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社会変革には情報発信が超重要な理由と5つの事例

私は自身のサステナブル生活において「情報発信」を最も優先順位の高いアクションとして位置付けています。

そもそも私がInstagramやブログでサステナブルな情報の発信を始めたのは、OUR PLANETというドキュメンタリー作品を見たことがきっかけです。

北極圏の氷が解け、住む場所を失ったセイウチたちが、陸の上にすし詰め状態になり、中には圧迫死してしまうセイウチもいる、そんな映像が映し出されます。

そして息ができなくなったセイウチたちの中には、安息の地を求め、一匹、また一匹と崖の上に登り始め、次々と崖の上から落下してしまうのです。

視力が悪いから落ちてしまうのか、あるいは生きることを諦めてしまったのか、私には分かりません。

ただ、動物が崖の上から次々と落ち、死体の山が築かれていく光景は、今でも脳裏に焼き付いています。

私はこのシーンをみて

「どうすれば崖の上に登るセイウチたちの歩みを止めることが出来るのだろうか?」

と考えました。

でも、北極圏に住むセイウチを救うには、どう考えても、遠く離れた島国に住む私が一人で行動することにどれだけの効力があるのか疑問に感じたのです。

氷が解けるのを遅らせ、崖の上に登るセイウチの歩みを止めるには、自分と同じような問題意識を持つ人を増やすことが重要。

行動する人は、自分1人よりも2人の方が良いし、3人ならもっと良い。

そう考えて、インターネットでの情報発信を始めました。

目次

情報発信をする意味

なぜ私は情報発信を始めたのか。

それは純粋に、日本はサステナブルに関心を持つ人の母数が少ないからです。

国連の気候変動会議において、温暖化対策に消極的な国に与えられる不名誉な「化石賞」を受賞するなど、国レベルで環境問題に対する意識が低いのは皆さんご存知の通りです。

また、国民レベルにおいても日本人はサステナビリティに対する関心度は低いです。

例えばフェアトレード商品の市場規模は、日本は先進国の中でもかなり低い順位です。

出典:フェアトレード海外報告

世界の中で17番目、G7の中では最下位という結果。

そもそもフェアトレードは

「途上国からの搾取をやめさせるため先進国に課された仕組み」

という側面があるので、先進国で最下位ということは実質世界で最下位と言っても過言ではありません。

いずれにせよ、それだけ日本には「貧困」という問題に関心を持っている人が少ないということです。

ただ、一見すると悲観的なデータにも思えますが、

「サステナブルを普及する余地が大きい」

と言い換えることもできるはずです。

サステナブルに関心を持っている人が沢山いるのに問題が解決されないのなら、別のアプローチを考える必要があります。

でも、関心を持っている人が少なくて、問題が解決されていないのなら、やるべきことは実に単純明快です。

関心を持つ人を増やせばいいのです。

ですから、一人ひとりが各々サステナブルな生活を送ることも重要ですが、サステナブルな生活を送る人を増やすことも、特に日本においては効果的なのです。

フェアトレードのチョコレートを買う、これは素晴らしいアクションです。

フェアトレードのチョコレートを買い、そして自宅に帰ったらSNSやブログにアップしてみる…これはもっと素晴らしいアクションです!

アナタがフェアトレードのチョコレートをSNSにアップして、その投稿に影響されて買う人が1人現れたら、アナタが買ったチョコレートは1個でも2個買ったのと同じ効力を発揮しているわけです。

