• HOME
  • ブログ
  • 教育
  • インクルーシブ教育とは?実践例や課題をわかりやすく簡単に解説!

インクルーシブ教育とは?実践例や課題をわかりやすく簡単に解説!

インクルーシブ教育とは、「障害の有無に関わらず共に学ぶ仕組み」のことを指します。

人間の多様性を尊重し、能力を最大限に発達させ、誰もが自由に社会に参加することを可能にするという目的があります。

インクルーシブ教育は、2006年12月の国連総会で採択された障害者の権利に関する条約で示され、2015年に採択されたSDGsにおいてもインクルーシブ教育の理念につながる目標が定められていることから、近年国内外を問わず導入が議論されている教育制度です。

概要

冒頭では便宜的に「障害の有無に関わらず」と解説をしました。

しかしインクルーシブ教育は必ずしも「障害のある人」「障害のない人」といったように二分立で考えることを前提とはしません。

当たり前ですが、障害がある人も、人によって程度の差があるわけですから、単純に2つに分類することなどできません。

だからこそ、すべての人を包容し、各個人が教育的ニーズに応じた合理的配慮を保障されながら、ともに学ぶ教育のあり方や仕組みというのがより正確な意味合いです。

加えて、二分立で考えることを前提としないのは、インテグレーション教育との違いを明確化する意味合いもあります。

インテグレーション教育

インテグレーションとは日本語にすると「統合」を意味します。

インクルージョン(包容)と混同されやすいのですが、インテグレーション教育は、予め健常児と障害児を区別した上で、同じ場所で教育することを意味します。

簡単に言えば「学ぶ場所だけ」を統合したのがインテグレーション教育です。

すでに申し上げた通り、障害のある人でも人によって程度に差があるはずなのに、「障害のある人」「障害のない人」を二分し、それを単純に統合するだけでは問題の解決になりません。

子供達それぞれのニーズにあった教育をすべきという考え方が広まったからこそ、インクルーシブ教育という考え方が台頭したのです。

特別支援教育

インクルーシブ教育システム構築のために「特別支援教育」は必要不可欠であると考えられています。

「特別支援教育」とは、障害のある生徒の自立や社会参加に向けた主体的な取組を支援するという視点に立ち、生徒一人一人の教育的ニーズを把握し、その持てる力を高め、生活や学習上の困難を改善又は克服するため、適切な指導及び必要な支援を行うものです。

平成19年4月から、「特別支援教育」が学校教育法に位置づけられ、すべての学校において、障害のある幼児児童生徒の支援をさらに充実していくことになっています。

出典:文部科学省

メリット

共生社会の形成

これまで必ずしも十分に社会参加できるような環境になかった障害者等が、積極的に参加・貢献していくことができる共生社会を形成することに繋がります。

障害者理解の推進

障害のある生徒もそうでない生徒も同じ空間で接することで、障害者理解を推進に繋がります。

次代を担う子どもに対し、学校において、これを率先して進めていくことは、インクルーシブな社会の構築につながります。

デメリット

授業の遅れ

インクルーシブ教育はすべての子供に同様の指導をするというものではありません。

個々人の教育的ニーズに合わせて、より丁寧な指導をしたり、授業時間を長めに確保する必要がある場合があるわけです。

障害のある者と障害のない者が共に学ぶことで、授業に遅れが生じる場合があります。

教員への負担増

インクルーシブ教育システムを構築するためには、すべての教員が、特別支援教育に関する一定の知識・技能を有していることが求められます。

そのため、インクルーシブ教育を担当する教員は、教育現場における子供の成績だけでなく、生活習慣や家庭環境などの把握、配慮が必要となります。

追加コスト

特別支援教育により多様な子どものニーズに的確に応えていくためには、教員だけの対応では限界があります。

例えば、特別支援教育支援員の充実、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、言語聴覚士、作業療法士、理学療法士等の専門家の活用を図ることにより、障害のある子どもへの支援を充実させることが必要です。

また、人員のみならず、学校側の設備面で不足がある場合に改修や設備の追加が必要となります。

まとめ

インクルーシブ教育はまだまだ課題も多く、発展途上にある教育システムです。

ただ、SDGsにも掲げられている通り、持続可能な社会を実現するためには課題を改善し、質の高い教育をだれもが受けられる社会を実現していく必要があります。

インクルーシブ教育に限った話ではなく、ジェンダーギャップ解消もそうですが、多様性を認めるということは、社会に参画する人の母数が増えることになります。

気候変動や生態系の損失といった地球規模の問題を解決するには、障害を抱えていても、途上国の人でも、性別を問わず、課題解決に参加する人が一人でも多い方が良いに決まってるわけですから。

  1. この記事へのコメントはありません。