現在、日本では「少子高齢化が進んでいる」と言われていますが、「自分には関係ない」「よく分からない」などピンときてない方が大半ではないでしょうか?
今はあまり目に見えていないかもしれませんが、確実に”少子高齢化”は深刻化しています。
そこで、今回の記事では少子高齢化の問題点や課題・対策を紹介し、実際に私達個人にどう関係していくのかを説明していきたいと思います。
少子高齢化とは
少子高齢化とは出生率(子供が生まれる人数)が減る一方、医療の発達により平均寿命が延びたことが原因で人口全体を占める子供の割合が低下(少子化)し、
65歳以上の高齢者の割合が高くなること(高齢化)をいいます。
ちなみに「少子高齢化」とよく言われていますが、現在日本では世界で例をみないほど少子高齢化が加速していることから“超少子高齢化”とも言われています。
日本の少子高齢化の現状
少子高齢化というのは「少子化」と「高齢化」が組みあわさった問題です。
まず少子化の現状をみていきましょう。
日本の「少子化」について内閣府から次の報告があります。
我が国の年間の出生数は、第1次ベビーブーム期には約270万人、第2次ベビーブーム期には約210万人であったが、1975(昭和50)年に200万人を割り込み、それ以降、毎年減少し続けた。1984(昭和59)年には150万人を割り込み、1991(平成3)年以降は増加と減少を繰り返しながら、緩やかな減少傾向となっている。
2013(平成25)年の出生数は、102万9,816人であり、前年の103万7,231人より7,415人減少した。
「少子化」の問題は出生率が減少し人口そのものが減少し始めていることです。
そして出生率が減少する中、「高齢化」は増加しています。
総人口が減少する中で高齢者が増加することにより高齢化率は上昇を続け、47(2035)年に33.4%で3人に1人となる。54(2042)年以降は高齢者人口が減少に転じても65歳到達者数が出生数を上回ることから高齢化率は上昇を続け、72(2060)年には39.9%に達して、国民の約2.5人に1人が65歳以上の高齢者となる社会が到来すると推計されている。
総人口に占める75歳以上人口の割合も上昇を続け、いわゆる「団塊ジュニア」(昭和46(1971)~49(1974)年に生まれた人)が75歳以上となった後に、平成72(2060)年には26.9%となり、4人に1人が75歳以上の高齢者となると推計されている。
また、高齢者人口のうち、65~74歳人口は「団塊の世代」が高齢期に入った後に平成28(2016)年の1,761万人でピークを迎える。その後は、43(2031)年まで減少傾向となるが、その後は再び増加に転じ、53(2041)年の1,676万人に至った後、減少に転じると推計されている。
一方、75歳以上人口は増加を続け、平成29(2017)年には65~74歳人口を上回り、その後も増加傾向が続くものと見込まれている(図1-1-4)。
世界保健機構(WHO)や国連の定義によると、総人口のうち65歳以上の人口の割合が21%を超えると「超高齢化社会」と言われます。
日本ではすでに「超高齢者社会」となり今後も上昇し高齢化が進行することが予想されています。
さて、少子高齢化の現状をみると1947年~1949年は第1次ベビーブーム、1971年~1974年には第2次ベビーブームが起きました。
第1次ベビーブームが起こった背景には第二次世界大戦が終わり、やっと平和を取り戻した日本人が「安心して子供を産める」という事や「日本を復興させるために多くの人間と労働力が必要とされた事」から子供を作る人が増えました。
ちなみに第1次ベビーブーム時に生まれた人々の事を「団塊世代」と言います。
次に第2次ベビーブームが起こった背景についてお話をします。第2次ベビーブームは、第1次ベビーブームで生まれた人々が結婚適齢期をむかえた事により、その分子供が増えました。
第2次ベビーブーム時に生まれた人々を「団塊ジュニア世代」と言います。この言葉も聞いたことがある人も多いのではないでしょうか?