環境問題にしても同様です。

自宅の電気を再エネに切り替え、そのメリットを発信してもう1人再エネに切り替える人が現れたら、2軒分のCO2排出量を削減できるというわけです。

自分と同じアクションを起こす人を1人増やせば効果は2倍。

これが情報発信をすることの意味です。

共感は社会を変える

「ある非暴力的な社会運動に賛同する人の数が、人口の3.5%に達したとき、社会変革をもたらすことができる。」

ハーバード大学の政治学者エリカ・チェノウェスが提唱する説です。

1986年にフィリピンで100万人を超える人たちが参加したピープルパワー革命は、不正選挙まで行っていた当時のマルコス独裁政権を4日で覆しました。

2003年にジョージアで汚職がはびこっていたエドゥアルド・シェワルナゼ大統領を辞任に追い込んだバラ革命も、非暴力な活動でした。

2019年には、スーダンとアルジェリアの大統領が、市民による平和的な意思表示活動の結果、退陣することになりました。

ここで私が言いたいのは、3.5%集めなければ社会変革を起こせない、ということではありません。

市民が声をあげ、賛同者が集まれば、社会を変えることはできる、ということを申し上げたいのです。

投票率は低いし、政権交代はなかなか起こらないし、大規模デモがほとんど起こらない日本に住んでいたら「そんなの綺麗ごとだ」と思われる方も多いかもしれません。

しかし実際に一般市民の声が社会に変革をもたらした事例があります。

例えば2016年2月に匿名ブログに投稿された「保育園落ちた日本死ね!!!」という記事は、瞬く間に拡散され、衆院予算委員会でも取り上げられるなど社会問題化しました。

同年3月に始まったネット署名活動「#保育園落ちたの私と私の仲間だ」には、約2万8000人の賛同が寄せられました。

想像以上に待機児童の問題が拡散された結果、政府も無視できなくなり、当時の安倍首相は「待機児童ゼロを目指す」と語りました。

出典:令和3年4月の待機児童数調査のポイント – 厚生労働省

そして匿名ブログの記事が投稿された2年後の平成30年(2018年)以降、明らかに待機児童の数は減っていることが分かります。

もちろん今でも待機児童の問題が完全に解決されたわけではありませんし、待機児童が減ったのは全て匿名ブログの発信のおかげとも言いません。

しかし、一般市民の声が多くの共感を呼び、一国のリーダーが対応を迫られたことは、少なからず社会変革をもたらしたと言えそうです。


出典:https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200510/k10012424081000.html

あるいは、2020年の「検察庁法改正騒動」も賛同者を集めることで社会変革をもたらした事例の一つです。

ことの発端は、安倍内閣が令和2年2月に定年退職となる予定だった黒川東京高等検察庁検事長について、「閣議決定」という方法で定年の延長を決めたことにはじまります。

端的に言えば、当時の政権に近いとされる黒川弘務・東京高検検事長の定年を、安倍内閣が恣意的に延長しようとしたことに対する抗議です。

そして検察庁法の改正案をめぐり、2020年5月に「#検察庁法改正案に抗議します」というハッシュタグが5月8日に拡散。

5月10日午前4時の時点で抗議の投稿はリツイートも含めて100万件を突破。

多くの俳優やミュージシャンなどの著名人が賛意を示し始めるとさらに増加し、10日夜までの2日間で延べ480万件を超えるなど急速に広がりました。

署名サイト「change.org」で行われた「『検察庁法改正案』を断念させるまであと一歩です #与野党こえて検察庁法改正を止めよう」というキャンペーンでは、5月19日時点で35万340人が賛同の署名。

5月18日、結果的に政府・与党は、検察官の定年を引き上げる検察庁法改正案の今国会での成立を断念しました。

どうでしょう?政治に無関心な人が多いと言われる我が国でも、一般市民が声を上げ、それに共感する人が沢山いれば、社会に変革をもたらすことは可能なのです。

なんだか希望が湧いてきませんか?

