地球温暖化が問題視される昨今、世界中で脱炭素社会の実現がさけばれています。
また同時に、環境問題のほか、途上国の貧困や飢餓といった社会問題を解決すべくSDGsという目標が世界で掲げられています。
そして、環境にしろ、社会問題にしろ、あらゆる世界の問題にかかわっているのが「商品」です。
プラスチック製品によって海は汚れ、農薬によって生態系の豊かさは破壊されています。
先進国で安い商品を売ろうとするあまり、途上国の生産者は安価な労働力として搾取され、貧困が広がっています。
そんなこともあり、環境や生産者に配慮をして買い物をする「エシカル消費」が注目されています。
そして、エシカル消費と一緒に語られることが多いのがトレーサビリティです。
ところで皆さん、トレーサビリティって一体どんな意味なのかご存知でしょうか?
トレーサビリティとは
トレーサビリティとは、商品がつくられて皆さんの手元に届くまでの過程を把握できることを意味します。
すでにある絵や図などをなぞって複写することを「trace(トレース)する」と言ったりします。
trace(トレース)は、他にも「痕跡をたどる」といった意味もあります。
同じように、商品の工程をなぞることができる、商品の痕跡をたどることが出来る状態が、まさにトレーサビリティです。
商品の原料や素材はどのように生産され、どの工場で製造・加工され、どこに輸送されてお店に並んでいるのか。
こういった、いわば商品の足跡をたどれる状態のことです。
通販とかで商品を買ったとき、宅配便のサイトで荷物番号を打ち込んだりすると、自分が注文した商品が今どのエリアにあるのか、いつ頃自宅に届くのかを、調べたりすることができますよね。
あの宅配便の追跡も、まさにトレーサビリティの一部です。
ただし、あの追跡は、商品がつくられて皆さんの手元に届くまでの、トレーサビリティのごく一部でしかありません。
商品が皆さんの手元に届くまで、実際には
- 商品の原料が生産
- 工場で製造・加工
- 卸売業者に輸送
- 小売業者に輸送
このように、いくつもの工程があるのです。
一般的に「これはトレーサビリティが確保された商品だ」という場合、これらすべての工程が追跡可能な状態にあることを指します。
トレーサビリティの事例
実際にトレーサビリティを確保している企業を紹介させていただきます。
ヌーディージーンズ
例えば筆者がよく購入しているデニムブランドの「ヌーディージーンズ」。
ヌーディーはとっても環境に配慮しているブランドで、使われているコットンは農薬が使われていないオーガニックコットンだけを使用。
さらに、商品が製造されるときどれくらいのCO2が排出され、どれくらいの水が使用されたのかを明らかにしています。
そんなヌーディーは、しっかりトレーサビリティを確保しているのみならず、それを消費者が購入が綿で確認できるようにしています。
- 原材料(原材料のサプライヤーと生産地)
- 糸の製造プロセス(原材料から糸の製造に関与するサプライヤー)
- 生地製造プロセス(糸から生地を製造するさまざまな工程に関与するサプライヤー)
- トリム(衣服に使用されるさまざまなトリムとそのサプライヤー)
- メーカー(完成した衣服を組み立てるメーカー)
- 製造(衣服の製造に関与するさまざまな段階とユニット)
- 商品のサプライヤー(衣服の購入元となるサプライヤー)
- 輸送(衣服を輸送するルート)
- 倉庫
これらの工程において、どんな企業を経由したのかがはっきりと記載されています。
しかも、その企業をヌーディージーンズ自身がしっかり訪問していることも明示されています。
商品づくりをサプライチェーンに丸投げせず、自分たちの目で確認をしていることが良く分かります。
最後に
買い物は投票です。
私たちがなにを買うかで、どんな社会が形作られるのかが変わってきます。
商品づくりを他社に丸投げにし、どこでいつどんな風に作られたか把握していない企業の商品が売れ続ければ、これからも環境は破壊され、生産者が搾取され続ける社会になっていくでしょう。
逆に、私たち消費者が、トレーサビリティを確保している企業の商品を選ぶとどうなるでしょう?
企業は消費者に監視をされるわけですから、環境にも、生産者にも配慮せざるを得なくなるはずです。
そして、トレーサビリティを確保している商品が消費者から支持されるようになれば、そうでない企業も追随せざるを得なくなります。
企業が作る商品は、消費者が何を欲しがり、何を買うか次第です。
ぜひ、これからはトレーサビリティを確保している企業の商品を選ぶようにしませんか?
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