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テフロンは有害?フライパンのフッ素加工をめぐる危険性や規制について

テフロンとは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)というフッ素樹脂のことで、プラスチック原料のひとつです。

高い耐熱性と耐摩耗性を持ち、非常に滑らかな表面を作ることができるため、様々な産業分野で使用されています。

フライパンや調理器具の表面に塗布されていることで知られており、食品がくっつかないようにする効果があります。

ちなみにテフロンという名前はアメリカのデュポン社の商標なので、そのほかの企業の商品などでは「フッ素樹脂加工」と表記されたりします。

ただ、テフロンは便利である一方で、メディアでもたびたび問題点が指摘されている原料でもあります。

一体テフロンにはどんな問題があるのか?本記事で詳しく解説させていただきます。

目次

問題点

テフロンは製造過程で有害な物質が生成されることがあります。

その中のひとつであるペルフルオロオクタン酸(PFOA)は、環境と人体に悪影響を及ぼすとされています。

研究によれば、PFOAは発がん性、生殖毒性、肝臓への影響など、さまざまな健康リスクが指摘されています。

ちなみにPFOAは「PFAS」と呼ばれる有機フッ素化合物の一群に属しています。

PFASは、ほとんど分解されず、数世代にわたって残るため、永遠の化学物質と呼ばれています。

また、製造過程のみならず、フライパン自体にテフロンを接着させるための助剤としてPFOAが使用されていたこともありました。

(すでにメーカーの間でもPFOAの問題は知られており、いま市販で売られているフライパンでPFOAを使用しているものは減っているとは思いますが。)

【関連記事】PFAS(ピーファス)とは?問題点や規制について解説します

アメリカでの事例

2000年代初頭に、テフロンを製造していたデュポン社の工場があるオハイオ州とウェストバージニア州の水源からPFOAが検出されました。

水源近くに住む地元住民たちは、デュポン社が健康被害や環境汚染を引き起こしたとして、大規模な訴訟を起こしました。

最終的に、デュポン社は住民に対して、約6億7千万ドルの賠償金を支払うことで合意。

その後、アメリカ環境保護庁(EPA)などの規制当局は、PFOAの使用制限や製造業者による自主規制を求めるようになりました。

2006年には、EPAはPFOAを削減するための計画を発表し、2015年までにPFOAの使用量を95%削減し、2020年までに完全に排除することを目指しました。

ちなみにデュポン社と地元住民との争いは、集団訴訟を引き受けた弁護士を題材にした映画『ダーク・ウォーターズ 巨大企業が恐れた男』でうかがい知ることができます。

このように、アメリカではテフロンをめぐる大規模な訴訟が実際に起こったりしているので、国民の間でもテフロンの問題については割と一般的に認識されています。

マイクロプラスチック

これまでは、テフロンそれ自体が問題というよりも、テフロンを接着させる助剤とか、テフロンの製造過程で発生する「PFOA」が問題だと考えられてきました。

だからこそ、一時期は「PFOAフリー」なんてことをうたうフライパンが売られていたりしたこともあります。

ただ最近の新たな研究発表によると、残念ながらテフロンそれ自体にも問題があることが分かりました。

Science of the Total Environment誌に掲載された新しい研究によると、テフロン加工のフライパンの表面に小さな亀裂が1つ入るだけで、調理中に数千から数百万のプラスチック粒子が放出されることが分かりました。

オーストラリアのフリンダース大学の研究者は、焦げ付き防止のフライパンや鍋を調理および洗浄する際に、何百万もの小さなプラスチック粒子がどのように剥がれ落ちる可能性があるかを評価。

その結果、小さな傷がついただけで30秒間に9100個の微細なプラスチック粒子が、壊れたコーティングからは230万個のマイクロプラスチックとナノプラスチックが放出されていることが確認され、調理中にこれらの化学物質にさらされるリスクが高まることが示されました。

Raman imaging for the identification of Teflon microplastics and nanoplastics released from non-stick cookware

どんなフライパンを選ぶべきか?

我が家のフライパン

テフロン加工のフライパンを避けたい人はセラミックの商品を選びましょう。

おすすめはベルギー発のブランド「グリーンパン」です。

我が家でもグリーンパンを愛用中です。

有害なPFASを一切含まない、砂由来と同じ原料からなるセラミック・ノンスティックコーティング「Thermolon(サーモロン)」を開発したブランドです。

【関連記事】グリーンパンの口コミ・評判

まとめ

本記事をまとめると

  • テフロンの製造過程でPFOAが生成される
  • テフロン加工のフライパンは接着させる助剤としてPFOAが使用されていた
  • PFOAは永遠の化学物質と呼ばれる「PFAS」と同じフッ素化合物の一群
  • PFASは有害性が指摘され世界中で規制されはじめている
  • テフロン加工のフライパンは傷つくとマイクロプラスチックを放出する

以上の通りです。

なので、現時点で有害性が明らかになっているのはテフロンというよりもPFOAです。

ただ最近ではテフロン加工のフライパンからはマイクロプラスチックが放出されることも分かっています。

そしてマイクロプラスチックが人体に与える影響については現在、研究が進められている最中です。

ですから、テフロン自体も手放しで安全だと評価することはできません。

そして何より、サステナビリティの観点から言えば、マイクロプラスチックを放出する商品が世界に流通し続けるのは好ましいとは言えません。

便利さは、時に犠牲の上に成り立っているものです。

そしてその犠牲から目を背け続けてきた結果、今日の持続不可能な世界がつくりあげられました。

環境にとっても、人にとっても、ベターな選択を追求し続けていきたいものです。

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この記事を書いた人

持続可能な社会の実現を目指す300人以上の生活者や企業が集まる「サステラコミュニティ」運営。生まれも育ちも神奈川県横浜市。現在は鎌倉市在住。2018年にWEBメディアの会社を起業。フォロワー9万人のInstagramを中心にSDGs、地球温暖化、エシカル消費などの情報を発信しています。

【プロフィール詳細】
https://susterra.net/ryu/

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