ロハス(LOHAS)とは、
「Lifestyles of Health and Sustainability」
の頭文字をとった略語のことです。
直訳すると「健康的で持続可能な生活様式」という意味で、自分の健康と地球環境などに配慮した、持続可能な生活を心がけることを指します。
元々は1990年代にアメリカで生まれた言葉ですが、SDGsや脱炭素などが注目される昨今、再び注目を集めています。
背景
ロハスという言葉が誕生したのは1990年代後半のアメリカです。
社会学者のポール・レイと心理学者のシェリー・アンダーソンの著書
『The Cultural Creatives: How 50 Million People Are Changing the World.』
というレポートです。
このレポートは1986年から13年間にわたってアメリカ人の価値観とライフスタイルを調査したもので、環境、人間関係、平和などの世界的な課題や、自己実現や精神性の向上などに高い関心を持つ層がおり、全米では成人の23%にあたる5000万人がこのような価値観を持つことが分かりました。
そして、この調査結果に対して、エコロジー製品企業Gaiam(現Gaia)がポール・レイに提案をし、ロハス(LOHAS)というマーケティングコンセプトが誕生したのです。
ただ、アメリカにおいてLOHASという言葉は主にビジネス用語として扱われており、一般消費者にはあまり知られておりません。
(一般消費者の間でLOHASという言葉が最も普及しているのは恐らく日本です。)
カルチュラル・クリエイティブズ
ポール・レイとシェリー・アンダーソンは、西洋社会における「カルチュラル・クリエイティブズ(文化的創造者)」を特定するためのアンケートを作成しました。
その結果、以下の特徴がカルチュラル・クリエイティブズの資質として明らかになりました。
10個以上当てはまる場合は、カルチュラル・クリエイティブズに該当することを示しています。
- 自然を愛し、その保護や自然界のバランスに深い関心を持つ
- 気候変動や貧困など地球規模の問題を強く意識し、それに対する行動を望む
- 自ら積極的に行動する
- 環境改善につながるのであれば、より高い税金を払ったり、より多くの物品を購入したりすることに前向きである
- 人間関係を築き、維持することの重要性を強調する
- 他人を助け、自分自身の才能を伸ばすことの重要性を強調する
- 1つまたは複数の慈善団体でボランティアをする
- 精神的、心理的な成長(自己成長)に強い関心がある
- スピリチュアリティは人生の重要な側面であると考えるが、宗教的な原理主義を懸念している
- ビジネス、生活、政治において、男女の平等を望む
- すべての女性と子供の幸福に関心を持ち、それを支援する
- 教育、地域開発プログラム、より生態学的に持続可能な未来への支援に、より多くの資金を費やすことを支持する
- 政治における右派・左派に不満がある
- 未来に対して楽観的である
- 新しい、よりよい生活様式を創造することに関与する
- 環境破壊や貧しい国々からの搾取を含む、大企業や彼らが利益を得るために用いる手段に関心がある
- 浪費や多額の借金をすることはない
- 現代社会が「成功」「消費」「金儲け」に重きを置いていることが嫌いである
- 異質な人、異質な場所、異質なものを好む
ロハスな生活の具体例
持続可能な経済 (Sustainable Economy) |
再生可能エネルギー、エコ建築素材、SRI、省エネ製品、フェアトレード |
---|---|
健康的なライフスタイル (Healthy Lifestyle) |
オーガニック、自然食品、マクロビオティック、サプリメント、パーソナルケア |
代替医療 (Alternative Healthcare) |
鍼灸、ホメオパシー、予防治療、東洋医学、補完医学 |
自己開発 (Personal Development) |
ヨガ、瞑想・座禅、ピラティス |
環境に配慮したライフスタイル (Ecological Lifestyle) |
エコ住宅、有機・再生繊維製品、環境負荷の低い電化製品、エコツーリズム |
日本でのLOHAS
日本で初めてLOHASが紹介されたのは、2002年9月に日本経済新聞に掲載された大和田順子によるLOHASの記事です。
2004年以降、雑誌やテレビなどでロハス特集が組まれるなど、マスメディアが注目したことで国内でロハスが広まっていきました。
2005年にイースクエアがNMIによって行われた調査によると、日本の成人の29 %がLOHAS層だと言われています(他、NOMADICS: 27 %、CENTRISTS: 28 %、INDIFFERENTS: 16 %)。
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