「団塊ジュニア世代」は人口が多いため大学の受験競争が激しく、更に社会に出る頃にはバブル崩壊となった世代です。就職氷河期に当たってしまい、企業の採用枠に入らなかった人が多く、就職出来なかった人はフリーターや派遣となりました。
なので、収入が安定せず将来に不安を抱えてしまった人が多くなり、結婚しない人が増え、出生率の低下に繋がったともされているのです。
少し可哀想な世代ですよね。世間でも「貧乏くじ世代」「不運の世代」とも言われているみたいです。
少子高齢化の原因
少子高齢化になった原因は様々です。
上記で挙げたように
- 第一次ベビーブームが起こり高齢者の人口が多くなった。
- 第二次ベビーブーム時には就職氷河期となり結婚しない人が増えた。
という事が原因になっていると考えられます。
しかし、少子高齢化の原因は平均寿命が伸びたことと未婚・晩婚化が原因だとも言われています。
•日本では、諸外国と比べて結婚と出産が密接な関係にあることが特徴的。
•これを前提に少子化の要因について整理してみると、
・結婚しない・できない者の割合が増加している・結婚する時期が遅くなっている・夫婦が持つ子どもの数が少なくなっていることが、
出生率が低くなっている要因と考えられる。
3. 婚姻件数と婚姻率の推移
婚姻件数は近年継続的に減少している。
○婚姻率も同様に低下傾向にある。
○未婚化・晩婚化が進行しており、出生率に影響している。
以上のことから少子高齢化は、未婚・晩婚化と出生率が大きく影響している事が分かります。
また、ここ数年で結婚の価値観が変化している事が以下の資料から分かります。
結婚する意志のある未婚者が結婚相手に求める条件としては、男女とも「人柄」を重視 または考慮する人が最も多い。次いで、男性は「家事の能力」、「仕事への理解」などと なっている一方、女性は「家事の能力」、「経済力」、「仕事への理解」、「職業」などとなっ ている。 ○ 女性では、男性よりも「経済力」「職業」を考慮・重視する割合が高い。また、男女共に 「経済力」を「重視する」割合が増加している。
未婚・晩婚については、女性が社会進出したことにより「結婚以外にも様々な生き方を選択出来る」のが原因だと言われています。
また高齢化の原因となったのは寿命が伸びた事が考えられます。
(1)死亡率の低下による65歳以上人口の増加
戦後、我が国の死亡率(人口1,000人当たりの死亡数)は、生活環境の改善、食生活・栄養状態の改善、医療技術の進歩等により、乳幼児や青年の死亡率が大幅に低下したため、昭和22(1947)年の14.6から約15年で半減し、38(1963)年に7.0になった。その後はなだらかな低下を続け、54(1979)年には6.0と最低を記録した。
その後、近年の死亡率はやや上昇傾向にあり、平成26(2014)年は10.1(死亡数は127万3,004人)となっており、27(2015)年は推計で10.4(死亡数は130万2,000人)程度になるものと見込まれている(図1-1-9)。
出典:3 高齢化の要因|内閣府
たしかに、江戸時代では虫歯が原因で感染症にかかり死亡してしまう人が多くいましたが、今は虫歯になっても歯医者さんに行って治療をすれば治りますよね。
そう考えると、昔と比べて医学技術がかなり進み寿命が伸びるのは当たり前ですよね。
少子高齢化の影響
年金の問題
少子高齢化の現状や原因が分かったところで、一体私たちの生活にどんな影響を与えるのでしょうか?
ちなみに、ここで少子高齢化を知るうえで覚えて欲しいことがあります。
それは15歳〜64歳のいわゆる働き盛りの世代のことを「現役世代」と言い、65歳以上は定年で仕事を退職し、現役で働くのは無理とされているので「高齢者」とされています。
と話はそれましたが、ここで日本の人口推移をご覧ください。
このように現役世代の割合は現在の60%台から2060年には50.9%に減少するのに対して、2060年の高齢者の割合は39.9%と上昇します。
つまり、今は1人の高齢者を現役世代が2人で支えるというイメージで問題ありませんが、2060年には1人の高齢者を現役世代が1人で支え、さらに厳しい社会になると言われています。
しかし、これだけでは何が厳しいのかよく分からないですよね。では、身近にある社会保障(年金)で考えてみましょう。
まず基本的に20歳になったら国に年金の保険料を納めないといけません。年金は、65歳になったら年金を受給して老後を送ると考える人が大半でしょう。
ただ、年金の仕組みについて勘違いする人も一定数いますが、自分が納めた年金の保険料がそのまま65歳になったら自分に戻ってくる訳ではありません。
今現在、現役世代が国に納めている年金が高齢者の受給する年金となるのです。
では、少子高齢化が進むと一体どんな問題が起こるのかと言うと、年金を納める現役世代が少なくなり、年金をもらう高齢者は多くなるので、その分一人当たりの年金の保険料が高くなるのです。
そうなると、現役世代の経済的負担が増えて子供を持つのを躊躇する人も多くなります。もはや悪循環ですよね。
家庭の問題
少子化が進むと、もう一つ身近な問題として今までのような「家族」のあり方は変わってくる事が考えられます。
まず、今までの「家族」についてお話をします。全ての家族形態とは言いませんが高度成長期前の家族形態は、両親+長男夫婦+孫の「三世帯同居」という形でした。
たとえば、日本を代表するアニメで言うと「ちびまる子ちゃん」や「サザエさん」が三世帯同居となります。
高度成長期後は結婚しても両親と一緒に住まない家、いわゆる「核家族」という家族形態が増えました。
アニメでたとえるなら「クレヨンしんちゃん」や「ドラえもん」の家族構成が核家族となります。
ちなみに核家族は「夫婦+子世帯」だけではなく、夫婦のみ世帯、ひとり親と子世帯(シングルマザー・シングルファザー)も含まれます。
また、夫婦+子世帯に何人兄弟がいても「核家族」と言います。
この「核家族」が年々増えている訳です。
平成12年~17年の一般世帯数の増加率を世帯人員別にみると,1人世帯が12.0%増,2人世帯が10.9%増,3人世帯が4.4%増と,世帯人員が3人以下の世帯で増加しているのに対し,4人以上の世帯では減少している。また,一般世帯数の世帯人員別割合をみると,1人世帯,2人世帯が増加しているのに対し,3人以上の世帯では減少している。なお,一般世帯の1世帯当たり人員は2.55人で,平成12年の2.67人から減少している。(図7)
「夫婦のみの世帯」は増加,「夫婦と子供から成る世帯」は減少
一般世帯を家族類型別にみると,核家族世帯が28,393,707世帯(一般世帯数の57.9%)で,平成12年に比べ3.9%増加している。このうち「夫婦のみの世帯」は9,636,533世帯(同19.6%),「夫婦と子供から成る世帯」は14,645,655世帯(同29.9%)となっており,平成12年に比べ「夫婦のみの世帯」は9.1%増加,「夫婦と子供から成る世帯」は1.8%減少している。(図8)
基本的に国が定義する「家庭」とは「家族特に親子のつながりを築き維持する営みを通じて、子どもが様々な力を身につけて成長していく基礎的な場」
とされており、社会性が身につく場所でもあります。
で、おじいちゃんやおばあちゃんから「昔の家族は良かった」とか「昔の家族は絆が深い」と、よく聞きませんか?