自分ひとりが声をあげても意味がないと思う方もいるかもしれませんが、決してそんなことはないのです。

賛同者を増やす方法

「賛同者を増やそう」

という話をすると、

「じゃあ家族や友人にサステナブルをすすめよう!」

と考えるがいらっしゃいますが、個人的にそれはあまりオススメできません。

人間という生き物はほんとに頑固な生き物です。

自分でたどり着いた答えを信じたい生き物なのです。

他人から押し付けられた答えを、簡単に自分の意見として消化できるようには出来ていません。

アナタ自身が、サステナブルに関心を持ったきっかけを思い出してみましょう。

知人に「地球温暖化に関心を持って!」と言われて、「確かにそうだ!」とスグに関心を持ったわけではないでしょう。

しっかりと噛みしめ、味わい、自分事として消化するまでのプロセスが必ずあったはずです。

感動したり、衝撃を受けたり、悲しんだり…心が動かされる瞬間があったはずです。

これらの過程をすっ飛ばして人に興味を持ってもらうことは出来ません。

かくいう私も、1本50分近くあるOUR PLANETを全8シリーズみるまで環境問題に関心を持つことはありませんでした。

大学を卒業して社会人になり数年が経ちますが、これまで生きてきた中で「地球温暖化」とか「生物多様性」といったワードはいくらでも耳にしたことがあります。

恥ずかしながら、人生の大部分において、そういうキーワードを発する人たちを「意識高いなぁ」と思ってしまう側の人間でした。

しかし、自らリモコンで再生ボタンを押し、自分の部屋でかじりつくようにして見たOUR PLANETは、紛れもなく「自分の選択」だったわけです。

そしてインターネットが素晴らしいのは、自分の意見を誰かに押し付けることなく、共感者を増やせる点にあります。

Instagramで投稿を始めてから、「私たちの投稿みてください!」なんてDMを誰かに送り付けたことは一度たりともありません。

コツコツと投稿をしていく中で、1人、また1人と私たちの投稿に共感する人が現れ、フォローしてくれる人が増えていったのです。

人に向かって語りかけるのではありません。

海に向かって一人、叫び続けるのです。

次第にアナタの叫びに共感し、あなたの周りに集まってくる人が現れるでしょう。

インターネットという大海原に向かって叫びましょう。

かたやフォローしてくれる人たちも、自ら情報収集する中で私たちの投稿にたどり着き、自らの意思でいいねやコメントをつけ、フォローするというプロセスを経ることが出来ます。

賛同者を増やすうえで、こんな素晴らしい仕組みがあるインターネットを活用しない手はありません。

ちなみに、自分のプライベートなアカウントでサステナブルな発信をし始めるのもオススメしません。

高確率で「ヤバい人」だと思われてしまうでしょう。

学生時代の友人たちとは「学生時代」というプロセスによって繋がっているわけですから、突然自分ひとりでたどり着いた「サステナブル」な価値観でこれまで築いてきた関係を上書きしようとするのは、少し一方的な気がしています。

家族にしても、職場の同僚にしても同じです。

サステナビリティとプライベートな関係は切り分けるのがオススメです。

4万人以上のフォロワーがいる私も、家族や友人とサステナブルについて会話をすることはほとんどありません。

それでも、私たちの声は4万人以上に届けることができるのですから、身の回りの数十人を巻き込めなくても、どうということはありません。

サステナブルな情報発信を始めるなら、新しくSNSアカウントやブログを作りましょう。

さいごに

そうは言っても、SNSやブログで新たに情報発信を始めようとすると、必ず訪れる試練があります。

それは孤独との戦いです。

たった一人でインターネットの大海原に向かって叫び続ける作業は想像以上に孤独です。

もし発信を続けられる自信がないという人たちはぜひ、サステラコミュニティで共に手を取り合い、発信をしていきましょう。

サステラコミュニティにいる人たちはみな、アナタと同じようにサステナブルに関心を持つ人たちです。

また、発信をしていくうえで分からないこと、相談事などあれば、私たちがアドバイスさせていただきます。

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この記事を書いた人

持続可能な社会の実現を目指す300人以上の生活者や企業が集まる「サステラコミュニティ」運営。生まれも育ちも神奈川県横浜市。現在は鎌倉市在住。2018年にWEBメディアの会社を起業。フォロワー9万人のInstagramを中心にSDGs、地球温暖化、エシカル消費などの情報を発信しています。

【プロフィール詳細】
https://susterra.net/ryu/

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