フレキシタリアンとは、肉や魚といった動物性食品を減らす食生活のことを指します。
基本は動物性食品を減らしつつも、ときには食べる、という柔軟な食生活スタイルです。
柔軟を意味するフレキシブル(Flexible)と菜食主義を意味する(Vegetarian)を組み合わせた造語です。
「準菜食主義者」「セミベジタリアン」「ゆるベジタリアン」とも呼ばれます。
2014年にはオックスフォード英語辞典にも追加された正式な言葉です。
畜産と環境破壊
ここ最近は地球温暖化の影響もあり、世界で脱炭素社会の実現が叫ばれています。
そんな中、実は畜産が非常に環境負荷が大きな産業であることが分かっています。
世界で排出される温室効果ガスのうち、実に全体の18%を畜産が占めていると言われています。
18%となると、自動車・飛行機・船舶といった「全ての交通」が排出する温室効果ガスを超える量です。
加えて畜産は対規模な森林伐採にも繋がっています。
現在、家畜は地球上の全陸地の30%を使用しています。
世界最大の牛肉輸出国であるブラジルでは、牛の放牧地と飼料を生産するため、1日で東京ドーム650個分の森が消えています。
すでにラテンアメリカの熱帯雨林の約70%が放牧地と化しました。
以上のことから、畜産は持続可能な食生活ではないと考えられ、フレキシタリアンという食生活が注目されているのです。
つまり、フレキシタリアンという食生活をすることで、個人レベルで地球温暖化対策に貢献することが出来るのです。
ヴィーガンとフレキシタリアン
厳格に動物性食品を排除するヴィーガンという生活スタイルは皆さんご存知だと思います。
しかしなぜ、ヴィーガンになる人もいれば、フレキシタリアンになる人もいるのでしょうか?
それはおそらく「動物性を排除する理由の違い」によるところが大きいと思います。
ヴィーガンになる人は大きく分けて
- 動物愛護
- 環境
という2種類の動機があります。
(「健康」という動機で動物性食品を減らす人もいますが、動物性食品を減らすことが健康的かどうかはあまりにも議論が分かれるテーマであるため、ここでは触れません)
動物愛護という理由からヴィーガンになる人は、ある意味で「倫理的か」「反倫理的か」の2択しかありません。
ですから、ヴィーガンは食生活だけにとどまらず、レザーやファーが使われている洋服や、化粧品における動物実験も徹底して排除しているわけです。
一方、環境という観点から動物性食品と向き合う人は、少しでも環境負荷を減らすことが目的なので、動物性を完全に排除をせずとも十分に貢献することが出来ます。
例えば畜産業全体の排出ガスの78%は牛肉生産に起因していると言われており、食べる牛肉を減らすだけでも環境負荷を減らすという意味においては大きな効果があるわけです。
メリット
フレキシタリアンになれば、地球温暖化対策に大きく貢献することが出来ます。
カナダ・ダルハウジー大のネーサン・ペルティエ氏によると、牛肉から鶏肉に変えるだけでも、排出ガス量は70パーセント削減できるんだとか。
また世界自然保護基金(WWF:World Wildlife Fund)によってドイツで行われた新しい研究によると、週に一度しか肉を食べないことで、死亡率を下げて、自動車の走行距離750億kmに相当する二酸化炭素の排出量を削減することができるそう。
完全に動物性食品を排除できなくても、フレキシタリアンになるだけで十分な効果が期待できるのです。
これまで肉や魚など動物性食品を当たり前に食べてきた人にとって、動物性食品を完全に排除することは非常にハードルが高いです。
でも、フレキシタリアンという食生活ならいつでも始められそうな気がしませんか?
最後に
かくいう筆者も、かれこれ1年近くフレキシタリアン生活を続けています。
畜産の環境負荷の大きさを知ってから、サステナブル生活を始めた当初はヴィーガンにもチャレンジしました。
しかし、家族や友人と食事をするとき、お肉を断ることへの精神的ストレスを感じている自分に気が付き、断念をしてしまいました。
長い間サステナブル生活を送る中で、フレキシタリアンという食生活が最もストレスが少なく、自分に合っていると感じています。
サステナブル生活において、最も重要なことは「継続する」ことです。
皆さんもぜひ、フレキシタリアンという食生活を取り入れてみませんか?
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