昔の家族(三世帯同居)は何が良かったのかと言うと、たとえば「夫婦と子供」の他に上の世代の祖父・祖母がいて、更に子供に兄弟がいるとなると家庭内に様々な人間関係が生まれます。
無意識ながらも、そこには我慢を強いられたり、妥協しないといけない場面があったり、時には協力し合ったりなど…先ほどお伝えしたように成長過程の中で子供は社会の基礎的部分を身につけることが出来ます。つまり、家庭は社会そのものなのです。
ですが、現在は少子化が進み「核家族」が多いです。そして日本の平均現存子ども数は2人未満となっています。
理想とする子どもの数、予定する子どもの数ともに2人以上を保っている。
○一方で実際には平均現存子ども数が2人未満となっており、希望と現実にギャップが
存在している。
●平均理想子ども数と平均予定子ども数の推移
経済的に余裕がないのが原因で、両親が共働きになり、親子の接触時間が失われ家にいるのは子どもだけという状況が起こります。
しかも、社会全体で見ても子供の数は年々減少している訳ですから、子供同士の交流の機会すら少なくなり、人とのコミュニケーションがどんどん希薄化されていくのです。
以下、家族と子どもについて文部科学省からこのような資料があります。
家庭は,家族特に親子のつながりを築き,維持する営みを通じて,子どもが様々な力を身に付けて成長していく基礎的な場です。その観点から家庭をめぐる状況を見ていきます。
ア 親子がともに過ごす時間の変化とその背景
● 平日の親子の接触時間の減少
まず,親子がともに過ごす時間の変化を見てみましょう。
図1,2は,9歳から14歳の子を持つ親が,平日子どもと一緒に何かをしたり,相手をしている時間がどのくらいあるかを,平成12年と平成18年で比較したものです。これによると,父親については,「4時間以上」,「3時間くらい」が減少し,「2時間くらい」,「1時間くらい」が増加,さらに,「30分くらい」,「15分くらい」が大きく減り,「ほとんどない」が大きく増加しています。全体的に短い時間へシフトしており,特に,平成18年においては,平日の親子の接触時間が「ほとんどない」とした父親が23.3%,おおよそ4人に1人という結果となっています(図1)。
また,母親においても,父親ほど顕著ではありませんが,おおむね同様の傾向が見られます(図2)。
■図1 親子の接触時間(父親)
■図2 親子の接触時間(母親)
特に父親に関しては接触時間がだいぶ少なくなっていますよね。
話は少し変わって、子供の朝食について報告があります。
なお,最近の子どもたちを見ると,よく体を動かし,よく食べ,よく眠るという成長期の子どもにとって当たり前で必要不可欠な子どもの基本的生活習慣が乱れていることが指摘されています。例えば,文部科学省の「義務教育に関する意識調査」(平成17年度)によれば,朝食を食べない日がある小学生は約14パーセント,中学生は21パーセントに及んでいます(図表1-2-8)。
こうした基本的生活習慣の乱れは,学習意欲や体力低下をもたらすとともに,非行の一因とも指摘されており,子どもの基本的生活習慣を育成し,生活リズムを向上させることが重要な課題となっています(「朝食の摂取とペーパーテストの得点の関係」については図表1-2-9を参照)。
子ども時代に社会の基礎的部分を身につける場がなくなり、生活習慣が乱れていることが分かりました。
次に「核家族」の問題として、子供を産む親が困難な状況に陥っている事が明らかになりました。
核家族で起こるコミュニケーションの希薄化は、子供だけではなく親にも影響を及ぼしています。
たとえば、核家族の中で育ち、実生活で子供と接する機会がないまま親になった人は、「親として子供とどう接したら良いのか分からない」と育児に不安を持ってしまうのです。
昔は社会全体でみても子供の数は多く、親やお爺ちゃんお婆ちゃん近所の人など、たくさんの人間関係に囲まれている中で、子育てについて学び、助け合ってきました。
しかし現在は、出生率が低く、子育てしている人が少ないので、子育てを助けてくれる人や相談できる相手すらいない状況なのです。
そうした現状の中で誰が「子供を産みたい!」と思いますか?
