SDGsが掲げる17の目標のうち、1番目の目標は「貧困をなくそう」です。
世界が抱える課題として貧困問題というのは、イメージしやすい人が多いのではないでしょうか。
貧困問題に関しては、日本でも現代社会などの学校教育を通して、昔からずっと扱われているテーマです。
また、SDGsの前身であるMDGsでも解決すべき課題として取り扱われてきた目標の一つです。
それだけ注目されやすい貧困問題なわけですが
「実際のところ世界は解決に向かっているのか?」
というのは皆さん気になるところではないでしょうか。
本記事では、そんなSDGsの1番目の目標「貧困をなくそう」について詳しく見ていきます。
【関連記事】SDGs(エスディージーズ)とは?17の持続可能な開発目標について解説
7つのターゲット
「貧困をなくそう」
といっても、具体的な指針がなければ皆で同じ目標に向かって突き進むことができません。
つまり「貧困ってどれくらいの収入の人が貧困なの?」とか「どういう方法で貧困をなくすの?」といった具体的な指針です。
というわけでSDGsはそれらの具体的な指針のことを「ターゲット」と呼んでいます。
SDGsは全部で17個のグローバル目標と169個のターゲットで構成されています。
そのうち、目標1についてはターゲットが7個あるということです。
1 | あらゆる場所のあらゆる形態の貧困を終わらせる |
---|---|
1.1 | 2030年までに、現在「1日1.25ドル未満で生活する人々」と定義されている極度の貧困を、あらゆる場所で終わらせる。 |
1.2 | 2030年までに、各国定義によるあらゆる次元の貧困状態にある、すべての年齢の男性、女性、子どもの割合を半減させる。 |
1.3 | 各国において最低限の基準を含む適切な社会保護制度及び対策を実施し、2030年までに貧困層及び脆弱層に対し十分な保護を達成する。 |
1.4 | 2030年までに、貧困層及び脆弱層をはじめ、すべての男性及び女性が、基礎的サービスへのアクセス、土地及びその他の形態の財産に対する所有権と管理権限、相続財産、 天然資源、適切な新技術、マイクロファイナンスを含む金融サービスに加え、経済的資源についても平等な権利を持つことができるように確保する。 |
1.5 | 2030年までに、貧困層や脆弱な状況にある人々の強靱性(レジリエンス)を構築し、気候変動に関連する極端な気象現象やその他の経済、社会、環境的ショックや災害に暴露や脆弱性を軽減する。 |
1.a | あらゆる次元での貧困を終わらせるための計画や政策を実施するべく、後発開発途上国をはじめとする開発途上国に対して適切かつ予測可能な手段を講じるため、開発協力の強化などを通じて、さまざまな供給源からの相当量の資源の動員を確保する。 |
1.b | 貧困撲滅のための行動への投資拡大を支援するため、国、地域及び国際レベルで、貧困層やジェンダーに配慮した開発戦略に基づいた適正な政策的枠組みを構築する。 |
【関連記事】SDGs「169」のターゲットとは?達成基準を一覧で紹介します
世界の現状
貧困率は下がりつつある
貧困に関する問題は、SDGsの前身であるMDGsでも達成目標として掲げられてきました。
また、数多くの課題を残したMDGsの中でも、貧困問題に関しては比較的成果を残した目標でもあります。
参照:Regional aggregation using 2011 PPP and $1.9/day poverty line
1989年に一時増加傾向に転じているものの、それ以降はずっと右肩下がりで減り続けています。
地域による偏り
ただ、課題が残っているのも現実です。
2015年の統計によると、貧困層の半数強がサブサハラ・アフリカ地域に集中しており、85%以上がサブサハラ・アフリカ地域もしくは南アジア地域に、また残りの15%(約1億600万人)がそれ以外の地域に住んでいることになります。
引用:世界の貧困に関するデータ
「世界全体の貧困割合」という数値で見れば大幅に減っていますが、世界全体から満遍なく貧困率が下がっているわけではなく、貧困率が一部の地域に集中してしまっているのです。
人類は「世界全体の貧困割合」を減らすことには成功をしました。
次なる貧困問題は、いかにして「サブサハラ・アフリカ地域の貧困率を減らすか」を考えることが重要だと言えるでしょう。
SDGsは「誰一人取り残さない(leave no one behind)」を理念としているグローバル目標です。
極度の貧困の中で暮らしている人の数が0人になるまでは世界の課題として取り組む必要があるわけです。
ですから、MDGsで成果を残した貧困というテーマは、引き続きSDGsでも盛り込まれたわけです。
日本の現状
引用:OECD経済審査報告書
貧困問題というと、私たちはどうしてもアフリカの国にいるやせ細った子供たちをイメージしがちです。
しかし、貧困問題は我が国においても他人事ではありません。
相対的貧困
