやめ、本来獲るべき魚を獲る努力をしていこう、というのが漁業の管理システムです。

海の現状

世界の魚の34.2%が獲り過ぎていると言われています。

FAO(国際連合食糧農業機関)によると、過剰漁獲が60%を超えるともうすぐ限界値をむかえることを意味します。

また、世界の海を泳ぐ魚の量は1970年と比較すると、およそ49%が減少しているとされています。

世界の人口が増え続けるのはほぼ確定した未来なので、このままのペースで魚を獲り続ければそのうち海から魚がいなくなるでしょう。

・参照:The State of World Fisheries and Aquaculture 2020
・参照:Living Blue Planet Report 2015

メリット

MSC認証ラベルの水産物を購入する唯一にして最大のメリットとして、世界の海洋保全に貢献できるということです。

上でも触れた通り、もうすぐ世界の海を泳ぐ魚は地球上から完全に姿を消そうとしています。

海が存在して魚が泳いでいる惑星が地球以外にももう一つあって、そこに人類が移住できればこのままでも問題ないかもしれませんが、期待は薄いでしょう。

ですから、魚が絶滅する未来を避ける方法として、MSC認証を受けた水産物が増えること、そしてその水産物を食べる人が一人でも多く増える・・・これが最も現実的です。

デメリット

MSC認証は「基準が甘い」とか「持続可能性に疑問のある漁業にも認証を与えている」という批判もあったりします。

例えばNetflixのドキュメンタリー映画『Seaspiracy:偽りのサステナブル漁業』では

  • 認証が甘すぎる
  • MSCは業界から資金提供を受けている
  • そもそも持続可能な漁業なんて不可能だ

といったように、強烈にMSC認証への批判が展開されています。

Seaspiracyが放送した内容についてはMSC認証が公式に見解を述べています。

映画『Seaspiracy:偽りのサステナブル漁業』についてのMSCの見解

これについてはどっちが正しいとは言い難いですねー。

たしかに、中には基準が甘すぎて、もはや認証ラベルのライセンス使用料をもらうためにやってるとしか思えない認証もあったりしますから、すべての認証機関が信頼に値するとも言えません。

一方で、ネットフリックスの番組も、中には業界団体が制作に携わっていたりして、ポジショントークというか、自分たちの主張を正当化するためのプロパガンダとしか思えない作品もあったりします。

いずれにせよ、サステナビリティにおいては、何かを妄信するのではなく、自分で調べて自分の頭で考えることが大切です。

日本で普及しない理由

世界でMSC認証を取得している漁業数は415件なのに対して、日本はわずか10件です。(2021年2月時点)

決して普及している数字とは言えません。

なぜこれほどまでに普及をしていないのかといえば、そもそも認証制度自体が日本ではなじみが薄いことが理由の一つとして考えられます。

例えばコーヒーやチョコレートで生産者に適正な報酬を支払うフェアトレードも認証の一つですが、2017年時点で日本の市場規模は世界で17位です。

フェアトレードはそもそも「先進国と途上国の貿易の不均衡を正す」ための認証、つまり「先進国を正す」ための認証なので、先進国の中で最低レベルということは、実質世界で最下位と言っても過言ではありません。

あるいは社会問題や環境問題など企業のサステナビリティを審査する「B Corp認証」は欧米でも非常に普及していて、世界で4000社近くが認証されています。

欧米ではもはや「商品を買うならB Corp企業の商品の中から」という人もいるほどですが、日本企業はたった6社です。

どんな認証にしろ、日本は欧米に比べて「認証ラベルを見て買い物をする」という習慣が根付いていないのかもしれません。

ただ、日本も徐々にサステナビリティへの関心が高まりつつあるため、「普及しない」というより「過渡期にある」と言う方が正しいかもしれません。

日本でもこれからMSC認証商品が増えることを期待しましょう。

【関連記事】B Corp認証とは?基準やBコーポレーション16社を紹介します

購入できる場所

  • イオン
  • コープ
  • IKEA
  • セブン&アイ

などで購入することが出来ます。

最後に

以上がMSC認証の解説です。

是非皆さんも食材を買いにスーパーに行ったとき。

鮮魚コーナーに寄ったとき。

手に取って、MSC認証ラベルがどうか確認してください。

アナタの小さな行動が、地球を守ることに繋がります。

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