ヴィーガンとは?ビーガンのメリット・デメリットを解説

ヴィーガンとは、動物搾取をしない生活スタイルのことを指します。

ヴィーガンと言われると「肉を食べない人」というイメージを持たれがちです。

しかし、ヴィーガンは動物性食品を食べないのはもちろんのこと、革や毛皮といった動物製品も使用しません

このヴィーガンと呼ばれる生活スタイルは、近年非常に注目を集めています。

そもそも、従来までベジタリアンと呼ばれる菜食主義者は世界中にいたわけですが、なぜあえて違う呼び方をしているのでしょう。

ヴィーガンが注目されている理由、また、ベジタリアンとの違いなどについて、本記事で解説させていただきます。

言葉の定義

ヴィーガンという言葉は1994年、イギリスのThe Vegan Society(ヴィーガン協会)によって生み出されました。

ヴィーガン協会は次のように定義しています。

「ヴィーガニズムとは、食用、衣料用、その他の目的での動物の搾取や残虐行為を可能な限り排除しようとする哲学と生活様式であり、さらに、動物、人間、環境のために、動物を使わない代替手段の開発と利用を促進するものです。食事に関しては、動物に由来するすべての製品、またはその一部を使用しないことを指します。」

【出典】Definition of veganism

語源

出典:https://www.vegansociety.com/

1944年8月、ベジタリアン協会の数人のメンバーが、ニュースレターで乳製品を使わないベジタリアンについてのセクションを設けてほしいと要請しました。

この要望が却下されると、レスター支部の幹事であったドナルド・ワトソンは、1944年11月に新しい季刊誌を創刊。

彼はこれをThe Vegan Newsと名付けたのです。

ヴィーガンという言葉は、ワトソンと彼が後に結婚することになる教師ドロシー・モーガンが考案。

この言葉は、ワトソンの言葉では「ベジタリアンの始まりと終わり」を示していることから、「『ベジタリアン』の最初の3文字と最後の2文字」を元にしています。

【参照】・”Ripened by human determination. 70 years of The Vegan Society” (PDF). Vegan Society. p. 3. Retrieved 14 February 2021. Watson and his wife Dorothy came up with the word ‘vegan’
・Lowbridge, Caroline (30 December 2017). “Veganism: How a maligned movement went mainstream“. BBC News. Archived from the original on 14 March 2018. Retrieved 14 March 2018.

ベジタリアンとの違い

ベジタリアンは「菜食主義」という言葉の通り、野菜中心の「食生活」を指す言葉です。

一方ヴィーガンは、食生活だけでなく、買う化粧品や洋服にいたるまで、「ライフスタイル全般」において動物の搾取を否定します。

また、ヴィーガンとベジタリアンの「食」における違いは「卵・乳製品」です。

ベジタリアンは卵・乳製品は食べるのに対して、ヴィーガンの人は卵・乳製品も食べません

【関連記事】ベジタリアンとは?なぜ人は菜食主義者になるのか徹底解説

ヴィーガンと環境問題

ヴィーガンは動物の命を大切にする人、というイメージだけではその本質を理解することは出来ません。

ヴィーガンはサステナブルな時代にあった生活スタイルであると言われ、世界中で注目されているのです。

脱炭素やSDGsなどが声高に叫ばれるようになった昨今、あらゆる業界の環境負荷というものが注目されるようになりました。

そして畜産は、あらゆる業界の中でもトップクラスに環境負荷が大きい産業であるといわれています。

まず第一に、畜産は大量の温室効果ガスを排出します。

畜産というより「工業畜産」と言った方が正確ですが。

工業畜産(集約畜産)とは、大量に生産をするために「コスト」や「効率」を最大限に追求した畜産を指します。
放牧して育てるのではなく、動物を屋内でケージの中に閉じ込め、機械的に肥料を与えたりするような生産方法のことです。