これから子供を産むとなると、少子化の原因でもお話した経済的負担や精神的不安から子供を産みたいと思う人は少なくなります。そうなると少子高齢化は益々悪化しますよね。
老老介護の問題
次に高齢化の問題として「老老介護」があります。
「老老介護」とは65歳以上の高齢者を同じ65歳以上の高齢者が介護する状態のことです。
要介護者等からみた主な介護者の続柄をみると、6割以上が同居している人が主な介護者となっている。その主な内訳をみると、配偶者が26.2%、子が21.8%、子の配偶者が11.2%となっている。また、性別については、男性が31.3%、女性が68.7%と女性が多くなっている。
要介護者等と同居している主な介護者の年齢についてみると、男性では69.0%、女性では68.5%が60歳以上であり、いわゆる「老老介護」のケースも相当数存在していることがわかる(図1-2-3-10)。
普通、年を重ねれば重ねるほど体力が低下する事は何となく分かるでしょう。
たとえば、階段の上り下りがきつくなったり、歩くスピードが衰えたり、今まで見えていた文字や物などが見えづらくなったり、今まで出来ていた事が出来ず、体が思うように動かない症状が出ます。
少し話が変わりますが、介護は体力仕事でもあります。起き上がれない高齢者を起き上がらせる為に抱っこをしたり、安全に車椅子に乗せたり、ご飯のお手伝いやオムツの交換を何度もします。体力仕事だけではありません。その他にも介護は、たくさんの業務があるのです。
現役世代が介護をしても、肉体的に大きな負担がかかります。
これを高齢者がする事になると、かなり無理がありますよね。また、「介護うつ」という言葉があるくらい精神的に負担があります。
最悪の場合、介護者が高齢者に対して虐待行為をする事もあります。
つまり、老老介護は介護者本人に体力的・精神的に負担がかかり、介護疲れや介護殺人など引き起こし共倒れとなるのです。
なぜ老老介護が起こるのかというと、日本の人口では現役世代が減っていて高齢者が増えていますよね。
つまり介護の中でも同じようなことが起こり
介護士の働き手の人口が介護しなければいけない高齢者より少ないため
高齢者しか介護ができないという事態が起こってしまうという訳です。
介護分野の有効求人倍率をみると、全産業の有効求人倍率に比べ、高い水準を維持し続けている。特に平成18(2006)年から20(2008)年までは全産業の有効求人倍率が低下した一方で、介護分野の有効求人倍率は1.68倍から2.31倍まで上昇した。リーマンショック後は、介護分野の有効求人倍率も低下したが、23(2011)年からは全産業・介護分野ともに有効求人倍率は再び上昇し、特に26(2014)年からは介護分野の有効求人倍率の伸びは全産業の有効求人倍率に比べ、高くなっている。28(2016)年の介護分野の有効求人倍率は3.02倍となり、全産業の有効求人倍率(1.36倍)の約2.2倍となった(図1-2-3-15)。
ちなみに有効求人倍率が高いということは企業側が応募しているのに、応募者がなかなか集まらないという事です。
また経済的な面でいえば「介護サービスを受けるお金がない」「余裕がない」
といった理由から老老介護をしているケースがあります。
そして「核家族」にもつながってきますが、昔でいえば家族が一緒に住んでいたり近くに住んでいたこともあって
介護の手伝いをすることが出来ました。
しかし現在は核家族が多くなり両親と同居しないパターンが増え、その分高齢者だけの世帯が多くなりました。
一人暮らしや夫婦だけで暮らしてるため、介護の問題のほかに孤独死という状況も増えてきました。
死因不明の急性死や事故で亡くなった人の検案、解剖を行っている東京都監察医務院が公表しているデータによると、東京23区内における一人暮らしで65歳以上の人の自宅での死亡者数は、平成27(2015)年に3,127人となっている(図1-2-6-18)。
2025年問題・2040年問題
今はまだ
「少子高齢化はニュースなどでちょこっとやるくらいだから、そんなに自分に関係ないでしょ」
っていう認識かもしれません。
しかし今までの少子高齢化は超ハイスピードに進んでいることから
日本の問題だと指摘されてきました。
しかし「2025年問題」「2040年問題」というのが取り上げられていることは知っていますか?
2025年には「団塊世代(ベビーブームに生まれた人)」が
後期高齢者となり、いよいよ少子高齢化が本格的に直面する年なんです。
後期高齢者つまり75歳以上になると病にかかる率は高くなり、一気に介護費や医療費などの社会保障費の負担が強いられるのです。
さらに深刻化といわれているのが「2040年問題」です。
2040年には「団塊ジュニア世代」が高齢者となります。
2025年問題では、まだ現役世代の中に団塊ジュニア世代がいて人口に大きな影響を及ぼしませんでした。
しかし2040年問題では団塊ジュニア世代が高齢者となることで一気に現役世代の人口が減り、
その分高齢者が増えるということになります。
しかも「就職氷河期」にあたった団塊ジュニア世代は就職が困難だったため、
年金の保険料の納付期間が短く厚生年金などに加入していない人が多くいます。
なので、十分な年金をもらうことが出来ない「低年金」や老後に年金がもらえない「無年金」が増えます。
つまり貧困高齢者が日本に多くいることになります。
今の年金制度って前の三世帯同居や自分の息子夫婦や子供が近くに住んでいたり、
仕送りをする前提で作られています。
なので、そもそも受給額はあまり多くないんです。
しかし、高齢者の核家族化や一人暮しが多くなり平均寿命が急に伸びたことから、
このまま同じ制度で年金の保険料を支払うと国が破綻してしまうのは目に見えています。
という事で、「少子高齢化」がこのまま進むと日本は危ない状況になるという事は把握できましたか?
では、今後日本はどんな対策を行う必要があるのでしょうか?
