EUが原発を「グリーン」認定のニュースに思うこと

新年早々、衝撃のニュースが飛び込んできました。

欧州連合(EU)欧州委員会が2022年1月1日に、原発をグリーンな投資先として認定する方針を発表したのです。

発電量の7割を原発が占めるフランスをはじめ、フィンランド、ポーランドなど東欧諸国は原発をグリーンな投資先と認めることに賛成をしています。

一方、ドイツ・スペイン・オーストリア・デンマークといった脱原発派のEU加盟国は原発をグリーンな投資先と認めることに反対を表明しています。

もちろん、未来永劫にわたって原発を推進していくことを決めたわけではありません。

あくまでも 「再生可能エネルギーを基盤とする将来に向け、移行を促す手段」という位置づけになるわけですが…。

やはり原発に「グリーン」などというお墨付きを与えるのは考え物です。

確かに原発は、発電時にこそCO2は排出しません。

しかし事故が起きたときには生態系に甚大な被害を及ぼします。

そしてなにより、「核のゴミ」問題をどうするのか、人類は確かな答えをまだ見出してはいないはずです。

核のゴミが安全な放射能レベルにまでなるには数万年かかります。

一応は各国とも地下に埋めるという方法で対処しようとしています。

しかし生物が近づくことができないものが地球上にたまり続ける状況を「持続可能」とは呼べないはず。

もちろん、全世界が今すぐ火力と原発を同時になくして再エネだけでまかなうのは不可能です。

再エネだけで電力供給ができる見通しがたつまでは、原発が選択肢の一つになるのは致し方ないでしょう。

しかし原発はどこまでいっても妥協案であるべきであって、「グリーン」などと正当化するのはいかがなものかと。

このニュースを受けて、「EUは原発をグリーンな投資先として認定することをやめろ!」と言いたいわけではありません。

石油と石炭を廃止にして、原発すらもやめるというなら、どうやって電力を安定供給すればいいのかと聞かれたら、私自身それに対する模範解答を持ち合わせていません。

太陽光はメガソーラーの自然破壊の問題もあるし、風力発電もいますぐ火力にとって代われるレベルではないでしょうから、再エネもまだまだ課題だらけです。

ただ、結局のところ他国が作ったルールに追従するだけではダメだという確信は得られました。

脱炭素の手段は一つではないし、その手段については国ごとに利害が衝突するし、ルールはいつだって書き換えられる可能性があります。

ですから、例えば脱炭素の本丸である自動車に関しても、EUが「EVだけが脱炭素車」と言ったとしても、トヨタのように水素という独自路線を追及していくことはやはり大事なんだろうと思います。

2022年、いきなり脱炭素に関する大きなニュースでの幕開けとなりました。

一体世界はどのようにカーボンニュートラルを実現していくのか、2022年も引き続ぎ目が離せません。

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