どれくらいの温室効果ガスを排出するのかというと、世界の温室効果ガスのうち、全体の14%を畜産が占めます。

14%というと、自動車・飛行機・船舶といった「全ての交通」に関する排出量に匹敵するレベルです。

畜産の温室効果ガスは、牛や豚が食べる飼料の生産・輸送、飼養管理、ふん尿の処理などで排出されます。

さらに、牛肉生産により排出される温室効果ガスの中でダントツに多いのが牛のゲップで出るメタンガス。

牛肉1キロあたり23.1キロの温室効果ガスを排出しますが、そのうち飼料生産が23%、飼料輸送が12%、飼養管理やふん尿処理で11%、そして牛のゲップで出るメタンガスが54%です。

メタンの地球温暖化係数(GWP: Global Warming Potential)は二酸化炭素の約20倍に相当するとされていることを考慮すれば、反すう動物である牛および緬山羊由来の温室効果ガス排出量が大きなウェイトを占めていることが分かる。

引用:温室効果ガス排出削減問題に主体的に取り組む英国の畜産関係団体~畜産部門から環境への影響緩和をめざして~

毎年家畜から放出されるメタンガスの量は石油約1億4400万トンに匹敵し、これは南アフリカ全体に電力を供給するのに十分な量に相当します。

なぜか自動車や火力発電ばかりが叩かれがちですが、実は畜産も立派に温暖化に貢献している種目なのです。

すなわち、人間たちが牛肉や豚肉を食べる量を減らすこと、すなわちヴィーガン人口が増えることは、地球温暖化に歯止めをかけることに繋がるのです。

参照:国連食糧農業機関(FAO)

また、畜産は温室効果ガスだけでなく、森林伐採という形でも環境破壊に繋がっています。

現在、家畜は地球上の全陸地の30%を使用しています。

畜産は牧草地だけでなく、家畜が食べるための飼料を生産する耕地が必要です。

世界最大の牛肉輸出国であるブラジルでは、牛の放牧地と飼料を生産するため、1日で東京ドーム650個分の森が消えています。

そして熱帯雨林は生物多様性の宝庫であるだけでなく、CO2を吸収する役割を担っていますから、これが減少し続けると地球温暖化にも影響を及ぼします。

【関連記事】ヴィーガンと環境問題は関係大あり?その真相についてお話します

ヴィーガンのメリット

ヴィーガンになると

  • サステナビリティに貢献できる
  • 健康になれるかも

というメリットがあります。

サステナビリティ

すでに説明をした通り、畜産は地球温暖化に大いに関係しています。

2015年に国連で採択されたSDGsでは、国や企業だけでなく「個人」でも頑張ろう、と言っています。

そうは言っても、個人レベルで発展途上国の医療や教育といった問題を解決するのはハードルが高いです。

ボランティア活動をやろう、と言っても仕事で忙しい社会人だとなかなか難しかったりしますよね。

ですから、肉中心の食生活から、野菜や果物中心の食生活に切り替えればいいんです。

最近では代替肉が進化をしてきたりして、ヴィーガンになるハードルも低くなってきています。

もちろん、完全にゼロにする必要はありません(もちろんそれが理想ですが)。

日本人の一人あたりの肉の年間消費量は、豚肉なら12キロ、牛肉なら6キロ、鶏肉なら13キロと言われています。

これをガソリン排出量に換算すると、豚肉だと約40リットル分、牛肉で約60リットル分、鶏肉で20リットル分に相当します。

1週間のうち1日だけでもお肉をやめる人が増えるだけで、地球温暖化の解決に大いなる効果があるのです。

【関連記事】地球温暖化とは?原因・対策・影響について解説します!

健康

ヴィーガンになると、健康になれるかもしれません。

「かも」とは何だ、なんでそんなに曖昧なのかと言うと、私は栄養士でも医者でもないからです。

私は今までサステナブルに関して数多くのドキュメンタリー作品を視聴しました。

その中に、2017年のドキュメンタリー映画「WHAT THE HEALTH」で肉食と健康被害に関する作品があります(ネットフリックスで視聴できます)。

この作品では、糖尿病や乳がんにかかる人の多くは、肉中心の食生活が原因であると、多くの専門家が語っています。

確かに食肉と病気には大いに関係があるっぽいなという感想を抱くと同時に、番組の中では「人は動物性の食品を食べると快楽物質が生成される」と専門家が語っていました。

なるほど、友達や家族とお肉を食べて過ごす幸せな時間も無視できないなと思い、なるべく「健康」というメリットについては中立を保ちたいと思います。

というわけで、ヴィーガンになることのメリットとして、もしかしたら健康になれるかもしれませんが、そこは皆さんの判断に任せたいと思います。

もしヴィーガンになって健康になったよ、逆に体調悪くなったよ、という人がいたら是非コメントで教えてください!

