日本は年間で2531万トンもの食品廃棄が発生しています。
そして、年間600万トンが、まだ食べられるのに廃棄される「食品ロス」です。
食品ロスは単にもったいないというだけでなく、ゴミの廃棄や輸送の際に大量のCO2が排出されるため、大きな環境負荷となっています。
そんな日本が抱える食品ロスという課題に対して、規格外野菜を乾燥野菜にアップサイクルし、ロス削減に貢献している会社があります。
それが京都で事業を営まれているOYAOYAです。
OYAOYAは一体どのようにして規格外野菜と向き合っているのでしょうか?
今回インタビューをさせていただき、お話を伺いました。
事業内容
——貴社の事業内容について教えてください。
小島さん:私たちは、行き場のない野菜に価値を与えることで、食品ロスの削減と農業を存続させる、という取り組みをしています。
規格外野菜を中心に、平均年齢33歳の若手農家さんなどと提携をして、乾燥野菜の販売をしています。
私自身は京都で生まれ育ち、大学の頃に農業について勉強をし、卒業と同時にOYAOYAの事業をスタートさせました。
商品について
——なぜ乾燥野菜を販売することになったのですか?
小島さん:全収穫量のうち、およそ30%ほどが規格外野菜と言われています。
重量にしておよそ274万トン、東京ドームに換算すると685個分です。
ただ、規格外野菜は処理が難しいなと感じています。
例えば高齢の農家さんだと、大袋に野菜をぱんぱんに詰めて直売所に持っていく…ということをされている方が多くいらっしゃいます。
逆に、規格外野菜があまりにも沢山流通してしまうと、若手の農家さんにしてみれば規格品が売れなくなってしまう、ということにも繋がります。
つまり、食品ロスを減らすために規格外野菜を売っていることが、かえって規格品が廃棄になってしまう可能性が出てくるのです。
また、最近流行の産直ECだと、事務作業に手間がかかりすぎて、本来の農作業がおろそかになってしまう、という課題もあります。
そこで私たちは、行き場のない野菜に価値を与えて、生産者が見えるブランドをつくることで、新しい農業のあり方を実証したい、と思ってOYAOYAというブランドを立ち上げました。
名前について
——OYAOYAという名前の由来は何ですか?
小島さん:「八百屋」さんに、京都らしい「お」をつけて、OYAOYAという名前にしました。
農家とも密に繋がりつつ、生産者の人たちともコミュニケーションを取りながら、野菜を買っていただこう、というコンセプトです。
「おいしい!を耕そう。」をブランドメッセージにしています。
乾燥野菜について
——OYAOYAでは具体的にどのような商品を販売されているんですか?
小島さん:無添加で保存料を使用していない乾燥野菜を販売しています。
乾燥野菜は生野菜に比べて食物繊維が8倍も豊富に含まれています。
日持ちもするので、現代のライフスタイルに合っていると思っています。
例えば、私が好きなのが「乾燥きゅうり」です。
塩シャケと乾燥きゅうりを炊飯器に入れて、炊き終わったあとに塩昆布を入れるとご飯がとても美味しくなります。
あとは「乾燥オクラ」などもあります。
お味噌汁やスープに入れると、ネバネバ感な食感をプラスすることができます。
今のところ30種類ほどの乾燥野菜を展開しています。
パッケージについて
——パッケージも色鮮やかでおしゃれですね。
小島さん:パッケージも乾燥野菜を並べてレーザープリントしたものです。
印刷のズレがあるパッケージもあるんですが、規格外野菜のズレを表現したりしています。
今後の展望
——今後も乾燥野菜の種類を増やしていくのですか?
小島さん:乾燥野菜メーカーというよりも、規格外野菜を加工するプラットフォームを作っていきたいと思っています。
例えば京都の北部にある砂丘でさつまいもを育てている農家さんがあり、そこでは一口サイズの小さなさつま芋が取れることがあるんですが、こういったさつま芋は廃棄されてしまいます。
こういったさつま芋を皮ごと干し芋にすることで、焼き芋のような味わいの商品を作ろうとしています。
また、木から落ちてしまって廃棄される梨を、乾燥梨にしたりしています。
乾燥梨は乾燥野菜よりもご好評いただいています。
OYAOYAが大切にしていること
——事業を運営するうえで大切にしていることは何でしょうか?
小島さん:野菜を届けるだけでなく、農家さんとのコミュニケーションの場を作りたいと思い、雑誌をつくる準備をしています。
親友の祖父が農家を営んでいたんですが、規格外野菜はどうしても「安くて当たり前」というイメージを持たれがちで、安く買いたたかれ、儲からずに経営難になったという話を聞きました。
そして親友の祖父は、そんな農家の現状を知っているからこそ、孫には農業を継いでほしくない、というお話を伺いました。
こういった背景を知っているからこそ、OYAOYAでは「WinWinの関係であること」を大切にしようと決めています。
お金と人間関係、2つの側面においてのWinWinです。
お金については、農家さんの言い値で、適正価格で仕入れるようにしています。
また、ただ仕入れるという関係だけでなく、一緒に商品をつくっていける、長いお付き合いをしていける事業にしていきたいなと考えています。
最後に
以上がOYAOYAの代表である小島さんのインタビューでした。
OYAOYAは食品ロス削減という課題に取り組んでいるのみならず、持続可能な農業の実現という大きなミッションを持たれていました。
日本は食料自給率が低く、農業の担い手も減っていくことが予想されますから、日本の農業はとても持続可能とは言えません。
しかし、これから世界の人口が増加し続け、食糧危機も取りざたされていることを考えれば、日本の農業を守らなければならないことは明白です。
OYAOYAの取り組みは、食品ロス削減と農業の持続可能性、ひいては日本の食を守ることに繋がっていると感じました。
今後OYAOYAがどのように事業展開をしていくのか、とても楽しみです。
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