今後の課題・対策
定年制度の見直し
まず年金の問題がありましたよね。
年金の取り組みについて「現役世代が高齢者の年金の保険料を更に補う」という予測がされていました。
ですが現役世代からすると子育ての費用もあり負担額は大きくなってしまいます。
そこで高齢者の「定年を引き上げる」という動きがあります。
まず少し話は変わりますが定年って「会社が決めている年齢のこと」で、
就業規則に規定する場合は法律でも必ず定年は60歳以上と決めています。
で、本人が希望するなら定年後も引き続き雇用される「継続雇用制度」の導入をしています。
60歳に定年し年金の受給開始されるのは65歳となっていたため、
給料も年金も貰えない空白の5年を埋めることが出来るようになったって訳です。
今のところ年金制度はこのままで良かったかもしれません。
しかし少子高齢化はハイスピードで進んでおり2025年には少子高齢化に直面します。
なので内閣では65歳以上を一律「高齢者」としていましたが、
65歳以上は高齢者と見るのは現実的じゃないということで、
高齢者の定義を70歳か75歳に引き上げると提案しました。
また年金受給開始年齢を「70歳以降も受給開始を選べる制度」にすると提案しました。
たとえば受給開始年齢を75歳まで遅らせた場合84%も受給額は増加するので、高齢者にとってはメリットとなります。
そして高齢者の通常歩行速度は10年で10歳ほど若返っていると経済産業省は発表したので、
実際に65歳を高齢者と言うのは現実的ではないという見方をするのはわかりますね。
移民受け入れ
日本の”少子高齢化”が進むと現役世代は少なくなり高齢者は多くなるということはわかったと思います。
で、たとえば高齢者が多くなった場合って医療・介護など人手不足になることは間違いないですよね。
そこで人手不足を解消するために日本でも外国人の移民を積極的に受け入れていくべきだ
と考えているようです。
以下、移民を受け入れるとこのような未来が予測されます。
出生率現状ケース:2060年に約8,700万人、2110年に約4,300万人まで減少。
生産年齢人口:2060年に約4,400万人、2110年に約2,100万人まで減少。
20~74歳人口(「新生産年齢人口」):2060年に約5,200万人、2110年に約2,600万人まで減少。
出生率回復ケース(2030年に合計特殊出生率が2.07まで上昇):2060年に約9,800万人、2110年に約9,100万
人を維持。
20~74歳人口(「新生産年齢人口」) :2060年に約5,900万人、2110年に約5,800万人を維持。
※移民を年20万人ずつ受け入れた場合、1億1,000万人程度を維持。
毎年20万人を受け入れれば、たしかに人口は多くなり少子高齢化の歯止めになります。
しかし移民を受け入れれば「文化の違い」や「治安悪化」につながるというリスクがあります。
たとえばドイツは昔から多くの移民や難民を受け入れてきましたが、ドイツの首相が「多文化主義は完全に失敗」したと発言しています。
なぜそんなことを言ったのでしょうか?
説明すると、ドイツは第二次世界大戦で労働力不足となり経済復興のために大量の移民を受け入れることにしました。
一時は経済は回復したもののオイルショックで経済がまた悪化し失業者がたくさん生まれました。
そこから90年代にはベルリンの壁が崩壊したことから、再び多くの移民・難民がドイツにやってきました。
しかし移民した人はドイツ語が話せなかったり十分な教育を受けていないといった理由から、
社会に溶け込めず就職が出来ないといった問題が起こってしまいました。
そして社会に溶け込めなかった移民や難民による犯罪が多発するようになりました。
そういった点から移民受け入れは治安悪化につながり受け入れ難いと言われているのです。
また建国してからずっと多くの移民を受け入れてきた”多民族の国であるアメリカ”では、
正当な手続きを取らずに不法に移り住む人々「不法移民」が増加しています。
不法移民はせっかくアメリカに移り住んだにも関わらず、身分がバレたら強制送還されるので身分を隠さなければいけません。
そうすると、まともな仕事に就くことが出来ず違法な仕事をせざる負えない状況になります。
そういった点でも「移民=治安悪化」という印象になっているのだと考えられます。
そしてアメリカには不法移民が増加していることからドナルド・トランプ大統領は不法移民に対して、
「けものだ」「不法移民が米国人の雇用を奪い、犯罪おかしている!」といった発言しています。
トランプ大統領は移民に対して嫌悪な態度をとっており、
オバマ政権が2012年に措置したDACA(ダカ)という制度を廃止すると発表しました。
ちなみにDAKAは【幼少期に両親に連れられ不法にアメリカに入国した移民を強制送還の対象としない制度】で、条件がいくつかあります。
たとえば、
- 2012年6月時点で31歳未満であり、16歳になる前にアメリカに移住してきた人
- 通学中や高卒認定者
- 重大犯罪で有罪となっていない人
- 5年以上アメリカに住んでいる人
など条件を満たした人に限り2年間は強制送還の対象となりません。
よって更新してそのまま住居してもOKですしアメリカで就職することも可能となります。
ちなみにDACA制度に登録した若者を「ドリーマー」と呼びます。
で、トランプ大統領は「アメリカ国民の雇用と安全を脅かす」と非難してDACA制度を廃止しようとしました。
しかしDACA制度が廃止となれば、労働者が一気に減ることが懸念され多くの非難の声が上がりました。
そしてDACA制度廃止は一度取りやめることになりましたが、
トランプ大統領は「DACA制度が廃止しなければ国境の壁を作る」とまたも過激な発言をし多くの非難を受けています。
以上のことから、まだまだ世界的にみても移民を受け入れることは多くの問題点があります。
しかし一方では、先ほどお伝えしたように若い外国人移民を受け入れると労働者が増え人手不足の解消につながるというメリットがあります。
