
PFAS(ピーファス)とは?問題点や規制について解説します
PFAS(ピーファス)とは4700種類以上ある有機フッ素化合物群の総称です。
有機フッ素化合物「PFAS」は水や油をはじき、熱に強い性質を持ちます。
フライパン、お鍋、食品包装、衣類、化粧品など私たちの身近な製品に使用されていたりします。
PFASの問題
PFASは、ほとんど分解されず、数世代にわたって自然界に残るため、
「永遠の化学物質=フォーエバーケミカル」
と呼ばれています。
分解されずに自然界に残り続けるため、河川や地下水などの環境汚染を引き起こします。
また、いったん体内に入ると排出されにくく、がんや胎児の発育障害などとの関連が強く疑われ、欧米では規制強化が進んでいます。
PFASの規制
現在、PFASのうち古くから使われてきた「PFOS」「PFOA」「PFHxS」の3種類については、すでに有害性が明らかになっているため、国際条約*で製造・使用・輸入が禁止されています。
この条約には日本やEUを含む180あまりの国と地域が批准しており、アメリカは批准こそしていませんが法律で同様の措置をとっています。
日本のPFAS問題
2022年より東京都で採血ボランティアを募り大規模な血液検査が実施されました。
そして2023年1月以降、順次発表された検査結果で、住民の血液から欧米の安全基準値をはるかに超える有害な化学物質「PFAS」が検出されています。
採血した多くの住民からは、条約で製造や取引が禁止されるなど特に有害と考えられている4種類(PFOS、PFOA、PFHxS、PFNA)すべてが検出されています。
しかも、検査をした全体の6割近くが米国やドイツの専門機関が「要注意レベル」と設定した血中濃度を上回っています。
ちなみにPFASをめぐる問題は、東京都にとどまりません。
なぜなら日本各地で検出されているからです。
2021年度に実施された河川や地下水の調査では、31都道府県のうち13都府県81地点で暫定的な目標値を上回る高い濃度が検出されています。
PFASと米軍基地
地下水にPFASが混入した原因について原田准教授は
「汚染源の1つは米軍横田基地と見て間違いないと考えている」
と述べ、世界各地の軍事基地の周辺で同じ問題が起きていることを根拠に挙げました。
航空機の火災訓練で長年使用されてきた泡消火剤にPFASが含まれているからです。
そのため基地周辺の土壌や河川から高濃度のPFASが検出されるケースが多いのです。
ちなみに基地が汚染源になっている可能性が高いことはアメリカ自身もよく認識しています。
アメリカ軍はアメリカ国内だと基地周辺の水道水について調査しPFASの濃度を公表していたりするからです。
米国国防総省の調査により、少なくとも126の米軍基地とその周辺の水は、1970年代からの泡消火剤の使用により、高レベルのPFASによって汚染されたことが明らかになっています。
・DoD: At least 126 bases report water contaminants linked to cancer, birth defects
・Addressing Perfluorooctane Sulfonate (PFOS) and Perfluorooctanoic Acid (PFOA)
そしてこれらのうち90の基地は、基地外の飲料水または地下水に広がったPFAS汚染が報告されました。
2022年のペンタゴンの報告書は、20か所の米軍施設で約175,000人の米軍人が、米国環境保護庁の制限よりも高いPFASレベルで汚染された水を飲んだことを認めています。
このような感じで、アメリカ自身はアメリカ国内においては、PFASの危険性について認識をしているわけです。
ただ、日米の地位協定によって基地内への立ち入りが難しいため調査ができないので断定まではできないのが現状です。
水への対策
個人でできるPFAS対策として最も効果的なのは「浄水器を取り付ける」です。
実際PFASの血液検査が行われた際、自宅に浄水器を設置している家庭の場合、付けていない家よりも血中濃度平均は低かったという結果があります。
原田准教授によると、浄水器の活性炭がPFASの約9割を除去するとの世界保健機関(WHO)の研究があるそうです。
活性炭が含まれる浄水器であれば難でもいいと思いますが、ここは無難に「みんなが選んでいるもの」を買いましょう。
Amazonや楽天で最も人気の浄水器が東レのトレビーノ カセッティシリーズです。
【出典】多摩地域のPFAS血液検査、85%の人が「健康被害の恐れ」米国の指標値超える 市民団体が中間報告
検査した国分寺市の65人には自宅の浄水器の有無について聞いた。付けていない42人の血中濃度の平均値は4種類のうち3種類で、付けている23人よりも高かった。水道水に含まれたPFASが体内に蓄積されている可能性があるとした。
テフロンについて
PFASの危険性を論じる上ではテフロン加工についても無視できない問題です。
テフロンを製造する過程でPFOAが生成されたり、あるいはフライパンに施されるテフロン加工の助剤としてPFOAが使用されることがあるからです。
テフロンについては以下の記事をご参照ください。
【関連記事】テフロンは有害?フライパンのフッ素加工をめぐる危険性や規制について
まとめ
PFASの人への毒性が問題になる量は研究途上で、国際的に結論が出ていません。
ただし
- 国際的に有害性が認められている物質が検査をしたうち6割の住民の血液から要注意レベルで検出されている
- 事実確認をすべきだが日米の取り決めによって調査をすることができない
というのは紛れもない事実です。
この事実を目の前にして調査を行わない、問題視しないのは科学的な態度とは言えません。
アメリカに忖度し過ぎないで日本政府はぜひ調査に乗り出して欲しいものです。
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