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児童労働とは?現状・原因・解決策・私たちにできること

児童労働とは、18歳未満の子供が教育を受けずに危険で有害な労働に従事することを意味します。

もしかすると、日本人の多くは児童労働になじみがないかもしれません。

実際、日本はSDGsの4番目で掲げられている「質の高い教育をみんなに」という目標を達成しています。

多くの子供は労働に従事することなく義務教育を受けられているのです。

しかし世界に目を向けてみると、必ずしも日本と同じように当たり前のように学校に通えている子供ばかりではありません。

学校に通うことなく、労働に従事している子供が沢山いるのです。

【関連記事】SDGs目標4「質の高い教育をみんなに」とは?世界の現状や取り組みを紹介

目次

定義

子どもが働く場合すべてを児童労働と呼ぶわけではありません。

国際労働機関(ILO)によると

  • 15歳未満(途上国は14歳未満)の子どもが義務教育を受けずに働くこと
  • 18歳未満の子供が危険で有害な労働をすること

に該当する場合を児童労働であると定義しています。

例えば、15歳未満の子供が家業を手伝ったりしていたとしても、学校に通っているならば、それは児童労働とは呼びません。

現状

国際労働機関(ILO)と国連児童基金(UNICEF)の報告書「児童労働:2020年の世界推計~傾向と今後の課題~」によると、世界の児童労働者数は1億6000万人いるとされています。

子どもの10人に1人が児童労働をしていることになります。

児童労働の推計は2000年に始まり、それ以来減少していた児童労働が2020年に初めて増加に転じてしまいました。

2020年に発生した世界的パンデミックによりこの数字はさらに悪化することが危惧されています。

また、児童労働に従事する1億6000万人のうち、7900万人は健康、安全、道徳的な発達を直接危険にさらす危険有害労働に従事しているとされています。

地域別にみると、アジア・太平洋地域とラテンアメリカ・カリブ地域では児童労働が減少傾向にありますが、サハラ以南のアフリカでは進展が見られていません。

出典:Child Labour: Global estimates 2020, trends and the road forward

原因

労働に従事する子供がうまれてしまうのは

  • 貧困
  • 教育の不備
  • 無関心
  • 紛争

などが原因として挙げられます。

貧困

児童労働が生まれてしまう大きな原因は「貧困」です。

児童労働に従事する子供のうち23.9%がサハラ以南のアフリカに集中しています。

サハラ以南のアフリカと言えば全人口の41%が1日1ドル未満で生活している、貧困に苦しむ人が多い地域です。

貧困に苦しむ地域では、子どもすらも貴重な労働力となります。

特に貧困が集中しやすい農村部においては、親の労働力だけでは生活ができないため、家計を支えるために子どもたちが都市部に出稼ぎにいく事例が多いです。

【関連記事】SDGs目標1「貧困をなくそう」とは?現状・取り組み・自分たちにできること

教育の不備

日本では義務教育が無償で受けられることが保証されています。

しかし途上国においては有償である場合が多く、学費を稼ぐために労働に従事する子供もいます。

また、近くに学校がなかったり、教員が不足していたり、教育カリキュラムが不十分であったりと、そもそも子供たちが教育を受けるための環境が整備されていないことも大きな原因です。

無関心

私たち日本人は、子どもたちは学校へ行き、教育課程が終了したら働く、というのが当たり前です。

しかし、国や地域によっては、なぜ子供が勉強をする必要があるのかが分からなかったり、子どもが働くことがなぜ悪いことなのかが分からず、そもそも児童労働に対して無関心である場合も多いです。

紛争

紛争が絶えない地域では子どもたちも兵士にされることがあります。

戦闘員としてだけでなく、スパイや運び屋など様々な形態で紛争に関与します。

ちなみに武力紛争に関わる強制労働は、ILOが定める「最悪の形態の児童労働」とみなされています。

学校に通うことのできない子供のうち、2700万人が紛争が多発する地域に住んでいます。

紛争が起こると、自分たちが住む地域から逃げることを余儀なくされ、難民になってしまう可能性があります。

住む場所を失い難民になると、教育を受けられなくなる可能性は5倍も上昇します。

そして住む場所を失った子供は特に、児童労働に陥りやすくなります。

【参照】
1999年の最悪の形態の児童労働条約(第182号)
教育を奪われて(Education Uprooted)