労働力が増すと所得税などの税収が増加します。
税収とは国が国民から受けっとた税金のことで、税収が増えれば増えるほど日本の経済が潤うということです。
またドイツでは移民を受け入れた事で出生数が増加しました。
母親が外国人の子供は全体の4分の1とされています。
日本でも移民を受け入れることで出生数の増加につながる可能性は大いにあります。
また異文化を受け入れることで将来は今まで日本になかったサービスなどが生まれる可能性があります。
たとえば世界のトップIT企業であるGoogleの創業者セルゲイ・ブリンはロシア系移民1世であるし、
アマゾン創業者のジェフ・ベゾスはキューバ系移民2世となります。
またAppleのティム・クック最高経営責任者はトランプ大統領の移民に対する発言に対し、
社員に向け「移民なしでアップルは存在しません」と語るほどです。
今のアメリカのIT業界を発展させたのは移民を受け入れたからこそだと言えますよね。
幼老複合施設
現在、少子化が進み核家族が増えることから家には子供が一人となる可能性は高いです。
また高齢化が進み高齢者も一人暮らしを余儀なくされているケースが多いです。
以上のことから「幼老複合施設」が今注目されています。
「幼老複合施設」とは、介護施設と子供用の保育園などが一体となった施設と捉えてもらえれば問題ありません。
たとえばスタジオジブリの「崖の上のポニョ」を見た事がある人はイメージしやすいかと思います。
少子化が進むと子供は社会の基礎的な場所が限られてくるので、
高齢者と交流を深める事で知識や知恵を学ぶことができたり、人とのコミュニケーションを取る事が出来ます。
また高齢者にとっても、子供と一緒にいる事で脳の活性化やコミュニケーションを取る事で生きがいにつながってきます。
「幼老複合施設」は国や各自治体から運営費や設備設置に対する補助金給付など支援があることから、今後も増え続けると考えます。
実際「幼老複合施設」を知っている人はどのくらいいるでしょうか?
そういった施設があるという事を知っていれば、身の回りにいる保育所に預けれない困った親や
介護問題に直面している人に提案してみても良いでしょう。
AI・ロボットの導入
日本は少子高齢化が進むと労働力が不足するという事はわかったと思います。
そこで、労働力不足を補うためにロボットやAIが注目されて「第4次産業革命」とも呼ばれる動きを政府はとっているようです。
AI・ロボットを導入した例でいうと、Amazonでは「Amazon GO」という無人コンビニエンスストアを開始しました。
入場する際は自動改札のようにスマホでQRコードをかざすだけです。
決済方法はバッグにそのまま入れて退場しただけで自動的に課金されるというシステムです。
つまりレジが一切存在しないという事になります。
この技術はAIやお店にある無数のカメラによって情報処理を行なったものです。
最近では、日本のスーパーでも店員ではなく自分でレジが出来るようになりましたよね。
今後もこのように労働者がいなくてもお店の運営など問題なく出来るようになると考えます。
またロボットやAIの技術は自動車業界にも導入される事が予想されます。
今ニュースでも取り上げられていますが、高齢者による自動車事故が後を絶ちませんよね。
なので自動車メーカーでは安全運転サポートという自動ブレーキを搭載した自動車を増やす動きがあります。
また自動でハンドルを操作するなど、人が運転操作を行わなくても良いような自動車を開発実験しています。
以上のことからロボットやAIの導入はますます発展すると考えられます。
また81歳の日本人女性が作った「hinadan」というアプリが現在7万ダウンロードを突破しました。
「世界最高齢のプログラマー」と取り上げられ政府の「100年時代構想会議」の有職者技議員に選出されたり、
Apple社の開発者イベントWWDCにも登壇するほど世界的に注目されています。
女性は「高齢者も使えるアプリが欲しい」と言ったところ「高齢者の好みがわからないから自分で作ったら?」と言われ、
実際にプログラミングを一から勉強し高齢者向けのアプリの開発に成功しました。
現在世界的に高齢化が進んでいる事から「hinadan」のような高齢者向けのアプリはニーズが増えると考えられます。
今となってはプログラミングの勉強をするだけでも、アプリは簡単に作れます。
なので高齢者のニーズに応えられるようなアプリの開発を行うのも良いかもしれません。
また個人的に出来る対策として、まずは自分の年代ではどのくらいの年金が貰えるのかシミュレーションを行い、
介護費や医療費などを考慮した上で今の内に貯蓄をすることが出来ます。
さて、話は変わりますがアメリカやドイツでは移民受け入れを行い様々な物議を醸し出していました。
では、他の国では移民受け入れの他に少子高齢化に対しどのように対策を導入しているのか、それぞれ確認していきましょう!
世界の少子高齢化について
アメリカの少子高齢化
先ほども出てきた”多民族の国アメリカ”ですが、日本と同じく少子高齢化が進んでいます。
というのも、アメリカにもベビーブームというものがあって、
1946年から1964年の18年の長い間に約7,820万人ものアメリカ人が生まれました。
このベビーブームの世代が高齢者になることから、2010年〜2030年にかけて高齢化が急激に進むと言われているのです。
ちなみに日本ではベビーブームに生まれた世代のことを「団塊世代」と呼びましたが、アメリカでは「ベビーブーマー世代」と呼びます。
そこから1980年代〜1990年代に時期は違うものの日本と同じく第二次ベビーブームが到来しました。
日本では「団塊ジュニア世代」でしたがアメリカは「エコーベビーブーマー」と呼びます。
またアメリカは日本ほどではないものの2016年には出生率も低下しており過去最低を記録しました。
さて、そんなアメリカでは少子高齢化対策としてどんなものを導入しているのでしょうか?