ヴィーガンのデメリット

たんぱく質

ヴィーガンは一切の動物性食品を食べませんから、意識的にたんぱく質を取ろうとしなければ不足しがちです。

もちろん海藻や大豆などから植物性たんぱく質をとることは出来るわけですが、動物性たんぱく質よりも必須アミノ酸の含有量は劣ります。

たんぱく質が不足すると、体内の血清アルブミン値が低くなり、認知症の前段階である認知機能の低下を引き起こすリスクが2倍、脳卒中・心臓病のリスクが2.5倍になります。

鉄分

鉄分は血液中や筋肉に含まれていることから、肉や魚といった動物から摂取する必要があります。

必須ミネラルである鉄分は赤血球を作るための役割を担っています。

鉄分が不足すると疲労を感じたり、憂鬱な気分になったり、貧血症を引き起こしたりします。

穀物やナッツ類からも鉄分(非ヘム鉄)をとることは出来ますが、動物性の鉄分(ヘム鉄)よりも体内に吸収しづらいので、鉄分の吸収を促進するビタミンCやクエン酸と合わせて摂取することが推奨されています。

カルシウム

乳製品や小魚を食べないヴィーガンはカルシウム不足に陥りがちです。

学術誌『Nutrients』に掲載された2014年の研究によると、ビーガンが1日に摂取するカルシウムの量は平均738mgと、アメリカ国立衛生研究所(NIH)が推奨する1000mgをかなり下回っていることが分かっています。

カルシウムは丈夫な歯や骨を形成するうえでも重要です。

ただカルシウムは、アーモンド、大豆、ブロッコリーといった植物性食品からも摂取することが可能です。

また最近ではカルシウムが添加された植物性ミルクもあったりします。

【参照】Comparison of Nutritional Quality of the Vegan, Vegetarian, Semi-Vegetarian, Pesco-Vegetarian and Omnivorous Diet

ビタミンB12

お肉や魚など動物性の食べ物に含まれるビタミンB12は、ヴィーガンの約52%が摂取不足であるといわれています。

ビタミンB12は血液をつくるのに重要な役割を果たしている栄養素です。

不足すると貧血、疲労感、便秘などの原因にもなります。

【参照】EPIC-Oxford – Cancer Epidemiology Unit (CEU)

商品の選び方

食品にしろ化粧品にしろ、出来る限り動物性を避けるのがヴィーガンです。

ですが、多くの人はひとつの疑問を感じるかもしれません。

それは、完成された商品に動物性が含まれていないかどうかをどうやって確かめるのか、という疑問です。

例えば、お肉を避けることは容易ですが、動物性のエキスや出汁を避けるのは簡単ではありません。

たとえ完成品に動物性が含まれていなかったとしても、動物性の商品と同じ工場のレーンや調理場で作られたものすら回避しようとするのがヴィーガンです。

そうなると、もはや見た目や食感だけで動物性の有無を判断することは出来ません。

ではどうやって動物性が含まれていないかどうかを判別するのか?