解決策

児童労働という問題を解決するためには

  • 貧困の解消
  • 教育の整備
  • 貿易の不均衡を解消

などが挙げられます。

貧困の解消

児童労働と貧困問題は表裏一体と言っても過言ではありません。

貧困が蔓延しているからこそ、労働に駆り出される子供が後を絶たないのです。

ですから、根本的に国や地域の貧困を解消することが重要です。

実際のところ、MDGs(SDGsの前身)などの国際的な取り組みによって世界の貧困は減少傾向にあります。

ただ、貧困の減少は地域による偏りがあり、サハラ以南のアフリカ地域ではまだ高い貧困率にあります。

そして児童労働もまた、サハラ以南のアフリカ地域に集中しています。

引き続きSDGsをはじめとする国際的取り組みによって、貧困解消に尽力する必要があります。

教育の整備

学校に通えていない子どもたちの人口は主にサハラ以南のアフリカに集中しています。

サハラ以南に住む子供の85%以上が、最低限の学習をしていません。

児童労働もまた、サハラ以南のアフリカに集中しています。

十分な教育を受けずに育った子供は、成人になっても賃金の低い不安定な職に就く傾向にあります。

文字の読み書きが出来なければ、劣悪な労働条件であっても気づかずに労働契約を結んでしまう可能性があるからです。

そして貧しい家庭で生まれた子供たちもまた、教育機会が与えられない可能性が高くなります。

ユニセフの報告によると、教育を受けた母親から生まれた子どもは、教育を全く受けていない母親から生まれた子どもと比較して、就学前教育を受ける可能性が5倍高いと言われています。

貧困の連鎖は児童労働の連鎖を生み出します。

負のサイクルを断ち切るためにも、子供たちはしっかりと教育を受けることが重要です。

出典:https://www.unicef.or.jp/news/2019/0056.html

貿易の不均衡を解消

先進国と途上国には貿易の不均衡があります。

例えば先進国がチョコレートを安くつくるため、メーカーは途上国で安くカカオ豆を生産しようとします。

そのため、途上国では出来る限りできる限り生産コストを抑えるため、児童労働のような安い労働力に頼ったりする傾向にあります。

カカオ豆に限らず、コーヒー豆、綿花など、あらゆる農作物でこのような貿易の不均衡があります。

このような不均衡を解消するための仕組みとしてフェアトレード認証が挙げられます。

フェアトレード認証は、商品の価格に一定金額を上乗せすることで、生産者に適正な報酬が支払われる仕組みです。

さらに、フェアトレード認証を受けるには児童労働が行われていないかを監視する仕組みもあります。

フェアトレード商品を普及さることが、貧困解消や児童労働の削減に繋がります。

私たちに出来ること

世界から児童労働を根絶するため

  • 寄付をする
  • フェアトレード商品を購入する

といった形で私たち個人にも貢献することができます。

寄付をする

貧困に苦しみ、労働に駆り出される子供たちをダイレクトに救うためには、今も昔も「寄付」は有効な手段です。

例えばチャイルド・スポンサーシップでは、教育の質を高める環境づくり、男女の教育格差の是正、子どもたちへの教育支援、学校のインフラ整備などを行っています。

月々4,500円、1日150円でこうした活動を継続的に支援することができます。

また、支援した子供たちから手紙が届いたり、直接会いに行ったりすることも出来るのもチャイルド・スポンサーシップの魅力の一つです。

【関連記事】寄付するならどこがいい?選び方とおすすめ寄付先3選を紹介します

フェアトレード商品を買う

先進国に住む私たち消費者は、途上国に貧困を生み出す当事者です。

なぜなら、先進国のメーカーが途上国の安い労働力に頼り、商品のコストを抑えているからです。

そのおかげで私たち消費者は「安くて高品質な商品」を享受することが出来ているのです。

もしこのような先進国と途上国の不均衡に問題意識を持つ人はフェアトレード商品を購入しましょう。

フェアトレード商品は商品の料金に一定金額を上乗せし、途上国の生産者に適正な賃金が支払われる仕組みがあります。

また、フェアトレード認証では児童労働も禁止されているため、認証がある商品は児童労働に関与していないことの証明でもあります。

寄付は難しかったとしても、いつも買っていたチョコレートやコーヒーをフェアトレード商品に切り替えることなら継続できるという人も多いのではないでしょうか。

ぜひ商品を購入する際にはフェアトレード認証のラベルを探してみましょう。

【関連記事】フェアトレードとは?メリットや問題点についても解説

最後に

世界はいま、地球温暖化や海洋プラスチックゴミ、食糧危機などあらゆる問題に直面しています。

そしてその解決策を、先進国で教育を受けた豊かな暮らしを送っている一部の人間たちの脳みそだけで模索しています。

でも、世界の問題を解決してしまうようなイノベーションを起こすのは、もしかしたらいま児童労働に従事している子供だった可能性もあるのです。

しかし、児童労働によって、教育機会を奪われたことによって、可能性の芽が摘まれているとしたら、世界にとって大きな損失だと思うのです。

世界に70億もの人類が生きているのなら、70億の脳みそをフルに活用すべきだと思いませんか?

そのためにも、児童労働をなくし、子どもたちに教育機会を提供することは重要なのです。

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この記事を書いた人

持続可能な社会の実現を目指す300人以上の生活者や企業が集まる「サステラコミュニティ」運営。生まれも育ちも神奈川県横浜市。現在は鎌倉市在住。2018年にWEBメディアの会社を起業。フォロワー9万人のInstagramを中心にSDGs、地球温暖化、エシカル消費などの情報を発信しています。

【プロフィール詳細】
https://susterra.net/ryu/

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