先ほどお伝えしたように外国人移民受け入れを行っていることで、数々の問題点がありました。
しかし現実に人口は増加しており4億人を突破すると言われています。
人口の視点でいえば、ある意味外国人移民受け入れは成功しているとも言えます。
また、出生率は過去最低を記録したとはいっても世界的に見て高い出生率を維持しています。
背景には民間の保育サービスが発達しているほか子育て後の再雇用や子育て前後の仕事の継続が容易であること、
そして元々男性が家事に参加する事が多く子どもを産みやすい環境となっていることが考えられます。
日本ではよく育児をするお父さんのことを「イクメン」といいますが、
アメリカでは育児をするお父さんのことをそのまま「father」と言うのは有名な話かと思います。
「お父さんは育児に参加するのが当たり前」だという価値観と、
日本人の「家庭の事は妻がやる」といった価値観の違いが大きな差を生んでいるのかもしれません。
スウェーデンの少子高齢化
次に紹介するのはスウェーデンです。
スウェーデンは少子高齢化対策に成功した国と呼ばれています。
なので、参考に出来る国ではありますね。
スウェーデンの出生率は1998年には1.50と低下していましたが、2010年に
は1.98に上昇し無事に回復しています。
一体、どんな政策をおこなったのでしょうか?
まず「スピードプレミアム」といった制度を設けました。
これは2人以上の子供を出産する際に間隔が短ければ短いほど優遇される制度です。
フルタイム時の給与から給付額が決められ、休暇中であっても高いまま給付金がもらえるというシステムです。
で、最初は1年という短い期間を設けましたが効果がみられませんでした。
しかし条件を2年6ヶ月以内と定めたことで出生率が上昇し回復につながったとされています。
次に「サムボ制度」を導入しました。
サムボとは、住所が同じであり長く共同生活をしている同棲カップルや事実婚をしている人達のことを指します。
婚姻している夫婦と同様に権利や保護が与えられる法律となります。
同棲カップルの間に生まれた子供に対して法的な差別をなくし、
結婚せずに別れた場合であっても住居や家にある財産や道具など平等に分ける事が出来ます。
現在は生まれてくる事どもの半数がサムボカップルの間に生まれた子供(婚外子)が半数以上で、
未婚であっても子供を産むことはライフスタイルのひとつとして社会に受け入られています。
そしてサムボ制度を施行したことで出生率が増加しました。
次に育児休業についてです。
と、その前に「育児休業」と「育児休暇」が混同しやすいので整理しておきましょう。
「育児休業」とは一定の条件を満たせば育児休業給付金が支給される法律のことです。
「育児休暇」は法律で決められておらず、単純に育児のために休暇を取得することを指します。
で、日本にも育児休業があります。
日本の育児休業は子供が1歳になるまで手続きをすれば育児休業は可能で、
半年間は月給の67%の給付金がもらうことができて、半年後からは50%となります。
保育所に入所できない場合は1歳6ヶ月までは休業開始時の50%相当の給付金が貰えます。
対してスウェーデンは、子供が8歳までの間に両親合わせて最高480日の育児休暇を取得できます。
そのうち390日は休業する直前の所得の80%の給付金が貰えて、
残りの90日は月額約8.6万円貰えるというシステムです。
たとえシングルマザーなどのひとり親であっても同じような制度が受けられます。
こうした育児休業が充実している事からスウェーデンはどんな状況であっても、子供を育てやすい環境だという事がわかります。
フランスの少子高齢化
フランスもスウェーデンと同じく、少子高齢化対策に成功したと言われています。
最近では女性の労働率が高い方が出生率も共に高くなる傾向が見受けられます。
以下のグラフをご覧ください。
○フランスやスウェーデンにおいては、高労働力率と出生率上昇の同時回復を達成。
特にスウェーデンにおいては、足元では1970年よりも高い出生率を達成。
○近年は、女性の労働力率が高い方が、出生率も高くなる傾向。
このようにフランスは出生率が過去最低になった時点で福祉制度や育児制度を見直しました。
そして出生率は2.01まで上昇し回復をしました。
まずフランスでは「N分N乗方式」という制度を作りました。
説明すると、子供の多い世帯ほど所得税が軽減される仕組みとなっています。
なので「N分N乗方式」を導入すると結婚して夫婦一緒に税金を安く抑え、
さらに子供を産めば産むほど税金は安くなるので、早く結婚して子供を産みたいと考える人が増加したと考えられます。
それからフランスでは妊娠や出産・不妊治療などの費用が無料となります。
これは日本と大きく違います。
日本では妊娠してから出産するまでは「病気ではない」とされ健康保険は適用外となり実質自己負担となります。
最近は公費で妊娠から出産を援助されるようになりましたが全て無料にするのはやっぱり厳しいです。
一方フランスでは公立病院で健診を受けて出産をすれば、健康保険が適用され産後のリハビリまで無料となります。
日本では妊娠して産むだけでお金がかかりますが、フランスはお金がかからないので産みやすい環境と言えます。
ドイツの少子高齢化
先ほどお伝えしたようにドイツでは労働力不足によって移民を受け入れることにしましたが、数々の問題点がありましたよね。
しかし移民が増加したことでベビーブームに貢献したとも言われるほど出生数も増加しました。
2016年には約20年ぶりに高い数値となり1.59と回復することが出来ました。
背景には移民受入のほかに子育て支援が充実された事が理由ともされています。
たとえば、ドイツには「両親手当」というものがあります。
育児休業で産休前の手取り67%の給付金が保障され、父親の育児休業を促進するために作られた制度です。
仮に母親が休業する場合は手当が12ヶ月支給されて父親も休業する場合は、
手当の支給が2ヶ月延長されます。つまり最大14ヶ月は給付金が支給されるということです。
こうした制度を作った事で、ドイツでは育児休暇をとる父親が約30%も上がりました。
またドイツの「児童手当」も充実しています。
満18歳までは児童手当が支給され、本人が高等教育・職業訓練を受ける場合は満25歳まで支給期間が延長されます。
2018年現在では支給額が1~2人目は194ユーロとなり、3人目は200ユーロと支給額は年々増加しています。
また3人目からも支給額が増えるので子供を3人産んでも育てやすい環境だということがわかります。
韓国の少子高齢化
続いて東アジア、韓国を確認してみましょう。
韓国でも少子高齢化が問題視されています。
2017年では、65歳以上の高齢者は全体の13.8%となり14歳以下は13.1%と高齢者と子供の数が逆転しました。
原因のひとつとしては、学歴が低いことで職に就くことができず低所得なった人は子供を作らないといった背景があります。
では、どのような対策を行っているのでしょうか?