一口に貧困率といっても「絶対的貧困率」と「相対的貧困率」の2種類があります。
SDGsで言うところの「1日1.25ドル(1.90ドル)未満で生活する人々」というのがまさに絶対的貧困率です。
一方、この条件には当てはまらないものの、その国の一般的な生活水準と比較したとき、貧しい生活をしている人の割合を相対的貧困率と呼びます。
世界で見たときの貧困率が絶対的貧困率、国内だけで見たときの貧困率が相対的貧困率と言えるでしょう。
日本はこの「相対的貧困率」が先進国に比べて非常に高く、OECDが算出した相対的貧困率によると、先進35ヵ国の中で7番目に高い数値となっています。
(日本の場合は4人世帯で年収およそ244万円以下の世帯が相対的貧困に該当します。)
実に日本人の7人に1人が相対的貧困の状態にあるんです。
また、日本の場合は子どもの貧困問題も深刻です。
日本の子供の貧困率は2015年の13.9%、実に7人に1人が貧困の状態にあるのです。
ひとり親家庭の貧困率になると50.8%です。
これは先進国の中でも特に悪い数字です。
貧困という問題は遠い世界の話ではなく、身近に存在する問題であるという当事者意識を持つことが大切です。
私たちに出来ること
貧困という問題があること、そして解決のための目標を掲げていることはご理解頂けたと思います。
そして、何より大事なのが「何をすればいいの?」という疑問です。
問題意識を持っていたとしても、何も行動しなければ、それは問題から目を背けていることと同じです。
寄付をする
貧困問題にもっとも気軽に取り組めるのは「寄付」です。
募金と言っても数多くの募金先があり、どういう目的に使われるのかも異なります。
特に「世界の貧困問題」の解決に募金をしたいという人は日本ユニセフ協会に募金をしましょう。
また、貧困に苦しむ日本人に寄付をしたい人はフードバンク、貧困に苦しむ日本の児童を助けたいという人はこども食堂に食材の寄付をしましょう。
【関連記事】寄付するならどこがいい?選び方とおすすめ寄付先3選を紹介します
募金活動に参加する
自分のお金だけで救われる命には限りがあります。
より多くの人の命を救いたいと考える人は、募金活動に参加してみましょう。
例えば、募金箱やポスター、チラシなどを持って駅前に立って声を募金を募る活動です。
募金活動に関しても、日本ユニセフ協会に問い合わせをすれば、参加することが可能です。
公式サイトのこちらのページで参加要項をご確認ください。
フェアトレード商品を購入する
フェアトレードとは、発展途上国で作られた商品を適正な価格で継続的に取引する仕組みのことを言います。
例えば、普段生活をしていて驚くほど安い商品に出会ったことはありませんか?
そのような商品はなぜ安く出来ているのかというと、労働者の賃金を安くしたりして、コストを削減していることが理由の一つとして挙げられます。
そして、私たち消費者もそのような企業の商品を買うことで、結果的に途上国の搾取を助長してしまっているのです。
また、従来までの発展途上国への支援は、先進国が一方的に支援するような性質を帯びていましたが、このような支援は先進国の都合によって左右され、継続性に欠けてしまいます。
ですから、フェアトレード商品を購入することで、私たち一消費者が継続的に支援することが出来るのです。
以下のような、フェアトレード認証ラベルが目印です。
【関連記事】フェアトレードとは?メリットや問題点についても解説
売上の一部が寄付される商品を買う
売上の一部を寄付してくれる商品があります。
例えばからだにユーグレナは、商品の売上の一部が、バングラデシュの子供たちの栄養不足解消に繋がる支援活動に寄付されます。
からだにユーグレナ自体が栄養満点なので、私たちがからだにユーグレナを飲んで健康になり、バングラデシュの子供たちも一緒に健康になる…というWIN-WINな商品です。
寄付ってどうしても一方的に身を削る行為なので、余裕があるときにしか出来ません。
でも売上の一部が寄付される商品の購入なら、自分たちは「商品を手に入れる」というメリットがあるので、負担に感じることなく継続することが可能です。
【関連記事】からだにユーグレナを徹底検証!口コミや効果レビューを紹介します
最後に
以上がSDGsが1番目に掲げるグローバル目標「貧困をなくそう」についての解説です。
最後の見出し「日本の現状」でも触れましたが、貧困問題というのは何も発展途上国だけが頑張る目標ではありません。
また、SDGsの前身であるMDGsでは、「先進国が一方的に開発途上国を支援してあげる」ような性質がたびたび批判されてきました。
つまるところ、SDGsでは「他人事」の問題というのは一つとしてないということです。
SDGsがこれまでの国際目標と異なるのは「全ての国で達成すべき目標」であるという点です。
全ての国、組織、人が「自分たちの問題」として取り組む姿勢がとても大切であると言えるでしょう。
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