というと、多くのヴィーガンは「認証ラベル」をチェックします。

認証ラベルとは、商品をつくるメーカーとは別の第三者機関が審査をし、本当に動物性が含まれていないことが認められた商品にだけ記載できる印です。

例えば有機食品に記載されている「有機JAS」のマークも、認証ラベルの一つです。

あのラベルがあれば、農薬が使用されていないことが保証されているわけです。

そういった認証ラベルが、ヴィーガン製品にも存在するのです。

日本ではまだ一般的ではありませんが、欧米ではすでに「認証ラベルをみて買い物をする」というのが一般的になりつつあります。

ヴィーガン製品の認証ラベルも沢山種類がありますが、最も信頼性が高いのは、ヴィーガンという言葉を生み出した英国ヴィーガン協会の認証です。

【関連記事】ヴィーガン認証とは?16種類のマークを紹介します

ヴィーガン商品

食品

Green Meat

Green Meatは少ない資源で効率的に生産でき、生産過程で排出される温室効果ガスも牛肉生産時の20分の1以下で、地球にやさしい選択肢。

牛肉に比べて、カロリーは30%OFF、脂質は47%OFF、タンパク質は動物の肉とほぼ同等。

環境だけでなく健康を意識する人にもオススメです。

大豆ミートって必ず表面に大豆特有の繊維が見えて、コレが肉感を弱めていたんですが、その繊維が見えません。

いくつも大豆ミートを食べてきましたが、自信を持ってこれが1番美味しいし、一番肉に近いです。

缶詰めのSPAMに近い風味。

大豆ミートってどの商品も例外なく「大豆臭さ」があって、正直大豆ミートには諦めすら感じてました。

でもコレは大豆臭さが本当に少ない。パサパサ感もなくて、肉のジューシーさが上手く表現されてるいます。

大袈裟でなく、大豆ミートの歴史におけるターニングポイントになるレベルだと思います。

GreenMeat公式サイト

コスメ

ラヴィステラ

国産のヴィーガンコスメをお探しの方はラヴィステラがおすすめです。

というのも、ラヴィステラの代表ご自身がヴィーガンであり、動物の搾取に強い問題意識を持っているからです。

ご自身で動物性が使用されていないことが確認できた工場とだけ取引をしています。

また、多くの化粧品で使用されているグリセリンの多くはパーム油から作られます。

パーム油の原料となるアブラヤシを栽培するために森を大規模に伐り開くことで、熱帯林を減少させるだけでなく、多くの野生動物から住処、食物、命を奪っています。

一方ラヴィステラでは、アブラヤシ以外の原料によるグリセリンの調達を行う等、サステナビリティに配慮した商品開発を行なっています。

容器もなるべくガラス容器やバイオマス素材を採用するなど、環境にも配慮されているブランドです。

ラヴィステラ公式サイト

【関連記事】ラヴィステラがヴィーガンやオーガニックの化粧品をつくる理由とは?

ファッション

LOVST TOKYO

LOVST TOKYOは、廃棄リンゴから生まれた「アップルレザー」を始め、野菜やフルーツをアップサイクリングした植物由来のプロダクトを展開するライフスタイルブランド。

注目は何と言っても廃棄されていたリンゴをアップサイクルして作られたイタリアンアップルレザー 「アップルスキン」を用いた機能的かつスタイリッシュなヴィーガンレザーアイテム。

また、単にサステナブルに取り組むブランドではなく、社会問題に対して何かしらの気づきを得たユーザーが抱きがちな本質的な課題を「ポジティブな罪悪感(Positive Guilty)」と提唱しブランドを展開。

罪悪感に寄り添うことで、社会にとっての好循環(巡りの良い暮らし)を生み出すことを目指している。

そして、ブランド名には、「愛(LOve)を持ってヴィーガン/多様性(Vegan/Variety)な考え方を一番(1ST)に尊重できる文化をTOKYO(東京)から発信していく」というメッセージが込められている。

LOVST TOKYO公式サイト

【関連記事】ヴィーガンレザーとは?特徴・商品・サステナビリティを紹介します!

最後に

以上がヴィーガンについての概要、そしてヴィーガンになることのメリットです。

「食」というのは人間にとって非常に繊細な問題であり、人によって多様な価値観がある分野です。

ですから、私は自分と同じ食生活を他人に強要することはありませんし、ヴィーガンの人、肉を食べる人、全ての人の価値観を理解します。

肉を沢山食べていても、発展途上国でボランティア活動をしているなら、それは持続可能な社会に貢献していることになりますから。

SDGsでは「差別をなくす」ことも目標に掲げています。

差別というのは、異なる価値観を認められない姿勢から生まれるものです。

ただ、是非やって欲しいことは、畜産が環境に与える影響などの「事実を知る」ということです。

事実を知った上で、ヴィーガンになる、肉を食べる、という選択をして欲しいです。

そして、なぜそういう食生活をしているか、という説明を人に出来るようになって欲しいです。

それが、サステナブルな社会を目指す地球に生きる人間としての責任だと思っています。

それでは。

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