韓国ではこれまで育児手当の支給や出産奨励金を支給してきましたが、対策の効果はありませんでした。
しかし「保育インフラの拡充」という動きがあります。
全ての子供が保育を受ける権利を保障する制度であり、2013年には無償で保育を受けられる「保育無償化」を実現しています。
そうしたことから韓国では3歳未満の保育利用率が60%以上となりました。
またドイツと同様に父親の育児休暇を促進させるための「ファミリー・フレンドリー」という制度をつくりました。
内容としては出産日から3日は有給で休暇を取得することが可能であり、
子供が8歳になるまで時期と期間を自由に決めて、1年まで育児休暇を取得できる制度があります。
韓国をみても男性の育児休暇や育児の時間を作る為の政策を導入しているのがわかります。
中国の少子高齢化
中国では1949年〜1959年に第一次ベビーブーム、1963年〜1971年に第二次ベビーブーム、
1980年後半には第三次ベビーブームが生じました。
そのため「一人っ子政策」を実施することになりました。
一人っ子政策とは急激な人口を抑えるために、1組の夫婦につき子供を一人に制限し、二人目からは罰金が発生する制度です。
しかし「一人っ子政策」を実施したことで「421社会」という現象が中国にとって問題となっています。
421とは父と母の祖父母の計4人の高齢者に対して、両親2人と孫1人といった人口構成のことを言います。
つまり一人っ子政策の影響で高齢者の面倒を見る人が少ないという状態となっています。
「一人っ子政策」を実施したことで逆に高齢化を加速させたので、今は廃止となっています。
そして「二人っ子政策」を開始しました。
二人っ子政策とは2014年に片方の親がひとりっ子だった場合2人まで産んでも良いとしましたが、2016年にはすべての夫婦が2人まで子供を産めるように改善しました。
また定年制度の見直しを提案しています。
中国では定年退職の年齢が男性は満60歳で女性は満50歳と定めていますが、
女性の定年退職年齢を全て55歳とし3年毎に1歳ずつ上げ、男性も定年退職年齢を6年毎に1歳ずつ上げるなどを提案しています。
現在中国では421社会問題で孤独感や貧困に苦しみ自殺を図ろうとする高齢者が後を絶ちません。
高齢者の自殺率は年々増加しているようです。
なので「呼び寄せ老人」という地方に住む親を呼び寄せて近くの施設に入居させたりするなど行っています。
以上のことから日本ほどではありませんが、世界的にみても少子高齢化は進んでいるようです。
世界の少子高齢化対策としては主に少子化対策をメインに行なっている国が多くいる事がわかります。
たとえば日本では未婚化が出生率を下げている傾向がみられていました。
「男は外で働いて、女は家を守る」といった考えから「男も女も共働き」を求める人が多くなり、結婚に対する価値観が大きく変わってきています。
今は女性が社会進出するのが当たり前になってきているため結婚しなくても問題なく暮らす事が出来ます。
そこでスウェーデンの『サムボ制度』を導入すれば結婚はしなくても子供の産みやすい環境となり出生率は上がると考えます。
まとめ
以上のことから少子高齢化についてまとめると、
- 今ハイスピードに進んでいることから少子高齢化が問題となっている
- 実際に少子高齢化が直面するのは2025年・2040年
- 個人的に出来ることとして年金受給額のシミュレーション、
医療・介護費を想定した貯蓄を行う - 日本では定年制度の見直し、移民受け入れ、幼老施設の発展やAIやロボットによる少子高齢化対策がある
- その他の国でも少子高齢化は進んでいる
- 少子高齢化対策に成功しているのはフランスとスウェーデンとされている
となります。
なかなか普段の生活で少子高齢化の話をする機会って少ないと思いますが、
記事をみて少しでも自分たちの問題として捉えてもらえたら嬉しいです!
コメント